アパート経営は、経営である以上「何年で黒字化するか?」というポイントが非常に重要だ。アパート経営を始める際は、事前に収支や事業計画を適切に管理・立案して黒字化できる時期を見据える必要がある。本記事では、アパート経営の収益源を2つ述べたうえで、購入時から10年目までの期間における経営シミュレーションや、黒字経営するための物件選びポイントを解説していく。
目次
シンプルな操作で未来のキャッシュフローを簡単にシミュレーションできます。
キャッシュフローシミュレーターの3つのメリット
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・最長50年間のキャッシュフローをわかりやすく確認
・地図上で物件の情報や最寄り駅の情報をまとめて確認
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アパート経営が黒字になるまでのシミュレーション
「アパート経営が黒字化するのは10年後」といわれることがあるが、実際はどうなのだろうか?ここでは、具体的に以下のような事例で10年目までの収支状況をシミュレーションしてみよう。
なお、本シミュレーションは長期保有を前提として行うため、アパート経営が黒字化するタイミングは累計のキャッシュフローが購入時に拠出した自己資金の金額を上回ったタイミングとする。
【前提条件】
戸数 | 10戸 |
物件価格 | 5,000万円 |
初期費用(頭金を除く) | 250万円 |
年間家賃収入 | 500万円 (表面利回り10%) |
購入時の自己資金 | 1,250万円 (融資金額は4,000万円) |
融資金利 | 2.0% |
融資期間 | 25年 |
諸経費率 | 20% |
空室率 | 15% |
年間キャッシュフロー※ | 約121万5,000円 |
※キャッシュフローの計算 | ①年間家賃収入の計算(空室) 500万円×85%=425万円 ②支出の計算経費:500万円×20%=100万円 年間ローン返済額:203万4,492円 ①-②=121万5,508円 |
アパート経営1~2年目:初期費用や頭金の拠出があるため、赤字になりやすい。
アパートを購入して1~2年目は、購入時の初期費用や頭金の拠出があるため、キャッシュフローは赤字になりやすい。購入時の初期費用としては、具体的に以下のような項目がある。
- 融資における各種手数料
- 印紙代
- 保険料
- 仲介手数料
- 司法書士への報酬
- 各種税金(不動産取得税、固定資産税、都市計画税)
- 登記費用 など
本事例では、頭金と初期費用で購入時に1,250万円を拠出しているため、1~2年目の手もとキャッシュは大きく減る。なお、不動産取得税については購入から半年〜1年後に納付書によって通知されるので注意しておきたい。
アパート経営3~4年目:純利益が出始める
3~4年目は、購入時にかかったような大きな金額の支出がなくなるため、手もとに一定のキャッシュを残せることが期待できる。上述した事例では、年間キャッシュフローが約121万5,000円のため、4年目終了時点での累計キャッシュフローは約486万円だ。年単位のキャッシュフローベースでは、純利益が出ている状態である。
しかしアパート経営全体では、本シミュレーションで定義する黒字化には至っていない。
アパート経営5~8年目:修繕コストの発生でキャッシュフローが悪化する可能性も
5~8年目も、3~4年目と同様に比較的キャッシュを残しやすい時期である。そのため黒字化に向けてキャッシュフローの最大化に努めたい。8年目終了時点での累計キャッシュフローは約972万円のため、購入時に拠出した1,250万円のうち約78%の回収が完了している。
一方で築年数や各種設備の直近の修繕時期によっては、まとまった修繕コストの発生でキャッシュフローが悪化する可能性も見込んでおきたい。
アパート経営9~10年目:黒字化を達成できる可能性
9~10年目には、購入時に拠出した自己資金の大部分の回収が完了しているため、黒字化に大きく近づくことが予想される。10年目終了時点での累計キャッシュフローは約1,215万円のため、購入時に拠出した1,250万円のうち約97%の回収が完了。翌年のうちに黒字化を達成できる可能性も十分にある状態だ。
一方で購入から10年が経過すると購入時に新築だったとしてもまとまった修繕コストの発生への備えをしておく必要性が高くなる。エアコンや給湯器の交換、屋上および外壁の塗装といった比較的大規模修繕の可能性があるため、支出の増加リスクを見込んでおきたい。
シンプルな操作で未来のキャッシュフローを簡単にシミュレーションできます。
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アパート経営の2つの収益源
アパート経営の主な収入源は、以下の2つだ。
- 物件を高く売却できた場合のキャピタルゲイン
- 家賃収入などのインカムゲイン
2つの収益源のうち一般的な個人投資家でも十分に狙いやすいのは、インカムゲインである。なぜならキャピタルゲインは、国内外における経済や金融の情勢(世界景気、為替、金利等)に左右される不確実性が高く、マーケットに精通したプロでも確実な予測をすることは難しいからだ。ここでは、各収入源について詳しく確認していこう。
物件を高く売却できた場合のキャピタルゲイン
物件購入時の価格よりも高い価格で売却できた際に得られる収益をキャピタルゲインという。キャピタルゲインを得るためには、以下のような経営努力が求められる。
- 不動産マーケットの動向を先読みする
- 周辺相場よりも安い掘り出し物件の情報をいち早く得る
- 市場に出回る前の物件情報を水面下で得る
- 周辺相場よりも安い価格で購入できるように売主に交渉する(購入時)
- 周辺相場よりも高い価格で売却できるように買主に交渉する(売却時)
キャピタルゲインを狙ったプロの不動産会社が物件情報を日々チェックしているなかで、一般的な個人投資家がこれらの経営努力をプロ並みに行うのは至難の業といえるだろう。
家賃収入などのインカムゲイン
物件を保有し賃貸している間に得られる家賃収入をインカムゲインという。家賃収入は、一定のリスクはあるものの、一度入居者を見つければ定期的に発生する安定した収益源になり得る。そのため時間的かつ精神的な余裕を持ちながら継続して得られる収益だ。家賃や礼金といった賃貸条件の設定を行う際は、周辺相場を観察したり、競合物件の条件と比較したりするなどの経営努力が求められる。
しかし民間のポータルサイトを参照すれば、一般的な個人投資家でも十分に行うことができる。
黒字経営するための物件選びのポイント【4選】
アパート経営を黒字化するためには、物件選びの段階で以下4つのポイントを意識することが必要だ。
立地:賃貸需要が長期的に旺盛であるか否か
立地とは、投資する物件が所在するエリアのことで主に以下のような要素が含まれる。
- 主要駅へのアクセス
- 最寄り駅までの徒歩分数
- 高速道路や幹線道路へのアクセス
- 周辺の生活利便施設の充実度
- 人口動態 など
立地を見る際の重要な基準は「賃貸需要が長期的に旺盛であるか否か」だ。賃貸需要が衰退していくエリアでは、家賃の下落や空室率の上昇、それらに伴う物件価格の下落に見舞われるリスクが高いため、長期的なアパート経営には適さない。
【関連記事】不動産投資で都心6区を選ぶ際のメリットとデメリット
物件の状態:購入前に修繕履歴や劣化の進行具合のチェック
築年数がある程度経過した物件は、外壁や室内設備が修繕時期を迎えている可能性がある。そのため購入前に修繕履歴や劣化の進行具合のチェックが必須だ。
購入後に外壁の塗り直しや設備交換をする場合は、当然追加で修繕コストがかかる。これを防ぐためには、購入前に売主と相談して売主負担で修繕してもらったり修繕コスト分を物件価格から差し引いてもらったりする交渉が得策だ。
外壁の修繕(塗装工事やタイル張り補修工事など)を行うタイミングだが、国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック 事例編」※この先は外部サイトに遷移します。によると、以下のとおりである。
- 塗装工事:11年〜18年毎
- タイル張り補修工事:12年〜18年毎
【関連記事】アパート経営の修繕費はどのくらいかかる?コストを削減する方法とは
想定されるリスクを把握する
アパート経営には、以下のような多方面におけるリスクがあることは押さえておきたい。
- 家賃下落リスク
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 修繕リスク
- 事件事故リスク
- 金利上昇リスク
- 物件価格下落リスク など
いずれのリスクにも適切な対処法があるため、「物件を厳選する」「修繕状況を購入前にチェックする」「損害保険に加入する」といった事前策と善後策をあわせて講じておこう。
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入念な長期シミュレーション
アパート経営は、数年ないし数十年単位の長期的な事業である。そのため物件を購入する前に入念な長期シミュレーションをしておくことが重要だ。具体的には、以下のような項目を網羅的に織り込んだ事業計画を複数パターン作成し長期的に継続可能な事業か否かを判断しよう。
- 購入時のイニシャルコスト
- 固定費の変動
- 突発的なコスト
- 家賃下落率
- 空室率
- 売却時の想定価格 など
アパート経営の成否は、購入時におけるシミュレーションの精度の高さによって決まるといっても過言ではない。
【関連記事】不動産投資を成功させるためにはシミュレーションが重要!必要な情報、注意点とは?
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