不動産投資は30代から始めるべき?メリットや注意点について解説
(画像=manabu不動産投資)

結婚や出産など、ライフステージの変化を迎える傾向にあるのが30代だ。家族が増えると、今後の人生を見据えて資産形成を行いたいと考えるタイミングも増えてくるのではないだろうか。その際、資産形成の1つの手段として考えられるのが、不動産投資だ。

目次

  1. 1.30代が不動産投資を始めやすいと言われる理由
    1. 1-1.定年までにローン完済して老後資金を確保しやすいから
    2. 1-2.中高年よりも不動産投資ローンを組みやすいから
    3. 1-3.20代以下よりも不動産投資ローンを組みやすいから
    4. 1-4.30代の平均的な年収・貯蓄は?
  2. 2.30代で不動産投資を始めるメリット
    1. 2-1.投資戦略を立てやすい
    2. 2-2.リカバリーが効きやすい
    3. 2-3.仕事が忙しくても経営しやすい
    4. 2-4.経営規模を拡大しやすい
  3. 3.30代で不動産投資を始めるデメリット
    1. 3-1.小規模な投資からスタートせざるを得ない可能性がある
    2. 3-2.マイホームと不動産投資の二重ローンになる可能性がある
    3. 3-3.賃貸物件の購入までに手間がかかる
  4. 4.30代で不動産投資を始めるにあたり注意したいポイント
    1. 4−1.手持ちの資金には余裕を持たせておく
    2. 4-2.勤務先の就業規定を確認しておく
  5. 5.30代になったら不動産投資の検討を
  6. 6.30代の不動産投資に関するよくあるQ&A
    1. 6-1.Q:30代が不動産投資を始めやすいと言われる理由は?
    2. 6-2.Q:30代が不動産投資を始めた場合のメリットは?
    3. 6-3.Q:30代が不動産投資を始めた場合のデメリットは?

1.30代が不動産投資を始めやすいと言われる理由

はじめに、「30代は不動産投資を始めやすい」と言われる理由を確認してみよう。  

1-1.定年までにローン完済して老後資金を確保しやすいから

不動産投資で利用するローンは高額で、20〜30年の長期スパンで返済期間が設定されるケースが多い。そのため、30代で不動産投資を始めれば、ちょうど定年退職前後のタイミングで完済できる可能性が大いにある。

ローンを完済した後はそのまま家賃収入を取得し続ける、もしくは物件を売却することができれば、リタイア後の資金を確保できるだろう。

団体信用生命保険に加入できる点も、30代で家族を持っている方が安心できるポイントだ。団体信用生命保険の返済者が死亡・高度障害の状態になった場合に、保険金とローンの残債が相殺される。

これにより、自分が病気や事故に遭った際に家族に負債を残す心配なく、投資活動に集中できるだろう。

1-2.中高年よりも不動産投資ローンを組みやすいから

不動産投資ローンの審査では、融資の可否・融資額・返済期間などを下記の要素で総合的に判断される。

  • 賃貸物件の資産価値
  • 賃貸物件の収益性(キャッシュフロー)
  • 賃貸物件の耐用年数
  • 収支シミュレーション(空室や家賃の将来推移)
  • 契約者の個人条件(給与収入、借入金、勤務先、勤続年数)
    など

これらの要素のうち、どれを重視するかは金融機関ごとに違う。例えば、金融庁が過去に行った全国の金融機関を対象にした「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」では、銀行の95%、信用金庫・組合の91%が返済原資に関して「給与収入等を考慮している」と答えている。

これを踏まえると、30代など契約者の年齢が若いと、ローンの融資審査で有利になる可能性がある。なぜなら、若いということは「給与収入等を得られる期間が長い」からだ。その期間は返済しやすいとみなされやすい。

例えば、退職年齢を65歳に設定したとき、35歳のビジネスパーソンの働ける想定期間は「30年」になる。一方、45歳のビジネスパーソンの働ける想定期間は「20年」しかない。

ただし先ほど触れたように、不動産投資ローンの審査は、数多くの項目をもとに総合的に判断される。年齢が若いからといって、30代が必ずしも有利な条件で融資を受けられるわけではない。

1-3.20代以下よりも不動産投資ローンを組みやすいから

30代から不動産投資を始めるべき2つ目の理由として、ゆとりある資産状況が挙げられる。30代は20代以下に比べ、勤続年数が長く、貯蓄や収入面で余裕があるケースが多い。

収入の多さは、用意できる自己資金の多さだけでなく、金融機関からの融資の通りやすさにも繋がる。30代では20代以下より勤続年数が長くなるケースが多いため、審査の面ではさらに有利に働くだろう。

1-4.30代の平均的な年収・貯蓄は?

前項で「30代は20代以下と比べて貯蓄や収入面で余裕があるケースが多い」と記述したが、実際に世代でどれくらい差があるのかを確認してみよう。総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)8-5 世帯主の年齢階級別」※この先は外部サイトに遷移します。によると、世帯主が30代(平均35.2歳)と20代以下(平均27.1歳)の年収と貯蓄の平均は以下のとおりだ(2人以上世帯の場合)。

不動産投資は30代から始めるべき?メリットや注意点について解説

[年収平均]
・20代以下 594万円
・30代 661万円

上記の年収を「高いのではないか」と感じる人もいるかもしれないが、世帯別の年収であることに留意したい。貯蓄額も同様だ。

[貯蓄額平均]
・20代以下 414万円
・30代 774万円

このように30代と20代以下を比べると、平均では収入で67万円の差、貯蓄額で360万円の差がある。この数値にあてはまる30代はローン審査に通りやすい傾向にあるため、不動産投資を始めやすいタイミングと言えよう。

2.30代で不動産投資を始めるメリット

ここからは、30代で不動産投資を始めることで得られるメリットについて解説する。

2-1.投資戦略を立てやすい

長期的な投資活動を始める際には「何年後までにどの程度の資産を貯めるのか」という、投資プランを決める必要がある。今後の人生に関する見通しも立てやすくなっているであろう30代なら、今後の人生で必要な資金の概算もしやすいだろう。

前述のとおり、30代であれば定年退職のタイミングでローンを完済できる可能性も高い。リタイア後もローンの支払いが残っている場合、毎月の返済金は家賃収入のみで賄わなければならず、空室などで家賃収入の減収が続くと預貯金を切り崩すことにもなりかねない。

40代以上で不動産投資を始めて20〜30年ローンを組むとなると、定年退職後にローンの支払いが残っている可能性も高まってしまう。

ローンの返済期間を短くするという選択肢もあるが、その場合は毎月の返済額がより高額になってしまうことがネックだ。以上のことから、30代で不動産投資を始めれば、比較的リスクの少ない投資戦略を立てやすいといえる。

2-2.リカバリーが効きやすい

アパート・マンション経営など、家賃収入を得るタイプの不動産投資の場合、長期にわたって会社からの給与以外の収入が発生することになる。不動産投資で安定した収益を得ることができれば、本業で給与減やリストラなどのトラブルが発生したとしても、生活苦に見舞われる可能性も低くなるだろう。

しかし、毎月支払われる賃料からローンの返済費・税金・諸経費などを差し引いた収入は、そのままインカムゲインとなるが、空室などで収支が悪化した場合は損失になるケースがある点には留意しておきたい。

もし一時的に収支が悪化したとしても、リタイアまでは時間があり、本業分の収入もあるためリカバリーが効きやすく、30代の段階で不動産投資に着手しておけば有利だと言える。

2-3.仕事が忙しくても経営しやすい

不動産投資ではさまざまな業務を行わなければならないが、管理会社にアウトソースすることも可能だ。これも、多忙で時間のない30代にはメリットだろう。例えば、不動産投資の主な業務には、以下のようなものがある。

  • 入居者募集
  • 賃貸借契約の締結、更新
  • 家賃集金、督促
  • 敷金精算、原状回復
  • 清掃
  • 修繕積立金の管理
  • 空室管理
    など

賃貸オーナーは、これらの業務を自身の判断で管理会社に振り分けることができる。管理業務の具体的なやり方には、以下の3つの選択肢がある。

  • すべての業務を自分で行う(自己管理)
  • 一部の業務を管理会社にアウトソースする
  • 大半の業務を管理会社にアウトソースする

なお、管理会社にアウトソースする際には手数料を毎月支払う必要があるが、一般的な相場は家賃の5%程度である。

注意したいのは、業務を管理会社任せにするほど、コストが膨らみやすいことだ。業務の大半を丸投げすれば業務の負担は減るが、利益が削られてしまう。そのため、以下の3つを意識しながら、「管理会社にアウトソースするべきか」「どの業務をアウトソースするか」を判断してほしい。

  • 手数料や工事のマージンを払えるだけの十分な手残りがあるか
  • 管理に使える空き時間がどれくらいあるか
  • その業務を行うための専門知識があるか

2-4.経営規模を拡大しやすい

ローンを組んで不動産投資を行う場合、30代で時間をかけて融資の返済ができる。これによって残債が減っていけば、追加融資を受けて賃貸物件を増やせる可能性もある。

所有する賃貸物件を増やすと、業務の負担が重くなることを心配する人もいるかもしれない。 しかし、前述のとおり不動産投資では管理業務のアウトソースが可能なため、多忙な30代の人が複数の賃貸物件を経営することも可能だ。

経営規模を拡大していく際のポイントは、将来融資を受けやすい賃貸物件を購入することだろう。具体的には、以下のような条件の賃貸物件だ。

  • 資産価値と収益性が高い
  • 法定耐用年数が十分残っている
  • 空室リスクが低い(ほぼ満室経営できているなど)

逆に言えば、これらの条件にあてはまらない賃貸物件だと、経営規模のスムーズな拡大が難しくなる可能性がある。それだけに、物件選びは慎重に行いたい。

3.30代で不動産投資を始めるデメリット

ここからは、30代で不動産投資を始めるデメリットについて解説する。

3-1.小規模な投資からスタートせざるを得ない可能性がある

不動産投資で多くのインカムゲインを得ようと考えた場合、一棟マンション投資など、規模の大きい投資を行う必要がある。一棟マンションのような物件の場合、投資が終わったタイミングの売却時にも値段がつきやすく、「最終的にいくらで物件を手放すのか」という出口戦略も立てやすいだろう。

しかし、30代でまだ自己資金に余裕がなかったり、転職して勤続年数が短いなど属性が高いとは言えない状況だったりした場合は、一棟マンションのような大きな物件を手にできない可能性がある。

3-2.マイホームと不動産投資の二重ローンになる可能性がある

30代では、資産形成とは別にマイホームの購入を検討する場合もあるだろう。そうなると、マイホーム用・不動産投資用でそれぞれローンを組むことになり、二重ローンになる。

特に、30代で不動産投資ローンを組むと、住宅ローンを組むタイミングが重なってしまう可能性が大いにある。先にどちらかのローンを組んでしまったがために、もう一方のローンの審査が通らなくなる可能性もある点には留意されたい。

支払いに関しては、マイホームのローンは本業の給与から、不動産投資のローンは家賃収入からという切り分け方も可能だ。しかし、本業の給与もしくは家賃収入が減ってしまった場合は、計画が大きく狂いかねないため手元に資金を残しておくなど対策が求められる。

3-3.賃貸物件の購入までに手間がかかる

30代の人が注意したいのは、不動産投資は賃貸物件の購入までに手間がかかることである。運用を始めれば管理業務をアウトソースして負担を減らせるが、賃貸物件の購入までには以下のようなタスクがあるため、それなりの時間を割かなければならない。

  • 不動産投資の基本知識の勉強
  • エリアや物件の種類の選定
  • 賃貸物件の情報収集

仮に上記のタスクに1日1時間、2ヵ月かけたとしたら60時間が必要になる。さらに賃貸物件が決まるまでには、現地調査や売主・金融機関・管理会社との契約もある。働き盛りの30代が、このような時間を捻出するのは簡単ではないだろう。

そのため、賃貸物件選びを不動産会社やコンサルタントに丸投げする人もいるが、これは避けたいところだ。なぜなら、空室リスクの高い物件や相場よりも高い物件をつかまされるリスクがあるからだ。一時的な負担はあるが、自身が中心になって判断することが大切である。

会員登録無料で利用可能
シンプルな操作で未来のキャッシュフローを簡単にシミュレーションできます。

キャッシュフローシミュレーターの3つのメリット
・2億超の不動産データに基づき、「賃料」や「空室率」をAIが算出
・最長50年間のキャッシュフローをわかりやすく確認
・地図上で物件の情報や最寄り駅の情報をまとめて確認

クリックして詳細を確認する

4.30代で不動産投資を始めるにあたり注意したいポイント

ここからは、30代で不動産投資を始めるにあたって、把握しておくべきポイントについて解説する。

4−1.手持ちの資金には余裕を持たせておく

不動産投資では、物件の購入に数千万円単位の資金が必要になる。しかし「なるべく借入額を大きくしたくない」との考えから、物件購入の際に自己資金を多く出してしまうとあとから大変なことになるケースもある。

不動産投資では、初期費用以外にも修繕費などが突発的に発生する可能性がある。それ以外にも、空室発生時には原状回復費がかかる場合があり、次の入居者を見つけるための広告宣伝費が必要だ。それらのコストに加えてローン返済額・修繕管理費などが、家賃収入を上回るというケースもある。

さらに、30代では結婚や出産など、ライフステージの変化がたびたび発生する。不動産投資は、経営する物件の満室を保てば安定的なインカムゲインを得られるが、それを当てにして自己資金を多く投下してしまうと、突発的な支出が必要になった際に手元の資金が尽きている可能性がある。

以上のことから、まだ30代で働き盛りだとはいえ、不動産投資を始める際には長期的な視野で、自分が使える余剰資金の範囲内でお金を動かすようにするのが望ましい。

4-2.勤務先の就業規定を確認しておく

現在、会社勤めで、今後も同じ会社に在籍し続ける場合、不動産投資を始める前に勤務先の就業規定について確認しておく必要がある。例えば、節税のために法人を設立したいと考えた際に、場合によっては就業規定に抵触する恐れがあるためだ。

特に公務員の場合はさらに注意深くなる必要がある。人事院規則では、一定額以上の不動産収入を得る際、承認を得るよう定められている。承認や許可を得ずに、無断で不動産所得を得ていることが発覚すると、懲戒処分を受ける可能性もあるため留意が必要だ。

5.30代になったら不動産投資の検討を

30代は、20代よりも資産的な余裕があり、人生設計も固まってくる年齢だ。そのため、資産形成を行い、老後資金を貯め始めるタイミングとして適している年齢といえよう。数ある投資方法の中でも、不動産投資は時間的な融通が効きやすいことから、多忙なサラリーマンや公務員が資産を増やす手段として検討できるだろう。

不動産投資で成功すれば、長期で安定したインカムゲインを得つつ、リタイア後の資金として期待できる。人生のターニングポイントを迎えることも多い30代の方は、ぜひ検討してみてはいかがだろうか。

6.30代の不動産投資に関するよくあるQ&A

最後に、30代が不動産投資を始める際によくある質問と回答をまとめて紹介する。

6-1.Q:30代が不動産投資を始めやすいと言われる理由は?

A.「定年までに完済しやすい」、20代以下または中高年よりも「不動産投資ローンを組みやすい」などの理由がある。

6-2.Q:30代が不動産投資を始めた場合のメリットは?

A.本記事で挙げたメリットは4つある。比較的リスクの少ない投資戦略を立てやすいこと、失敗してもリカバリーが効きやすいこと、仕事が忙しくても経営しやすいこと、経営規模を拡大しやすいことだ。

6-3.Q:30代が不動産投資を始めた場合のデメリットは?

A.本記事で挙げたデメリットは3つある。大規模物件を買うまでの資金余力がないこと、マイホームとの二重ローンになること、賃貸物件の購入までに手間がかかることだ。

会員登録無料で利用可能
シンプルな操作で未来のキャッシュフローを簡単にシミュレーションできます。

キャッシュフローシミュレーターの3つのメリット
・2億超の不動産データに基づき、「賃料」や「空室率」をAIが算出
・最長50年間のキャッシュフローをわかりやすく確認
・地図上で物件の情報や最寄り駅の情報をまとめて確認

クリックして詳細を確認する
manabu不動産投資に会員登録することで、下の3つの特典を受け取ることができます。

①会員限定のオリジナル記事が読める
②気になる著者をフォローできる
③気になる記事をクリップしてまとめ読みできる

- コラムに関する注意事項 -

本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的とするものではありません。
当社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づきますが、その正確性や確実性を保証するものではありません。
外部執筆者の方に本コラムを執筆いただいていますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当社の見解等を示すものではありません。
本コラムの記載内容は、予告なしに変更されることがあります。