初めて不動産投資をする人にとっては、「そもそも何に気をつければよいかわからない」という不安も大きいのではないだろうか。あらかじめどんな手順で不動産投資を始めるのか知っておくと、事前に不明な点を調べたり相談したりできるはずだ。この記事ではそうした備えをしていただくため、不動産投資の始め方を解説する。
不動産投資とは
不動産投資で収益を得るには、不動産を購入し他の人に貸して賃料を得る方法と、購入した不動産を売却して売却益を得る方法がある。売却益を得る投資は一定の知識や経験が必要になるため、初めて不動産投資をするなら賃料収入を得る方が始めやすい。
賃料を得る不動産投資ではマンションの1室や、土地を含めたアパート、一戸建てを建物ごと購入し、住居用として貸し出す方法がある。他に店舗や事務所として貸す方法や、建物ではなく土地を駐車場として貸す方法もあるが、ここでは住居用の賃貸を前提として解説していく。
不動産投資の始め方
まず不動産投資の始め方をおおまかに説明する。実際にはここでは説明しきれないこまかな手続きや確認事項もある。高額な取引のため物件購入をあせらず、納得がいくまで疑問や不安を解消しながら進めてほしい。
情報収集と資金計画
不動産投資を始めるにはまず不動産情報サイトなどで、物件の立地や建物タイプ、築年数などによる相場を確認してみよう。ある程度、相場の金額がつかめてきたら資金の調達方法を考え、全額を自己資金で用意できない場合は金融機関のローンを検討する。
不動産投資ローンを用意する金融機関のサイトには、返済額のシミュレーションができるところもあるので活用しよう。ただし実際にどれくらい借入ができるかは、物件のこまかな条件や本人の属性などによって変わるため、あくまで目安の1つと考えよう。
物件確認
投資に値すると考えられる物件が見つかったなら、仲介する不動産会社に連絡し物件の詳細を教えてもらおう。購入にはさまざまな諸費用もかかるため、しっかりと確かめるようにしたい。
さらにできる限り物件を自分の目で確認し、劣化など気になるところがあれば購入後の対策を質問しておこう。物件確認で主に注意したいのが次の4点だ。
- 交通アクセス
- 周辺環境
- 外装・内装の状態
- 入居率
交通アクセス
駅など公共交通機関へ、ターミナル駅へのアクセスは入居者が物件を選ぶときに重視するポイントの1つだ。できるだけ近距離のほうが通勤負担を軽減できるため好まれる傾向がある。駅から物件までの途中に急な坂や待ち時間の長い踏切がないかなど、実際に自分の足で確かめるといいだろう。周辺環境
物件の周囲にスーパーやドラッグストアがあるか、学校や病院までの距離も確かめておこう。こうした施設が近くに充実していれば、物件のアピールポイントとなる。また周辺に大きな音や匂いを出す施設がないか、墓地などの有無も確認しよう。外装・内装の状態
外壁や屋根、基礎といった外装や、内装である室内の壁紙、建具、水回りや空調の設備などは劣化状態をしっかりと確かめよう。状態が悪ければ入居者に敬遠される可能性があり、購入後に修繕費用がかかることになる。
また管理会社から物件の修繕履歴を取り寄せ、修繕した時期を確かめるのも状態判断の大きな参考になるだろう。入居率
物件にどれくらいの比率で入居者がいるかを表す入居率は、必ず最新のものを確かめるようにしたい。情報サイトに掲載されている入居率は古い可能性もあるからだ。
もし入居率がある時期を境に急に落ちているようなら、その原因も確認しよう。物件に事故があったり問題のある入居者が住んだりしていれば、今後の入居率に悪影響を与える恐れもある。
ローン相談
物件が希望にそうようであり諸費用などもはっきりしたら、ローンの相談をするため金融機関に連絡をする。物件の客観的評価や収益見通しなど、不安な点を積極的に相談すればさまざまな意見が得られるはずだ。資金的な不安が解消されるようであれば、借入可能かどうかの事前審査を申し込む。
購入手続き
事前審査の結果が出て資金手配の目途がつけば、仲介会社に連絡を取り購入手続きに進む。高額な売買契約を締結するにあたり、主に次の4点を契約前にしっかり確かめたい。
- 物件の所在や面積
- 売買代金と支払い時期
- 契約解除や違約金
- 抵当権について
ただし実際の契約事項は多岐にわたり、初めての方にはわかりにくいものが多い。この4点は最低限の項目と考え、購入にあたっては仲介の不動産会社はもちろん、金融機関のような第三者的な立場で知見のあるところへも相談しながら進めるようにしよう。
物件の所在や面積
契約書には物件の所在や面積が表記される。所在は住所として一般的に取り扱われる「住居表示」と、登記簿に記載される「地番」が異なる物件があるため注意をしたい。
また面積も登記簿に記載してある数字と実際に測った数字が異なるケースもある。どちらの面積で契約するかは売買金額に影響することもあるため、あらかじめ確かめるようにしよう。売買代金と支払い時期
売買代金は土地代、建物代と建物の消費税からなる。実際に支払うのは売買代金と、仲介手数料や登記費用など諸費用を合計した額だ。一般的な支払い時期は契約時に手付金を支払い、残りの額を所有権移転や引き渡しに合わせて支払う。契約解除や違約金
売買契約は相手方が履行に着手するまで、売主側は受領した手付金に手付金と同額の金銭を加えて買い主に返還することで契約解除できる。また買い主は手付金を放棄することで、契約解除が可能だ。
こうした手付け解除では、何をもって着手とするかでトラブルとなることがある。手付け解除ではない解約は「違約」となり、売買金額の20%以内の違約金がかかるため、何をもって着手とするか、手付け解除ができる期日を契約時に定めておこう。抵当権について
売主が金融機関から借入をするため物件を担保にしていると「抵当権」が設定されるが、借入が返済されないままでは物件が差し押さえになる恐れがある。抵当権が設定されている物件を契約する際は、所有権移転までに解除してもらうことが理想だ。しかし、実際は売買代金を完済してから抵当権抹消を行うケースが多い。
ここで大事なのは、売買代金支払いから抵当権抹消までのお金の流れを把握し、抵当権が残らないように注意することである。
ローン申し込み
物件の売買契約が済んだら、金融機関にローンの正式な借入申し込み手続きをする。必要な書類を提出すると本審査が行われ、融資が決定したら金融機関とも契約を結ぶ。
その後に金融機関から振り込まれた融資金を売主に支払い、所有権移転や抵当権の設定など登記手続き、物件の引き渡しへと進んでいく。すでに入居者がいる状態での売買もあるため、その場合は手続きが一通り済めば家賃収入が発生する。
まとめ
不動産投資は、初めて投資にチャレンジする方にとっては不安があるものかもしれない。一方で、比較的手間がかからなかったりローンを使って少ない自己資金で始められたりと、本業を持つ方や少ない資金で投資を始めたい方にメリットのある投資でもある。
今回紹介した手順を参考にし、1つずつ手順をしっかりと理解しながら丁寧に進めてほしい。
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