大家になるにはどんなリスクがある?8つのリスクと回避策を解説
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

大家とは、所有する賃貸用の建物を他者に貸し出すことで家賃収入を得ている人のことである。不動産投資家として初めて物件を購入する場合、「大家になるとはどのようなことか」「大家になるとどのようなリスクがあるのか」など分からない人もいるだろう。そこで本記事では、不動産投資の仕組みについて言及しつつ大家になることの8つのリスクと回避策を解説していく。

不動産投資の仕組み

不動産投資の仕組みについて以下2つのステップに分けて簡略的に解説する。

  • 物件購入時
  • 物件運用時

物件購入時

物件購入は、現金での一括購入ではなく金融機関から融資を受けて購入する場合が多い。融資を利用する場合の物件購入は、以下の図のような流れとなる。

大家になるにはどんなリスクがある?8つのリスクと回避策を解説

※売主が不動産業者である場合は上図のような取引関係になるが、個人間売買などにおいては売主と買主の間に仲介業者が介在する場合もある。

買主(大家)は、金融機関から借りたお金で売主に物件の代金を支払う。支払い完了と同時に物件の引き渡しを受け金融機関に毎月返済を行っていく流れだ。なお現金一括で購入する場合は、金融機関との取引はないため、上図②・③で取引が完結する。

物件運用時

物件を購入し大家になった後の物件運用は、以下の図のように行われる。

大家になるにはどんなリスクがある?8つのリスクと回避策を解説

大家は、入居者と賃貸借契約を結び当該物件を入居者に使用させる対価として毎月家賃を得る流れだ。一般個人の大家の場合は、以下の図のように大家と入居者との間に賃貸管理会社が入ることが多い。

大家になるにはどんなリスクがある?8つのリスクと回避策を解説

依頼する管理会社によっても異なるが、一般的に賃貸管理会社は大家の代わりに物件に関する以下のような対応を行う。

  • 日常的なメンテナンス(巡回や清掃など)
  • 入居者からの家賃集金および大家への送金
  • 入居者からの各種問い合わせ など

賃貸管理会社へ依頼する場合、家賃収入の5%程度の管理委託報酬を毎月支払うことになるのが一般的だ。例えば、アパート全体の月の賃料が1ヵ月20万円であれば、1万円程度が目安となる。

大家になるにはどんなリスクがある?8つのリスクと回避策

大家になると家賃収入という半自動的に発生し続ける収入を得られる半面、以下8つのようなリスクを伴う。

  • 家賃下落リスク
  • 家賃滞納リスク
  • 空室リスク
  • 物件価格下落リスク
  • 修繕費リスク
  • 固定費リスク
  • 災害リスク
  • 事件事故リスク

大家になる前にリスクと回避策を把握し安定的かつ安全な不動産投資ができるように準備をしておこう。

家賃下落リスク

大家としての主な収入源は家賃収入となるため、家賃が下落すると収支が悪化して賃貸経営が破たんするリスクがある。家賃は、建物が経年劣化したり周辺に新築物件が供給されたりすることで下落するのが一般的だ。家賃下落リスクの回避策として以下2つの方法が効果的だろう。

  • 賃貸需要が長期的に見込め、家賃が下落しにくい物件に投資する
  • 大規模修繕やリフォームを定期的に実施して建物の劣化スピードを緩める

賃貸需要の有無は、当該エリアの人口動態や最寄り駅の乗降客数、生活利便性などの要素を勘案して複合的に判断したい。自治体などで発表しているデータを参照して住宅を借りたい人の需要が長期的に継続するかを考えるのが望ましいだろう。

家賃滞納リスク

家賃滞納とは、入居者が家賃を支払わないために家賃収入を得られなくなるリスクのことだ。家賃滞納が長期化すると、収支が悪化するだけでなく滞納入居者を法的手続きに沿って退去させざるを得ない事態に発展することも想定される。滞納入居者の退去には、多大な手間(内容証明郵便の送付、訴訟手続きなど)と費用(弁護士費用、強制執行に係る費用など)が発生しかねない。

また入居者にお金がない場合は、訴訟に勝訴しても滞納分の家賃を回収できない可能性もある。家賃滞納リスクの回避策としては、以下3つの方法が効果的だろう。

  • 物件購入前に長期滞納者がいないかを確認する
  • 新規入居者の資力を確認する(入居審査時)
  • 入居者に家賃保証会社への加入を促す

物件購入前にあらかじめ売主または賃貸管理会社に既存入居者の滞納状況を確認しておけば、長期滞納者が入居している物件への投資を回避できる可能性が高まる。新規入居者に対しては、入居審査で資力(年収や預貯金額など)の確認だけでなく家賃保証会社への加入を促すのも有効だろう。

空室リスク

空室リスクとは、所有している物件の入居者が見つからず家賃収入が途絶えてしまうリスクのことだ。家賃収入の減少、すなわち収支の悪化に直結するため、不動産投資で最も懸念すべきリスクともいえる。転居が多発する時期(2~3月ごろ、9~10月ごろ)に発生する一時的な空室で次の入居者がすぐに見つかる場合は大きなリスクではない。

しかし空室期間が長期化すると大きなリスクとなる。空室リスクの回避策としては、以下2
つの方法が効果的だ。

  • 競合物件の空室状況を事前に確認する
  • 特定の賃貸需要(大学、工業団地など)に依存していないかを確認する

同じエリア・間取り・家賃水準の物件の空室状況(空室率、空室期間など)を投資前に確認することで物件の空室リスクの高さをある程度推測することができる。競合物件の空室率が高く入居者募集に苦戦している場合は、当該物件も同じ状況になることが想定されるため、「投資をしない」という選択肢を持っておくことも必要だ。

物件価格下落リスク

建物は現物資産であるため、築年数の経過による劣化・老朽化などの要因から経年とともに価値が下落しやすい。物件価格が購入時よりも下落すると、売却時に損失が出るリスクがあるということを認識しておこう。

物件価格下落リスクの回避策としては、以下3つの方法が効果的だろう。

  • 賃貸住宅が供給過剰になっているエリアへの投資を避ける
  • 設備交換や内外装のリフォームを定期的に実施する
  • 物件価格の下落を想定した資金計画を立てる

物件の維持管理を正しく行うことで、物件価格の下落スピードを緩めることができる可能性がある。築年数が経過しても価格が下落しない、または上昇することもあるが、そのような楽観的なシナリオよりも、物件価格は築年数とともに下落すると想定しておいた方が手堅い資金計画を立てられるだろう。

建物の大規模修繕を検討するにあたっては、コストパフォーマンスを熟慮しておこう。物件のメンテナンスや価格下落のスピードを緩める効果は見込まれるが、巨額の費用がかかる場合もあるため、必ずしも費用に見合った効果が得られるわけではない。

物件価格の下落は地価の下落や周辺環境の変化といったその時々の外的要因に左右されることもあるため、正確な予測やリスク回避は困難といえる。

修繕費リスク

修繕費リスクとは、建物や設備の経年劣化で修繕費が発生するリスクのことだ。例えばエアコンや給湯器、エレベーターなどの大型設備がある場合は、多額の修繕費がかかる可能性がある。修繕費を工面できないと当該物件における住環境としての質が低下し、家賃下落や空室率の上昇につながるリスクもあるため、注意が必要だ。修繕費リスクの回避策としては、以下3つの方法が効果的だろう。

  • 各設備の修繕履歴(修繕の時期および内容)を確認する
  • 大型設備の交換時期から逆算して資金を積み立てる
  • 突発的な修繕に備えて一定の資金をプールしておく

エアコンや給湯器は、いずれも11~15年程度、エレベーターは20~25年程度が一般的な交換時期とされている。次の交換時期から逆算して資金を積み立てておくのが得策だ。なお、設備の交換頻度は入居者の使用状況によって変動し得るため、経済的耐用年数(実際に継続して使用が可能な年数)は上記の期間よりも長くなる可能性がある。

固定費リスク

不動産投資では、以下のような固定費が定期的に発生する。

  • ローン返済(融資を受けている場合)
  • 管理委託費
  • 税金(固定資産税、都市計画税)
  • 損害保険料
  • 管理費および修繕積立金(区分マンションの場合)
  • 共用部分の水道光熱費(一棟物件の場合)

上述した固定費は「金利上昇(変動金利の場合)」「修繕積立金の値上がり」「保険料の値上がり」といった要因で上昇する可能性がある点は押さえておきたい。固定費リスクの回避策として以下4つの方法が効果的だ。

  • 固定金利でローンを組む
  • 賃貸管理プランの変更
  • 賃貸管理会社の変更
  • 不要な保険、特約の解約

固定金利を選択することで金利上昇のリスクを抑えることはできるが、変動金利よりも金利が高くなるのが一般的だ。金利の変動を加味しない場合、支払金利という固定費は固定金利のほうが高くなるということは認識しておこう。

賃貸管理会社自体や管理プランを変更することで、管理委託費用を下げられる可能性がある。一方で、コスト削減ばかりを考えるあまり、管理の質が下がってしまうのは本末転倒だ。コスト削減とサービス品質のバランスをしっかりと考えて決断したい。

融資を利用している場合、金融機関によっては火災保険の加入や水害特約の有無について融資時の契約(金銭消費貸借契約)で規定されている場合がある。不要な保険、特約を解約するにあたっては、解約の可否を確認しておこう。

災害リスク

災害リスクとは、台風や地震といった自然災害、それらに付随する洪水や火災といった二次災害の発生で建物が損傷するリスクのことだ。災害で建物が損傷すると多額の修繕費や建物の解体・建築費が発生したり賃貸ができない期間の家賃収入が大幅に減少したりするリスクがある。そのため日本で不動産投資をする場合、災害リスクは看過できないリスクといえるだろう。

災害リスクの回避策としては、以下3つの方法が効果的だ。

  • 物件購入前に「ハザードマップ」を確認する
  • 過去の災害発生状況および被害状況を確認する
  • 損害保険に加入する

不動産投資をする大前提として、災害が起こりやすいエリアに所在する物件への投資は避けたほうが無難といえる。ただし自然災害はいつどこで発生するか分からないため、万が一の災害発生に備えて損害保険(火災保険・地震保険・特約など)に加入し、リスク顕在化時の損失の最小化を図ることが重要だ。

事件事故リスク

事件事故リスクとは、物件内で入居者が死亡する事件事故(自殺、殺人事件、事故死)が発生するリスクのことだ。不特定多数の人の生活拠点となる賃貸住宅では、入居者または来訪者が事件事故を引き起こしたり巻き込まれたりする可能性がある。物件内で事件事故が起こると以下のような二次被害に発展し賃貸経営に大きな損害を与えかねない。

  • 特殊清掃や消臭などの費用の発生
  • 他住戸の入居者の退去
  • 心理的瑕疵のある物件として認知され、入居者募集が難航
  • 家賃および物件価格の下落

事件事故リスクの回避策としては、以下3つの方法が効果的だろう。

  • 営業図面に「告知事項あり」と記載がある物件はその内容を確認する
  • 周辺エリアの治安を確認する
  • 損害保険の特約(家主費用補償特約など)に加入する

事件事故が発生すると情報がネット上で半永久的に残り続ける可能性もある。そのため物件購入前のリサーチに加えて善後策として損害保険の特約への加入も検討しておくといいだろう。

適切な想定と備えでリスクマネジメントをしよう

大家になることには、リスクがつきものだ。そのためリスク要因と回避策を事前に理解しておくことが重要である。物件購入前のリサーチや対策はもちろん、購入後にリスクが顕在化した場合に備えた善後策も考えておくのが賢明だ。資金計画に反映させることができるリスク要因については、顕在化を想定した資金計画を立てておき、万が一の事態にも耐え得る賃貸経営を心がけよう。

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