なぜ会社に年金手帳を預けるのか?
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会社勤めをしている人なら、一度は疑問に思ったことがあるのではないだろうか。なぜ、就職すると会社に「年金手帳」を預けるのだろうか。結論から言えば、会社に年金手帳を預けるのはマストではないが、預けるのには理由がある。その理由を紐解いていこう。

年金手帳の役割

年金手帳を会社に預ける理由を考える上で、年金手帳にはどのような役割があり、何が記載されているのかを知っておく必要がある。

年金手帳とは?

年金手帳は、公的年金に加入している人に交付される紙の手帳だ。

1996年12月までに被保険者資格の取得手続きを行った人は「オレンジ色」の手帳、「基礎年金番号」が導入された1997年1月以降に被保険者資格の取得手続きを行った人は「青色」の手帳が発行されている。

年金手帳を使うシーンとしては、国民年金から厚生年金、もしくは厚生年金から国民年金への切り替えのとき、年金の請求手続きを行うとき、氏名や住所が変わったとき、などが挙げられる。

記載事項は?

現行の年金手帳には、年金の加入記録を管理するため基礎年金番号や、加入者の氏名・性別や生年月日、年金の加入年月日などが記載されているほか、年金手帳に関する注意事項なども書かれている。

なぜ会社に年金手帳を預けるのか

年金手帳に記載されている注意事項には「この年金手帳は、あなたが将来年金を受けるために必要となりますので、大切に保管して下さい」などと書かれている。しかし、このように「大切に保管して下さい」と書かれているのに、なぜ企業に就職すると会社に年金手帳を預けるのだろうか。

ちなみに企業によっては年金手帳を預からないケースもあるが、この記事では企業が年金手帳を預かるケースについて説明する。

「紛失防止」のため

結論から言えば、企業が年金手帳を従業員から預かる一番の理由は、年金手帳の紛失を防止するためだ。個人で年金手帳を管理していると、年金手帳を紛失してしまうケースが結構多い。

しかし、なぜ企業はわざわざ従業員の年金手帳が紛失しないよう努めるのだろうか。その理由は、従業員の住所が引っ越しで変わったり、結婚して苗字が変わったりした場合、企業が従業員の代わりに住所や苗字の変更手続きを行うからだ。

従業員の住所や氏名が変わる度に、その都度、企業が従業員に年金手帳の提出を指示してもいいが、もし従業員が年金手帳を紛失していたら、従業員に再発行の手続きをしてもらわなければならない。つまり、再発行されるまで手続きができない状態となる。

こうしたことを防ぐために、会社で年金手帳を預かっておくわけだ。また、企業があらかじめ年金手帳を預かっていれば、年金手帳の提出をそのつど指示する手間もなくなり、従業員にとっても都度提出する手間がかからない。

つまり企業が年金手帳を預かる仕組みは、企業にとっても従業員にメリットがある仕組みであると言える。

年金手帳を預けることはマストではない

ちなみに会社員が企業に年金手帳を預けるのは、決してマストではない。法律で義務付けられているわけではないので、断ることもできる。しかし前述の通り、預けた方が従業員側にも企業側にもメリットがあるので、基本的には預けるのが無難だと考えておこう。

年金手帳を預ける場合の注意点

ただし勤め先に年金手帳を預けた際には、1つ注意が必要だ。それは、その企業を退職したときに年金手帳の受け取り漏れがないようにすることだ。基本的には退職時に企業側から年金手帳を返してもらえるが、総務部の担当者が返却を忘れてしまうケースもあるだろう。

退職後は、厚生年金から国民年金への切り替えで年金手帳が必要になったり、新たな就職先で年金手帳を提出する必要が出たりする。そんなときに年金手帳が手元になければ、前にいた会社に連絡をしなければならない。

退職の仕方によっては、前いた会社に連絡したくないケースもあるはずだ。もし退職時に企業側から年金手帳の返却がなかったら、自分から返してほしい旨を忘れずに伝えるようにしよう。

年金手帳を紛失した時はどうすればいい?

最後に、年金手帳を紛失したときの対応策を説明しておく。勤め先に年金手帳を預ける前や返してもらったあとに、年金手帳を紛失してしまうケースはあるはずだ。この場合は、「年金手帳再交付申請書」を提出すれば、年金手帳が再交付される。

提出先は加入している公的年金によって異なり、例えば「国民年金第1号被保険者」の場合は「住所地の市区町村役場」、「厚生年金保険または船員保険の被保険者」の場合は「勤務する事業所を経由してまたは直接、事業所の所在地を管轄する年金事務所」となっている。

企業側にも従業員側にもメリットがある仕組み

年金手帳を企業に預けるのはマストではないが、この仕組みは企業側にとっても従業員側にとってもメリットがあることが理解できたと思う。

ちなみに年金手帳に書かれていることにじっくり目を通すケースはあまりない。今度手元に戻ってきたときに、一度ページをめくって丁寧に読んでみてはどうだろうか。

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