40歳で手取りが減る?介護保険料とは
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40歳になり、給与明細に記載されている手取りの減少に驚いた人も多いのではないだろうか。手取り減少の正体は、40歳から天引きが始まる「介護保険料」だ。老後に関わる介護保険料の仕組みや手取りが減る理由についてしっかり理解しておこう。

介護保険料とは?

介護保険料とは、介護保険制度に基づいて、40歳から徴収される保険料のことだ。

介護保険制度は、少子高齢化や核家族化などを背景に、介護を社会全体で支えるため2000年に創設された。厚生労働省は、介護離職者ゼロを目標として掲げている。

介護保険の被保険者は、40歳から64歳の第2号被保険者と、65歳以上の第1号被保険者に分けられる。

40歳から64歳までの第2号被保険者は、健康保険料とあわせて介護保険料を納付する。会社員で健康保険料が給与天引きされている場合、介護保険料も給与天引きで徴収される。自営業の場合は、国民健康保険料とあわせて納付することになる。

65歳以上の第1号被保険者は、原則年金から介護保険料が天引きされ、市町村等が徴収する。

多くの企業が加入する協会けんぽの場合、2021年3月からの介護保険料率は1.80%(半額は会社負担)だ。40歳になる誕生日の前日が属する月から介護保険料の徴収が始まる。そのため、特に給与が変化していなくても、手取り額が減少してしまうことになる。

介護保険料でどのくらい手取りが減るのか?

つづいて、介護保険料の徴収が始まるとどのくらい手取り額が減るのか、シミュレーションしてみよう。東京都在住、健康保険は協会けんぽとし、扶養親族3人と仮定。

<介護保険料徴収前>

給与800,000円
健康保険料38,868円
厚生年金保険料59,475円
雇用保険料2,400円
所得税45,890円
住民税90,000円
控除合計額236,633円
手取り額563,367円

<介護保険料徴収後>

給与800,000円
健康保険料38,868円
介護保険料7,110円
厚生年金保険料59,475円
雇用保険料2,400円
所得税45,890円
住民税90,000円
控除合計額243,743円
手取り額556,257円

介護保険料の影響で、同じ給与でも手取り額が減少していることがわかるだろう。給与の額や計算方法によっては、所得税の金額が変わることもある。また、仮に昇給したとしても、介護保険料の影響で昇給分が相殺されてしまうこともあるため注意が必要だ。

年収別に介護保険料を試算

介護保険料の負担は、年収が上がるほど大きくなる。つづいて、協会けんぽの保険料率1.80%(半額は会社負担)をもとに、年収別の年間介護保険料を比較してみよう。

年収年間介護保険料
500万円45,000円
800万円72,000円
1,000万円90,000円
1,500万円135,000円
2,000万円180,000円

※上記は目安であり、実際の介護保険料とは異なるケースがある

年収が上がるほど、介護保険料の負担も大きくなることを知っておこう。

介護保険料率はこれから上がる?

介護保険制度は2000年にスタートしたが、当初から比べると、介護保険料率は上昇傾向にある。協会けんぽの介護保険料率をまとめたのが下表だ。制度開始時と比較すると、2021年で約3倍になっていることがわかる。

<協会けんぽ(政府管掌健康保険)の介護保険料率の推移>

2000年度0.60%
2001年度1.08%、1.09%
2002年度1.07%
2003年度0.89%
2004年度1.11%
2005年度1.25%
2006年度1.23%
2008年度1.13%
2009年度1.19%
2010年度1.50%
2011年度1.51%
2012年度1.55%
2014年度1.72%
2015年度1.58%
2017年度1.65%
2018年度1.57%
2019年度1.73%
2020年度1.79%
2021年度1.80%

※記載のない年度は据え置き

残念ながら、今後も介護保険料率は上がっていくと予測される。なお、協会けんぽの介護保険料率と健保組合、共済組合、国保組合の介護保険料率は若干異なるため、あくまで参考程度に見ていただきたい。

現役世代でも介護保険を活用できる

保険料を負担しているからには、どのような場合にサービスを受けられるのかという点も知っておきたい。

実は、現役世代でも一定の条件のもと要介護状態になれば、介護保険を活用してサービスを受けることができる。介護保険を活用してサービスを受けるには、老化に起因する疾病である特定疾病によって、要介護(要支援)状態と認定される必要がある。

代表的な特定疾病には、たとえば次のようなものがある。

  • 末期がん
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症 など

また、65歳以上で要介護・要支援状態になった時は、疾病にかかわらず、介護保険を適用して介護サービスを受けることが可能だ。

介護保険があることで、原則1割の自己負担で介護サービスを受けられる(所得に応じて、自己負担が2割、3割となるケースもある)。

利用できる介護サービスには、たとえば次のようなものがある。

  • 訪問介護
  • 訪問看護
  • 福祉用具貸与
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション(デイケア)
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 特別養護老人ホーム など

将来に向けての資産形成も検討しよう

介護保険料が給与から天引きされると、手取り額が減るのは事実だ。しかし、病気によって現役世代であっても介護状態になるリスクはある。また、将来的に介護が必要となる可能性は十分にあるだろう。介護保険制度は、介護を社会全体で支える仕組みであり、家族の負担を減らすことにもつながる。

介護保険制度について理解を深め、介護保険料の天引きが始まると同時に、そろそろ老後生活への備えを本格的に検討し始めるのもいいだろう。

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