一棟アパート経営を行うと年収はどれくらい?シミュレーションしてみる
(画像=Song_about_summer/stock.adobe.com)

物件購入を検討する際に「一棟アパート経営をするとどれくらいの年収を見込めるか」について知りたい人もいるだろう。ここでは、家賃収入から経費や税金を差し引いた手残りを何パターンかシミュレーションしていく。本記事を読むことで年収シミュレーションの基本を身につけられるだろう。

そもそも一棟アパート経営の年収とは何を指す?

一棟アパート経営による年収といったとき次のうちのどちらかを指していることが多い。

  • 年収=家賃収入
  • 年収=家賃収入から経費や税金を差し引いた手残り

国税庁によると不動産の貸付による収入の定義は「家賃・地代など」だ。そのため一棟アパートの年収とは「家賃収入そのままの額」ということになる。ただ現実的には、家賃収入だけでなく最終的な手残りも重要だ。そう考えると手残りを明確にするなら「家賃収入から経費や税金を差し引いた手残り=年収」と考えたほうがいいかもしれない。

例えば家賃収入は「年間売上」、手残りを「年収」と使い分けるのもよいだろう。以上を踏まえて本記事では「家賃から経費や税金を差し引いた手残り」のことを便宜上、年収と表現する。

一棟アパート経営の年収に影響を与える7つの項目

一棟アパート経営による年収に影響を与える項目は、以下の7つだ。

  1. 家賃設定
  2. 部屋数
  3. 入居率
  4. 固定資産税・都市計画税
  5. 管理委託費
  6. 修繕費、ハウスクリーニング代、火災保険など
  7. ローンの返済条件

1.家賃設定

一棟アパート経営の利益の源泉は、家賃収入だ。当然家賃設定が高いほど年収は多くなりやすい。一方相場よりも家賃設定が割高になると空室リスクが高まり家賃収入が減る可能性が出てくる。そのため家賃設定と空室リスクの間でバランスをとることが重要だ。

2.部屋数

同じ家賃設定でも所有する部屋数によって年収は変わってくる。例えば1部屋あたりの家賃が6万円の場合、4室所有なら年間で得られる家賃は288万円(6万円×4室×12ヵ月)、12室なら864万円(6万円×12室×12ヵ月)とその差は3倍だ。不労所得生活などを目指すなら部屋数を多く確保することがポイントになる。

3.入居率

不動産投資の手残りを増やすには、入居率をいかに高めるかが重要だ。平均的な入居率はエリアや物件の条件によって異なるが、日本賃貸住宅管理協会の「日管協短観(2020年度下期)」※この先は外部サイトに遷移します。によると、全国 97%、首都圏 97.4 %、関西圏 98.1 %である。

4.固定資産税・都市計画税

自治体によって税率は異なるが、一般的に所有する土地や建物の課税標準額に固定資産税は税率1.4%を、都市計画税は税率0.3%を乗じて計算することが多い。そのため地価が高いと固定資産税も高くなる。特に地価の高い首都圏や大都市の一棟アパートは、固定資産税・都市計画税がいくらになるかを確認したうえで購入するのが賢明だ。

5.管理委託費

管理委託費とは、物件や入居者の管理を代行する管理会社などに毎月支払う報酬のことだ。管理委託費の設定は、不動産業者によって異なるが家賃の5%程度が目安で報酬設定が高いほど年収は減ることになる。しかし管理委託費が安くてもサービスの質が悪ければ空室リスクが高まる可能性があるため、慎重に判断したい。

6.修繕費、ハウスクリーニング代、火災保険など

このほか一棟アパートの年収に影響を与える支出には、大規模修繕費の積立金、入居者の退去時にかかるハウスクリーニング費や修繕費、建物にかける火災保険などがある。

7.ローンの返済条件

ローンを利用してアパート経営を始める場合、不動産年収に最も影響を与えるのがローンの返済だ。
返済金額はローンを利用する際に設定する条件によって異なる。返済金額を決定する要素は次の通りだ。

  • ローン金額
  • 返済期間
  • 金利

この内、ローン金額と金利は高くなれば高くなるほど返済金額は高くなりやすく、返済期間は短く設定するほど返済金額は高くなる。
返済金額を抑えるためには、自己資金を投入して借りるローン金額を抑えるか、返済期間を長く設定するか、金融機関に金利交渉をして設定金利を抑えるかになる。しかし、返済期間や金利については金融機関がその条件に応じるか応じないかが関わってくることから簡単なことではないことに加え、返済期間を長く設定することは ローンの残債の減少スピードを遅くするデメリットもあることから、よく検討する必要がある。

アパート経営の年収シミュレーションの重要性

一棟アパートの年収は、家賃設定や支出に大きく左右される。大事なことは「一棟アパートの購入を考えたときに年収(=手残り)がどれくらいになるか」について自分自身で計算してみることだ。計算をしっかりと行っておくことで「思ったように儲からない」といった失敗を避けやすい。ただ初心者の場合「アパート経営の年収シミュレーションを自分でできるだろうか」と不安な人も多いだろう。

しかし実際は、それほど複雑ではない。後ほど紹介する例を参考にしながらおおまかでもよいので年収を計算することをおすすめする。一棟アパートの年収シミュレーションのポイントは、条件を変えながらいくつかのパターンを計算してみることだ。これにより「条件が変わったら年収がどれくらい変わるか」を実感しやすくなる。ここでは、以下の3パターンでシミュレーションしていく。

  1. ベースとなる年収シミュレーション
  2. 入居率を変更したシミュレーション
  3. 金利を変更したシミュレーション

一棟アパートの年収シミュレーション1(ベースとなるもの)

ここでは、以下の物件条件に基づいて一棟アパートの年収シミュレーションを紹介する。

  • 購入費用:5,500万円
  • 戸数:6戸
  • 築年数:新築~築5年以内

「この条件で5,500万円の物件を見つけるのは難しいのでは?」と感じる人もいるかもしれない。しかし首都圏の駅からある程度離れたエリアや地方都市などでこれに近い条件の物件は散見される。なお、ローンの借り入れ条件は、以下のように設定した。

  • 銀行借入:4,500万円(自己資金1,000万円)
  • 借入期間:20年
  • 金利:2%

以上の条件で一棟アパート経営による年収(手残り)を計算してみると53万8,636円になる。詳細は、次の通りだ。

収入/支出/年収内訳
収入
年間収入403万2,000円
1部屋家賃7万円×6戸×入居率80%
=33万6,000円/月
支出
年間支出349万3,364円
・ローン返済毎月支払い
(元金・利息)273万1,764円/年(22万7,647円/月)
・固定資産税・都市計画税36万円/年
・管理委託費(5%)20万1,600円/年
・修繕費予測10万円/年
・火災保険料(地震保険あり)10万円/年
年収53万8,636円年間収入403万2,000円-年間支出349万3,364円
=53万8,636円

一棟アパートの年収シミュレーション2(入居率を変更)

上記の一棟アパートの年収シミュレーション1は「入居率を80%に設定」したケースだ。物件の基本情報や支出は、そのままで入居率が好調(90%)または不調(70%)だった場合、一棟マンションの年収がどれくらい変わるかを確認してみよう。

入居率年収家賃収入/月の内訳
90%104万2,636円1部屋家賃7万円×6戸×入居率90%
=37万8,000円/月
80%53万8,636円1部屋家賃7万円×6戸×入居率80%
=33万6,000円/月
70%3万4,636円1部屋家賃7万円×6戸×入居率70%
=29万4,000円/月

同じ家賃と支出でも入居率が違うと年収に大きな差が出ることが分かる。入居率90%と70%を比較すると年収で100万円以上の違いになるのだ。

一棟アパートの年収シミュレーション3(金利を変更)

次に確認するのは、シミュレーション1の内容をベースに「ローン返済の金利」のみを変更した場合だ。シミュレーション1では金利2%だったが金利2.5%と金利3.5%で比較してみる。(いずれも借入額4,500万円、返済期間は20年の条件)

金利年収毎月の返済額
(元金・利息)
2.0%53万8,636円22万7,647円
2.5%40万8,928円23万8,456円
3.5%13万8,628円26万981円

このようにローン返済の金利が変わると年収も大きく変わってくる。そのため低金利で融資が受けられるタイミングで不動産投資を始めると有利なことが実感できるだろう。

金融機関で提供するローンシミュレーターも役立つ

ここでは、一棟アパート経営による年収はどれくらいかのシミュレーションを紹介していく。今回のように条件を変えてシミュレーションを行うことで自身が求める年収を得るための入居率や金利などもイメージしやすくなるだろう。ほかにもローンの借入期間や借入額を変えて年収シミュレーションする方法もある。うまくシミュレーションできない人は、金融機関や税理士などの専門家にサポートしてもらいながら行うのも一案だ。金融機関で提供しているシミュレーションサービスも役立つだろう。

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