不動産投資を行ううえで、見過ごせないのが建物のコンディション。
中古物件は、売買価格も安く、すでに賃借人がいれば収支もわかりやすいという利点がありますが、思わぬ劣化や不具合・施工不良により修繕費用がかさみ、想定していた利益が見込めなくなることもあります。
建物の不具合・施工不良は珍しいことではない
建物は建築時の設計や工事の際の見落とし等により、残念ながら施工不良を抱えていることが少なくありません。
また、時間の経過と共に劣化は進み、さらに突発的な暴風雨や地震等によっても不具合が生じたり、ダメージが蓄積されたりしていきます。
特に中古の場合は劣化があることが前提であり、修繕による支出のリスクを抱えています。それらのリスクを減らすためには売り主と賃借人・管理会社からの情報収集や建物の入念なチェックなど、状態の見きわめが必要になります。
実需(購入者自らお住まいで自宅として所有しているケース)物件の場合は、売り主が不具合・劣化を把握していることもありますが、賃貸物件は売り主・賃借人も含めて建物への関心が低く、不具合が認識されていない傾向にあります。
管理会社も売買の不利になる情報を明らかにしないことや、そもそも情報を蓄積して提供をする手段がないことも多くあります。
従って、引き渡し直後に想定外の不具合が発覚することもあり、数年後に大規模な修繕が必要になるケースもあります。そもそもの目的であった収入・資産を増やすことができないばかりか、その修繕費用から負の資産になってしまうリスクがあります。
投資にはリスクはつきものですが、事前のチェックで回避できるものもあります。
リスクヘッジに有効なのが、ホームインスペクション(住宅診断)
そのようなリスクを減らすひとつの手段として、ホームインスペクション(住宅診断)があります。
ホームインスペクション(住宅診断)とは、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場からまた専門家の見地から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見きわめ、アドバイスを行う専門業務です。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
- 引き渡し後に発覚しがちなトラブルを未然に回避できる
- 欠陥があり、本来買ってはいけない物件を取得してしまうリスクを減らせる
- リフォームや修繕に「いつ頃」「どこに」「いくらくらいのお金が掛かるのか」がわかる
- ホームインスペクターの知識・経験に基づく、買い手側の立場で見た報告・アドバイスを受けられる
- 修繕費用目安を知り、適切な収支計画を立てることができる
契約前の判断材料に。ホームインスペクション活用事例
実際に、投資用物件でホームインスペクションを行った事例を紹介します。
事例1:ホームインスペクション(住宅診断)をした結果、基礎にひび割れが見つかり、さらに建物がひび割れ付近から著しく傾斜していることがわかった。生活に支障がある状況であり、賃借人のために改善を必要とする事象ではあるが、多額の費用が掛かることが考えられることから、売買契約をすることを止めた。
事例2:ホームインスペクション(住宅診断)をした結果、建物のコンディションが良いことがわかり、予定通りの利回りを得られる可能性が高いことがわかったことから、安心して購入できた。
事例3:ホームインスペクション(住宅診断)をした結果、屋根・外壁に進行した劣化が見られ、近々大規模修繕が必要である状態であることがわかった。販売価格は低いが想定してない修繕費用が掛かり、利回りが大きく減るリスクが高いことがわかった。
事例4:ホームインスペクション(住宅診断)をした結果、キッチン、洗面所、浴室ともに設備が古く、一部漏水していることがわかった。現在、入居率が悪いが、近隣の同規模の賃貸部件は空き室が少ないことから、 老朽化した設備を入れ替えた費用を含めて収支を検討することにした。
建物のコンディションも判断材料の一つに
このようにホームインスペクション(住宅診断)は契約の可否を決める際の判断材料にすることができるほか、「近々修繕が必要かどうか」「必要な場合はどのような方法があり、いくらぐらいの費用が掛かるのか」「いま必要ない場合はいつ頃に修繕が必要になるか」など、自ら先の収支予測を立てることができます。
不動産投資を行ううえで、リスクの程度を予測する判断材料の一つとして建物のコンディションを確認されてはいかがでしょうか。
1999年、業界で初めて個人向け不動産コンサルティング業務をスタート。
建築士やマンション管理士など多様で実績豊富な専門家が在籍し、
不動産取引・建物調査・管理組合運営など不動産に関する総合的なアドバイスを行う。
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