不動産投資を始める前に知りたい売却の基本 売却タイミングとポイント
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不動産投資は、インカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却差益)のトータルで考えるビジネスである。そのため、物件を検討・購入する段階から売却のことを意識したほうがいいだろう。本稿では、不動産投資における売却の重要性、売却の流れやタイミングなどを初心者向けに解説する。

不動産投資を始める前に売却の基礎知識はなぜ必要か

投資物件を購入する前に売却の基礎知識をしっかりと押さえておきたい。なぜなら最終的な不動産投資の収支は、インカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却差益:ただし差損になることもある)のトータルで見ていくからだ。例えば、インカムゲインで十分なキャッシュフローがあっても売却時に差損が発生してしまえば、利益が圧縮されたり損失となったりすることも考えられるのだ。また、インカムゲインが低利回りでキャッシュフローが出づらくても売却時に差益が出て利益となることもあるだろう。

このように不動産投資は、インカムゲインとキャピタルゲインのバランスで成り立つ利益構造となっている。そのため物件を検討する際には、利回りだけでなく売却価格の目安や売却タイミングなどを把握するのが望ましい。

不動産投資における将来の売却金額の考え方

不動産投資は、物件を売却するケースも想定しておきたい。そのため、いくらで売却できるのかを把握するために、物件購入から数年毎、あるいは1年毎に購入した物件の売却価格を定点的に調べておくことが大切だ。

不動産投資の初心者が自分で査定することは難しいため、実際には不動産業者などに計算してもらうのが現実的だ。ただし、計算方法の基本的な仕組みは覚えておきたい。その内容は、以下のとおりだ。

  • 積算評価
    積算評価とは「土地価格+建物価格」のことだ。土地と建物それぞれの価格の計算式は、以下のようになる。

・土地の価格=路線価または公示地価×土地面積
 ※土地形状などによって最終的に価格は調整される
・建物の価格=再調達価格×延床面積×(法定耐用年数-築年数)÷法定耐用年数

再調達価格とは、同様の不動産を再び購入すると想定した場合に必要な原価のことである。

  • 収益還元評価
    収益還元評価は、その不動産から将来見込まれる利益をもとに価値を評価する方法だ。収益還元法は、「直接還元法」「DCF法」の2つに分けられるが、ここでは直接還元法の計算式を紹介する。

1年間の収益(年間賃料収入-必要経費)÷還元利回り

積算評価と収益還元評価どちらに比重を置くかは、立地などを考慮したうえで判断するべきだろう。例えば都心部では積算価格と市場価格がかけ離れているケースも見られるため、収益還元評価を重視するといった具合だ。

不動産売却の基本的な流れを理解する

不動産投資を始めるにあたっては、不動産売却の流れを理解しておくことも大切だ。いざ売却するときになって、「こんなに手間や期間がかかるのか」と困惑しないよう基本的な流れは押さえておきたい。順序は以下のとおりだ。

  1. 不動産業者に査定依頼をする
  2. 不動産業者と媒介契約を結ぶ
  3. 不動産業者による販売活動
  4. 売買契約・引き渡し

1.不動産業者に査定依頼をする

売却するには、まず物件の客観的な価値を把握しなければならない。一般的な査定方法は、つきあいのある不動産業者への依頼やネットの無料査定サービスを利用する。一方で高額物件などは、不動産鑑定士による鑑定評価を行うケースもある。

2.不動産業者と媒介契約を結ぶ

売主が査定価格に納得して不動産業者と媒介契約を結ぶことで、いよいよ物件の売却活動が始まる。このとき、取り交わす媒介契約の種類は以下の3つだ。それぞれの違いを理解したうえで、自分に合った契約を選択することが大切である。

媒介契約の形式 依頼できる業者数 レインズの登録義務 売主への報告義務
専属専任媒介契約 1社のみ あり 1週間に1回以上
専任媒介契約 1社のみ あり 2週間に1回以上
一般媒介契約 複数可 なし なし

※「レインズ」とは全国に4つある不動産流通機構(国土交通大臣から指定)が運営しているコンピューターネットワークシステムのこと

なお、専属専任媒介契約では売主が自分で買主を見つけた場合でも不動産業者を通して契約しなければならない。しかし、専任媒介契約の場合は同じ局面でも売主と買主の直接契約が可能だ。

3.不動産業者による販売活動

不動産業者による販売方法の例としては、主に以下の方法がある。

  • レインズへの売却情報の公開
  • 不動産業者の購入希望者リストの活用
  • 不動産業者の自社サイトや不動産情報サイトでの情報掲載
  • 新聞折り込みチラシや投函チラシなど

なお、予定していた販売活動の期間が過ぎても買主が見つからないときは、不動産業者または販売方法のどちらかの変更を検討したほうがいいだろう。

4.売買契約・引き渡し

収益物件を売却する際は、買い手から指値(値段を指定すること)を入れられるケースもある。そのため「値引きが可能か否か」「どれくらいの価格までなら値引きが可能か」などをあらかじめ決めておくとスムーズだ。

収益物件を売却するタイミングの見極め方

収益物件を売却するタイミングは、状況によってケースバイケースだ。例えば「売却差益の確保」を最優先する場合の目安は「所有期間5年超」と考えられる。なぜなら、以下のように譲渡所得(売却差益)にかかる所得税の税率が大きく変わってくるからだ。

譲渡所得の種類 所有期間 譲渡所得にかかる税率
(復興特別所得税は除く)
長期譲渡所得 5年超 20%(所得税15%+住民税5%)
短期譲渡所得 5年以内 39%(所得税30%+住民税9%)

出典:国税庁「暮らしの税情報(令和3年度版):土地や建物を売ったとき」 ※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

注意したいのは、上記の所有期間が物件を売却した年の1月1日で5年超かどうかが判断される点だ。例えば、2021年10月1日時点で所有期間が5年超となる場合は、2021年1月1日時点では5年以内となるため、2021年のどこで売却しても短期譲渡所得となる。

不動産投資の売却で不利にならないためのポイント

これから不動産投資を検討する人が覚えておきたいのが、売却で不利にならないためのポイントだ。購入前・運用中・売却時のそれぞれで注意点がある。

[購入前]マイナス材料がないかチェックする

不動産会社に物件情報を請求すると、物件概要書(通称「マイソク」)が送られてくる。そのなかに、将来の売却時にマイナスになるような材料がないかをチェックしておきたい。例えば、「借地権」「再建築不可」といった条件がある物件は敬遠される傾向にある。知らずに購入してしまうと後々売却で苦労する可能性があるため、不動産投資の初心者は慎重になるべきだろう。

借地権 ・土地の所有者が売主以外の物件
・一般的に購入後は地代を払う必要あり
再建築不可 ・物件を取り壊した際に再び建築することができない物件
・融資の評価の対象にならないことも
建ぺい率超過 ・建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のこと
・超過物件は現代の法律では違法建築になる
容積率超過 ・容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のこと
・超過物件は現代の法律では違法建築になる

加えて、現地に赴いて実際に物件を見ることでわかるマイナス材料もある。例えば、「近くの道路の交通量が多く騒音がある」「近くに河川があり台風時などに洪水する可能性がある」といった住みにくい面や自然災害リスクである。これらは、マイソクだけでは確認できないため、可能であれば現地に行ってみるといいだろう。なお、自然災害リスクについては市区町村が発信しているハザードマップを確認するのも1つの方法だ。

[運用中]適切な家賃設定になっているかチェックする

一般的に収益物件の家賃は、築年数が増えるごとに徐々に減っていくケースが多い。問題となるのは、空室を埋めるために相場よりも家賃を下げ過ぎてしまうことだ。これは、現実的にやむを得ない一面もあるが、場当たり的に家賃を下げ続けてしまうと利回りが悪化する可能性もある。結果的に、収益還元評価で物件の価値を割り出した際に低評価となり、売却で不利になるケースもあるため注意しておきたい。

[売却時]期間的に余裕をもって売却する

不動産の売買は、売り手と買い手が1対1で交渉する相対取引だ。そのため「すぐに現金化したい」などの事情で売却を焦っている場合は、「必要以上の値引きに応じざるを得ない」といった結果になる可能性もある。買主に足元を見られないためには、期間的に余裕をもって売却することが大切だ。

どれくらいの期間があれば十分かは、立地や物件状態で異なる。仲介を担当する不動産会社と綿密なディスカッションを行ったうえで目安を決めるのが無難だ。

不動産投資の初心者が売却しやすい物件を選ぶ方法

ここでは、不動産投資を始める前に売却の基本を知っておくことの大切さについて解説した。冒頭で触れたように不動産投資が最終的に成功したかは、インカムゲインとキャピタルゲインの合算で判別される。そのためインカムゲインにフォーカスした利回りだけでなく、売却価格の目安や売却時の有利・不利を視野に入れて物件購入するのが得策である。

ただし、「その物件が本当にいくらで売れそうか」「対象エリアの賃貸マーケットが将来どうなるか」は、初心者には判断が難しい。そのため、例えば不動産業者に複数の候補物件を提案してもらい「どれが将来的に売却しやすいか」「その根拠は何か」といったことを聞く方法で絞り込んでいくのも一案だ。

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