バルク売りとは?バルク売り物件のメリット・デメリットや探し方を解説

不動産投資を検討している方の中には、バルク売りという販売形式を見たことがあるかもしれません。その定義やメリット・デメリットについて詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。

そこで本コラムでは、バルク売りの概念、バルク売り物件のメリットやデメリット、そして効果的な探し方について詳しく解説します。本コラムを読み、高利回りの可能性や運営権の確保、出口戦略の柔軟性など、バルク売りならではの特性を理解することで、より賢明な投資判断を行うことができるでしょう。

バルク売りとは?

バルク売りとは?バルク売り物件のメリット・デメリットや探し方を解説
(画像:PIXTA)

バルク売りとは、同じマンション内で複数戸をまとめて販売することや一棟売りをまとめて販売する取引方法のことをいいます。バルク売りはサブプライムローン問題をきっかけに普及しました。当時、日本でも多くの不良債権を抱えていた金融機関がバルク売りを活用し、債務者が抵当に入れていた不動産を売却することで資金を回収していました。

このように当初、バルク売りは手放したい不動産を大量に売却できるため、不良債権を処理する手段として広く採用されていました。しかし、現在ではさまざまな理由で複数の不動産をまとめて売却したい売主と、まとまった量の物件を効率的に取得したい買主のニーズに応える販売方法として利用されています。

サブプライムローン問題とは
サブプライムローン問題とは、2007年にアメリカ合衆国で発生した金融危機のことを指します。そもそもサブプライムローンとは、融資を受けにくい個人を対象とした低所得者向けのローンのことで、アメリカでは長年にわたり住宅価格が上昇し続けていたため、住宅を担保にすることにより、多くの低所得者が住宅を購入できました。

しかし、アメリカの住宅価格の伸びが止まり、借り手が物件を担保として借り換えることができなくなったため、返済不能者が急増し、金融機関は大量の不良債権を抱えることになりました。その結果、金融機関の経営や収益に対する信用が低下し、株式市場を含む金融市場全体が混乱に陥りました。

バルク売り物件のメリット

バルク売り物件には、主に以下のようなメリットがあります。

  • 高い利回りが期待できる
  • 値下げ交渉がしやすい
  • 分譲仕様の物件で人気がある
  • 柔軟な出口戦略を立てることができる
  • マンションの運営方針をコントロールしやすくなる

高い利回りが期待できる

バルク売り物件では高い利回りが期待できます。複数の区分所有マンションをまとめて販売することで、個別に購入するよりも1室あたりの価格が安くなる傾向にあります。

例えば1戸3,000万円の物件を購入し、その利回りが5%だったとします(年間収益150万円)。 しかし、同じ条件の物件をバルク売りとして4戸まとめて8,000万円(1戸あたり2,000万円)で取得した場合、利回りは7.5%になります。

このように、バルク売り物件は割安な価格で取得することができ、通常の区分マンション投資では得られないような高利回りを期待することができます。

値下げ交渉がしやすい

バルク売り物件では基本的に売主が早く手放して資金を調達したいというケースが多いです。そのため、買主にとっては値下げ交渉がしやすいです。例えば、ディベロッパーが売れ残った物件を処分したい場合や、地主が相続や資産整理のためにまとめて売却をしたい場合などが考えられます。

このような状況下では、買主側が有利な立場で交渉を進められる可能性が高く、さらに割安な価格で物件を取得できるチャンスがあります。

分譲仕様の物件で人気がある

バルク売りの対象となるマンションは、入居希望者から人気を集めやすいです。多くの場合、バルク売り物件は自己居住用の分譲マンションとして建設された物件であり、賃貸用に建てられた物件と比べて、設備や内装の質が高い傾向にあります。

例えば、キッチンや浴室が充実していたり、内装材の質にこだわっていたりする特徴があります。そのため、同じ家賃水準であれば、分譲仕様の物件の方が賃貸市場で優位性を持ち、高い稼働率を維持しやすくなります。その結果、安定した賃貸収入を得られる可能性が高まります。

柔軟な出口戦略を立てることができる

バルク売り物件では、柔軟な出口戦略を立てることが可能です。例えば、物件を売却する際に、一室単位で居住用物件として売却することができたり、物件全体を一括で売却することができたりします。

このようにバルク売り物件を購入すると、その時々の経済状況や不動産市場の動向に応じて、最適な売却方法を選択することができます。一棟所有にはない柔軟性があり、投資戦略の幅を大きく広げることが可能です。

マンションの運営方針をコントロールしやすくなる

同一マンション内に複数戸の所有をすることで、管理組合での影響力が大きくなります。マンションでは共用部分の改装や大規模修繕の内容や時期、管理費の使途などの運営方針を管理組合によって決定します。通常の区分所有では、1戸あたり1票の議決権しかありませんが、バルク売り物件で複数戸を所有すれば、それだけ多くの議決権を持つことになります。

そのため、大規模修繕の時期や内容、管理費の使途など、マンション全体の運営方法に大きな影響力を持つことができます。所有戸数が全体の過半数を超えれば、実質的にマンション全体の経営権を握ることも可能です。このようにバルク売り物件には、管理組合の運営方針をコントロールしやすくなるというメリットがあります。

バルク売り物件のデメリット

バルク売りとは?バルク売り物件のメリット・デメリットや探し方を解説
(画像:PIXTA)

バルク売りには魅力的なメリットもありますが、以下のようなデメリットもあります。デメリットもきちんと理解した上で、投資判断をしましょう。

  • リスクを分散させることが難しい
  • 物件の質が低い場合がある

リスクを分散させることが難しい

バルク売り物件は同一のマンションや地域に投資が集中するため、リスク分散が難しくなります。そのため、特定地域の不動産市場の変動や災害リスクに対して、ポートフォリオ全体が脆弱になる可能性があります。

例えば、その地域の主要産業が衰退した場合や大規模な自然災害が発生した場合、保有するすべての物件の価値が同時に下落するリスクがあります。また、同一マンション内で複数戸を所有している場合、建物の欠陥や管理組合の運営トラブルといったそのマンション固有の問題が発生すると、投資全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。

このようにリスク分散が難しいことから、金融機関によってはバルク売り物件への融資に消極的な場合もあります。融資を受ける際に、通常の不動産投資よりも厳しい審査基準が適用されたり、融資額が制限されたりする可能性があります。

立地や周辺の治安など、あらかじめ避けられるリスクを把握し、十分に調査する必要があります。

物件の質が低い場合がある

バルク売り物件には売却困難な質の低い物件が含まれている場合があります。不動産投資家にとって重大なリスクとなるため注意が必要です。

例えば、バルク売り物件の中に含まれる物件の中には、立地条件が悪い、建物の老朽化が進んでいる、過去に事故や事件があった、あるいは法的な問題を抱えているなどの理由で、個別に売却することが困難な物件が混在している可能性があります。そのため、価格が安いという魅力的な側面に惑わされず、慎重な物件調査が不可欠になります。

バルク売り物件を購入する際に確認すべきこと

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前述した通り、バルク売り物件には物件の質が低い場合があるため、購入を検討する際には以下のようなことを確認しましょう。

  • マンション運営の管理状況を確認する
  • 問題のある物件が混ざっていないか

マンション運営の管理状況を確認する

バルク売り物件を購入する際には、マンションの管理状況を詳細に確認することが重要です。管理組合の運営状況が適切でない場合、建物全体の資産価値や居住環境に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には以下のような項目を確認しましょう。

項目 説明
修繕積立金の残高 修繕積立金が十分に確保されているかどうかを確認しましょう。積立金が不足している場合、将来的な大規模修繕時に一時金が徴収される可能性があります。
大規模修繕の履歴と計画 過去にどのように修繕が行われたか、また今後どのような修繕計画が立てられているか確認しましょう。特に、外壁や設備の老朽化が進んでいる場合、適切な修繕が行われていないと建物全体の価値が低下する可能性があります。
管理費や運営状況 管理費の使途が明確であり、管理組合が適切に運営されているかを確認しましょう。例えば、管理組合の会計報告書や議事録を確認することで、運営上の問題やトラブルがないかを把握できます。
また、現地確認を行い、建物の維持管理がきちんと行われているか、清潔感が保たれているかなどを確認することも重要です。

問題のある物件が混ざっていないかを確認する

一般的な不動産投資と同様に、マンションの立地や築年数などの前提条件はすべて確認してリスクを把握しましょう。また、前述した通りバルク売り物件は複数戸を一括でまとめて販売するため、良質な物件と問題のある物件が混ざっている可能性があります。そのため、立地条件や築年数の確認に加えて、以下のような調査が追加で必要になります。

  • 各物件の設備の状態や過去の修繕履歴、管理状況などを確認する
  • なぜバルク売りされているのか理由を確認する

このようにバルク売り物件の場合、立地条件や築年数などの確認だけでは不十分な面があります。一つ一つ物件を丁寧に確認することで、バルク売り物件に潜在するリスクを最小限に抑えることができます。

バルク売り物件の探し方

バルク売り物件は特有のリスクを最小限にすることができれば、非常に魅力的な選択肢となります。それでは、バルク売り物件はどのように探せば見つかるのでしょうか。ここではバルク売り物件の探し方として、以下の方法を解説します。

  • 不動産ポータルサイトで探す
  • 不動産業者から紹介してもらう

不動産ポータルサイトで探す

バルク売り物件を探すには、不動産ポータルサイトを活用しましょう。特に、投資用不動産に特化したポータルサイトでは、バルク売り物件の特集ページや専門コーナーが定期的に設けられていることが多く、不動産投資家にとって貴重な情報源となります。

これらのサイトを効果的に利用するには、まず「バルク売り」や「一括売却」などのキーワードを用いて検索を行い、エリアや価格帯、物件タイプで絞り込みをしましょう。新着物件の通知設定を行うことで、最新情報をタイムリーに入手することができます。また、複数サイトを比較することで、同じ物件でも異なる視点からの情報が得られる可能性があります。

不動産業者から紹介してもらう

専門の不動産業者や投資用不動産を扱う業者から紹介してもらうことも有効な手段です。これらの業者は、一般のポータルサイトには掲載されていない物件の情報を持っていることがあり、優良な投資物件を見つけられる可能性が高まります。また、物件の詳細な情報や過去の取引事例なども把握していることが多いため、投資判断に必要な情報を得やすくなります。

紹介を受けるためには、不動産業者との関係性を構築する必要があります。定期的に業者とコンタクトを取り、自身の投資方針や希望する物件タイプを明確に伝えたりすることで関係構築を行いましょう。ただし、業者から紹介された物件であっても、自身で十分な調査を行うことが必要になります。

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