多くの人にとって、家計の固定費のなかで最も大きなウエイトを占める項目の一つが住居の家賃だ。普段の買い物で1円、10円の節約に励むのも大切だが、毎月数万円という大きな出費である家賃の支払いで得ができれば節約効果は高まるだろう。
本コラムでは、クレジットカードを活用した家賃支払いについて紹介する。
家賃もクレジットカードで支払いできる?
もともと不動産業界では、家賃のクレジットカード払いが普及していなかった。なぜならクレジットカード払いにした場合、不動産会社はカード決済に伴って手数料をカード会社に支払う(差し引かれる)必要があるからだ。例えば毎月の家賃が7万円の部屋でクレジットカード決済の手数料が5%なら手数料は毎月3,500円となる。
つまり、家賃は変わらないのにもかかわらずクレジットカード払いに対応したために、1部屋あたりの賃料収入が毎月3,500円減るのだ。しかし、近年はキャッシュレス決済の普及に伴い、不動産会社でも入居者の利便性の向上や他物件との差別化のため、家賃のクレジットカード払いに対応する会社が増えている。そのため今後は、キャッシュレスに対応していないと競合他社と比べて不利になることもありえるだろう。
ただし、不動産会社によっては、クレジットカードのブランドに指定がある点には注意が必要である。これは、通常の買い物の際でも同じだが、例えば「VISAのみ」「JCBのみ」といった不動産会社もあるため、事前にチェックすることが大切だ。
家賃のクレジットカード払いの仕組み
クレジットカード払いは、入居者と不動産会社の間にカード会社が入る仕組みだ。例えば入居者がクレジットカードで家賃7万円を支払うと、カード会社の手数料が5%なら3,500円を差し引いた6万6,500円を不動産会社に振り込む。さらに、オーナーが別にいるケースだと、不動産会社が管理手数料を差し引いた分をオーナーに振り込む流れになる。入居者は、支払いの翌月もしくは翌々月の口座引き落としなどで、他のクレジットカード利用分と合わせてカード会社に支払うことになる。
不動産会社にとっては、上述の通りクレジットカード払いに対応すると、手数料分の手取りが減る点はデメリットだ。しかし、銀行の自動引き落としと同じように毎月カード会社を経由して確実に家賃が入金されるため、未払いを防げる点はメリットだ。
毎月所定日にカード会社から不動産会社へ家賃が支払われ、その翌月カード会社が入居者に請求するため、不動産会社にとっては借主の支払い能力にかかわらず必ず家賃が入金されて、家賃滞納のリスクがなくなるわけだ。
入居者のメリットは?
クレジットカード払いの場合、不動産会社だけでなく入居者にとっても以下のようなメリットがある。
・クレジットカードのポイントが貯まる
不動産会社にとってのメリットと重複するが、家賃がクレジットカードから定期的に自動で支払われるため、わざわざ銀行で振り込む手間がかからない。家賃を毎月銀行で振り込んでいる場合にかかる振込手数料も節約できるし、また、忙しくて支払いを忘れることを防ぐこともできて安心だ。
またカード特有の特典として、ポイントが貯まることが挙げられる。近年は「ポイ活」などと呼ばれ日々の消費を通じてポイントを効率よく貯め、他の買い物や支払いに充てる人も少なくない。クレジットカード会社によって還元率は異なるものの、毎月数万円単位で支出する家賃でポイントが貯まればポイ活をしている人にとってはうれしいはずだ。
ただし、家賃の支払いにポイントを付与しないクレジットカード会社もあるため、注意しておきたい。また家賃は支払えても共益費や駐車場代などの諸費用だけクレジットカード払いにできない管理会社もある。これらは、物件を契約する前にチェックしておきたいところだ。
入居者のデメリット・注意点は?
一方、主なデメリット・注意点は以下のとおりだ。
・引き落とし口座をメイン口座以外で設定した場合はさらなる注意が必要
クレジットカード払いにすれば振り込みの手間が省け、家賃の支払い日を意識することが減るため、カードの引き落とし口座の残高が足りず未払いになる可能性があることには注意したい。
特に、不動産会社やカード会社の都合により、日ごろメインで使っている給与振込口座などと異なる口座をクレジットカードの引き落としに設定した場合は、さらに注意が必要だ。未払いにならないよう、口座残高に気を配っておきたい。
クレジットカード払い対応の物件の探し方
クレジットカード払いに対応した物件を探すには、どうすれば良いのだろうか。Googleで「不動産情報サイト クレジットカード 対応」などと検索すると複数の情報サイトでクレジットカード決済に対応した物件のみを特集していることが分かる。そうしたサイトでは、クレジットカードに対応した物件のなかから最寄り駅や通勤時間などの条件を入れて検索可能だ。
また登録物件を全件検索する際、各条件と並んでクレジットカード払いに対応している物件のみを検索対象にできるサイトもある。
物件を探す際の主な条件の一つに
家賃をクレジットカード払いができるかどうかが、物件を探す条件の一つとなってきたことはおわかりいただけただろうか。家賃は、日々の支出のなかで金額が大きい固定費だ。ポイ活中の人や毎月の振り込みの手間を省きたい人は、物件探しの条件の一つに「クレジットカード払いができる物件」を追加してみよう。
manabu不動産投資に会員登録することで、下の3つの特典を受け取ることができます。 ①会員限定のオリジナル記事が読める ②気になる著者をフォローできる ③気になる記事をクリップしてまとめ読みできる |
- 【オススメ記事】
- 「FPの私ならここを見る」 プロが語る不動産投資とは?
- 不動産投資の種類はいくつある?代表的な投資方法を紹介
- 少額から始められる不動産投資4選
- 不動産投資は30代から始めるべき?メリットや注意点について解説
- 初めて不動産投資をする際に気をつけることとは?
- コラムに関する注意事項 -
本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的とするものではありません。
当社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づきますが、その正確性や確実性を保証するものではありません。
外部執筆者の方に本コラムを執筆いただいていますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当社の見解等を示すものではありません。
本コラムの記載内容は、予告なしに変更されることがあります。