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越境・越境物とは?原因やリスク、対処法と売却時の注意点まで解説
  1. 越境とは?越境物・被越境の意味や具体例を解説
  2. 越境で起こる主な問題・リスク
    1. 売却価格が下がる・売却が難しくなる可能性
    2. 越境物の所有権トラブルに発展する可能性
    3. 融資・担保評価への影響
    4. 建築・再建築時の制約
    5. 近隣関係の悪化
  3. 越境が起きる主な原因
    1. 境界が曖昧なまま利用されている
    2. 建築・増改築時の認識ミス
    3. 樹木・塀・設備の自然・経年変化
    4. 境界確認が不十分なまま取引されるケースがある
  4. 越境が発覚した場合の対処法
    1. 境界の確認(測量・資料確認)
    2. 当事者間での協議・合意形成
    3. 越境物の撤去・是正
    4. 越境覚書・越境確定書の作成
  5. 越境トラブルを事前に防ぐためのポイント
    1. 購入時に境界を必ず確認する
    2. 確定測量を実施しておく
    3. 書面(覚書)で合意を残す
    4. 定期的に現況を確認する

越境とは、建物や塀、樹木などが隣地との境界線を越えてしまう状態を指します。古い戸建てや一棟アパート、住宅密集地に建つ物件などでは、知らず知らずのうちに越境が起きているケースも珍しくありません。

越境は一見小さな問題に見えても、売却価格や融資、近隣関係に影響を及ぼす可能性があるため、不動産投資において特に注意が必要なポイントとなります。

本コラムでは、越境の意味や具体例を整理したうえで、発生する原因やリスク、発覚時の対処法、さらに事前に防ぐためのポイントまで、わかりやすく解説します。

越境とは?越境物・被越境の意味や具体例を解説

越境・越境物とは?原因やリスク、対処法と売却時の注意点まで解説
(画像:PIXTA)

越境(えっきょう)とは、建物や塀、樹木、フェンス、排水管などが土地の境界線を越えて隣地にはみ出している状態を指します。

境界を越えて存在している物:越境物
隣地から自分の土地に物が入り込んでいる状態:被越境
隣地から自分の土地に入り込んでいる物:被越境物

具体例:
屋根や雨どいが隣地側に出ている
塀・擁壁が境界を越えている
樹木の枝や根が越境している

なお、不動産取引においては、取引に影響する越境が判明している場合、重要事項として買主への説明が必要とされています。

越境・越境物とは?原因やリスク、対処法と売却時の注意点まで解説

こうした越境は決して珍しいことではなく、不動産取引においても重要な確認事項となります。不動産会社には越境について重要事項説明書への記載義務があり、買主への事前説明が必須となっています。

越境で起こる主な問題・リスク

越境は単なる物理的なはみ出しにとどまらず、さまざまなリスクを伴います。ここでは、代表的な問題点について具体的に解説します。

売却価格が下がる・売却が難しくなる可能性

被越境の土地でも売却自体は可能です。ただし、将来的にトラブルへ発展する可能性があるため、相場よりも価格が下がりやすい傾向があります。また買主が越境リスクを懸念し、値引きを要求するケースが多く見られます。

対策として、越境確定書や越境覚書を整備しておく方法があります。これらの書面があれば、越境の状況や当事者間の合意内容を明確に示すことができるため、買主の不安軽減につながり、売却価格の低下を一定程度抑えられる可能性があります。

越境物の所有権トラブルに発展する可能性

境界の認識違いにより、塀や擁壁などの所有権を巡る争いに発展することがあります。特に、長年にわたって現状のまま使用されている場合、「どちらの所有物か」「管理責任はどちらにあるのか」といった点で見解が分かれやすくなります。

解決には測量や専門家の関与、当事者間での交渉が必要となり、時間や費用がかかるケースも少なくありません。

融資・担保評価への影響

越境がある物件は、将来的なトラブルや是正費用の発生リスクがあるため、金融機関から慎重に判断され、担保評価や融資条件に影響することがあります。

その結果、希望どおりの融資額を受けられなかったり、融資自体が難しくなったりする可能性があり、不動産投資の資金計画に影響を及ぼす場合があります。

建築・再建築時の制約

越境状態が解消されていないと、建築確認に支障が出る場合があります。特に、建物の一部が境界を越えている場合や、隣地との距離制限に抵触するケースでは、建て替えや増改築の際に是正を求められることがあります。

そのため、現状では問題なく利用できていても、将来的な再建築時に思わぬ制約が生じる可能性がある点に注意が必要です。

近隣関係の悪化

越境は感情的な対立を生みやすく、近隣関係の悪化につながることがあります。わずかな越境であっても、所有権や権利意識に関わる問題であるため、トラブルが長期化しやすい傾向があります。

また、一度関係が悪化すると協議が難航し、解決までに時間を要することも少なくありません。円滑な関係維持のためにも、早期の対応と丁寧なコミュニケーションが重要です。

越境が起きる主な原因

越境・越境物とは?原因やリスク、対処法と売却時の注意点まで解説
(画像:PIXTA)

越境は意図せず発生することも多く、その背景には複数の要因が関係しています。原因を把握しておくことで、購入時のチェックや将来的なトラブル回避につながります。ここでは代表的な発生要因を整理します。

境界が曖昧なまま利用されている

過去の測量精度が低かった時代の名残や、境界未確定のまま土地利用が続けられてきたことにより、知らないうちに越境が生じているケースがあります。

特に古い住宅地では、境界標が不明確なまま隣地と利用されていることも多く、長年そのまま利用されてきたことで、境界の認識が曖昧なままになっているケースもあります。

建築・増改築時の認識ミス

施工時の確認不足や図面とのズレにより、意図せず越境してしまうことがあります。具体的には、設計図と現地の寸法の違いや、施工業者の測量ミスなどが主な原因です。

特に狭小地では数センチの誤差でも境界を越えてしまうため、慎重な確認が求められます。

樹木・塀・設備の自然・経年変化

樹木の成長や構造物の劣化・傾きなどにより、時間の経過とともに自然と越境状態となることがあります。たとえば、当初は問題のなかった植栽の枝や根が隣地に伸びたり、塀が傾いて境界を越えたりするケースです。

こうした変化は徐々に進行するため気づきにくく、発覚した時点で問題が顕在化している場合もあります。

境界確認が不十分なまま取引されるケースがある

境界確認を十分に行わないまま売買されることで、越境問題が見過ごされるケースも少なくありません。特に、擁壁や基礎などが地中部分で隣地に入り込んでいる場合は、外観から判断しにくく、問題が見過ごされがちです。

越境状態を放置することによって生じる実務上のリスクについては、こちらの記事もご覧ください。

【関連記事】【第8話】擁壁がある物件の問題点 後編

越境が発覚した場合の対処法

越境が判明した場合には、状況を正確に把握したうえで、段階的に対応を進めることが重要です。対応を誤るとトラブルが長期化する可能性もあるため、基本的な流れを押さえておきましょう。

境界の確認(測量・資料確認)

はじめに、公図や測量図などの資料を確認し、土地の境界を客観的に把握します。事実関係を正確に整理することが、その後の対応の前提となります。

資料だけでは判断が難しい場合には、土地家屋調査士などの専門家に依頼し、現地測量を行うことも検討しましょう。

当事者間での協議・合意形成

境界や越境の状況を確認したうえで、隣地所有者と話し合いを行います。お互いの認識をすり合わせ、現状の整理と今後の対応方針について合意を目指しましょう。

感情的な対立を避け、冷静かつ誠実に対応することが、円滑な解決につながります。

越境物の撤去・是正

対応が可能な場合には、越境物を撤去または是正し、境界を越えない状態に戻すことが根本的な解決策となります。

ただし、建物の構造や費用面の問題から、すぐに是正できないケースもあるため、実現可能性を踏まえた判断が必要です。

越境覚書・越境確定書の作成

撤去や是正が現実的に難しい場合には、越境の状況や将来的な取り扱いについて、当事者間で合意した内容を書面として明確に残すことが重要です。具体的には、越境の範囲や現状の利用方法、将来の建て替え時の対応方針などを整理し、越境覚書や越境確定書として取り交わします。

これらの書面を整備しておくことで、後日の認識相違を防ぎ、将来的なトラブルの抑止につながります。また、売却時には買主への説明資料として活用でき、取引をスムーズに進めるうえでも役立ちます。

越境トラブルを事前に防ぐためのポイント

越境・越境物とは?原因やリスク、対処法と売却時の注意点まで解説
(画像:PIXTA)

越境は、事前の確認や適切な対応によって未然に防ぐことが可能です。特に不動産取引の場面では、購入時や日常的な管理の中で注意を払うことが重要となります。

ここでは、越境トラブルを防ぐために押さえておきたい基本的なポイントを解説します。

購入時に境界を必ず確認する

物件を購入する際には、境界標の有無や測量図の内容を確認し、隣地との境界が明確であるかを把握することが重要です。

越境の有無についても事前に確認し、不明点がある場合には、不動産会社や専門家に相談しながら慎重に判断しましょう。

確定測量を実施しておく

隣地との境界を確定させる「確定測量」を行うことで、境界位置を明確に把握することができます。境界が客観的に確定している状態であれば、隣地所有者との認識のずれを防ぎやすく、越境をめぐるトラブルの発生リスクを低減することが可能です。

特に、売却や相続の場面では境界の明確さが取引の前提となるため、あらかじめ測量を実施しておくことで、手続きを円滑に進めやすくなります。

確定測量の概要や費用、公図・現況測量図・地積測量図との違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

【関連記事】確定測量とは?地積測量図との違いや費用相場・必要になるケースを解説

書面(覚書)で合意を残す

越境に関する取り扱いについては、口頭の合意にとどめず、内容を文書として整理しておくことが重要です。

あらかじめ条件や対応方針を明確にしておくことで、将来的に当事者が変わった場合でも、越境の状況や対応方針を引き継ぎやすくなります。結果として、相続や売却時の手続きを円滑に進めやすくなり、追加の確認や交渉の負担を軽減することができます。

定期的に現況を確認する

樹木の成長や設備の変化により、時間の経過とともに新たな越境が生じる場合があります。そのため、定期的に現況を確認し、越境の兆候が見られた段階で早めに対応することが重要です。

小さな変化のうちに対処することで、大きなトラブルへの発展を防ぐことができます。

- コラムに関する注意事項 -

本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的とするものではありません。
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