不動産投資において、購入時の価格だけでなく、将来の売却価格を左右する「リセールバリュー」は非常に重要です。「エリアさえ良ければ高く売れる」わけではなく、立地・築年数・間取り・管理状態など、複数の要素が絡み合って資産価値は形成されています。
本コラムでは、リセールバリューの基本的な意味から、リセールバリューが高いマンションの特徴やエリア別のランキングデータ、さらに資産価値を高めるためのコツまでをわかりやすく解説します。
マンションのリセールバリューとは
マンションなどの物件における「リセールバリュー」とは、購入時(新築分譲時)の価格を基準として、売却時にどの程度の価格水準を維持・上回っているかを示す指標です。「RV」や「価格維持率」とも呼ばれ、新築分譲時の価格を100%として中古流通時の価格を比較することで算出されます。例えば、3,000万円で購入した物件が6,000万円で売却できた場合には、リセールバリューは200%となります。
リセールバリューが高いほど資産価値が向上していることを示すため、不動産投資や将来の売却を意識するうえでは欠かせない判断材料となります。
なぜリセールバリューを考えることが重要か
不動産投資は購入して終わりではなく、賃貸収入や出口戦略によって、投資全体としての収益が決まります。購入時点からリセールバリューを意識しておくことで、将来の資産価値の下落リスクを抑えることができます。
不動産投資は株式や投資信託のように短期間で売買できる金融商品とは異なり、売却までに数年〜数十年の長期保有になるケースも珍しくありません。その間に市況の変化や建物の経年劣化、周辺環境の変化などさまざまな要因が重なると、資産価値は大きく変動します。
そのため、購入段階で「いつ・どのように売却するのか」の出口(売却)を具体的にイメージしておくことが、長期的な資産形成において重要です。
不動産投資の基本的な考え方については、こちらの記事もあわせてご参照ください。
【関連記事】不動産投資の「出口戦略」とは?なぜ重要なのか、売却価格の相場も紹介
リセールバリューが高いマンションの特徴
ここでは、リセールバリューが高いマンションの特徴を5つ紹介します。実際のリセールバリューは、これらのうちひとつが優れていればよいというものではなく、複数の条件が複合的に作用します。そのため、以下に挙げる要素を総合的に判断することが大切です。
需要が高いエリア・立地である
都心へのアクセスの良さや再開発が進むエリア、最寄り駅までの距離、主要駅へのアクセスのしやすさなど、利便性の高い立地は、将来的にも人口・企業の流入が見込まれるため、価格が維持されやすい傾向にあります。
ただし、過去に高いリセールバリューを示していたエリアが将来も継続して高いリセールバリューを示すとは限らないため、注意が必要です。
築年数が浅い
築年数が浅いマンションは、建物の競争力が高く、購入を検討する層が幅広くなるため、売却時に有利になりやすい傾向があります。一方で、築年数が経過するにつれて、修繕が必要となる可能性が高くなるため、リセールバリューが下がります。
ただし、築年数が古い物件でも、適切な管理・修繕が実施されているかが資産価値に影響を及ぼします。管理や修繕が適切に行われている物件や立地条件によっては、築年数が古くてもリセールバリューが下がらない物件もあるため、一概に「古い=悪い」とは言えません。
需要が高い間取り・階数である
間取りや階数も、リセールバリューに影響を与える要素のひとつです。例えば、オフィスが集積するエリアでは単身者向けの1Rや1LDKが流通しやすく、学校や公園が近い住宅街ではファミリー向けの3LDKへの需要が高まります。このように、物件の立地に合ったターゲット層のニーズを満たす間取りかどうかが重要です。
また、階数については、眺望やセキュリティ面で有利な中高層階は流通性が高い傾向があります。
安全性が高い
ハザードマップで確認できる水害・地震・土砂崩れなどの自然災害リスクが低いエリアに立地するマンションは、安全性の観点から評価されやすい傾向があります。また、オートロックや防犯カメラなど、防犯面においても設備が充実している物件は購入検討者から評価されやすいです。
近年は防災意識の高まりを背景に、こうした安全性への注目度が高まっており、売却時の訴求ポイントとしても重要度が増しています。
管理状態・修繕状態が適切である
マンションの資産価値を維持するうえで、管理状態・修繕状態は見落とせない要素です。
管理費や修繕積立金の水準が適正で、長期修繕計画が整備されている物件は、建物・設備の状態が良好に維持されやすく、将来の大規模修繕に対応できる財務基盤が整っています。共用部の清潔さや管理状況も、購入検討者が内覧時に最も注意深く確認するポイントです。
購入時には、事前に管理組合の議事録や修繕積立金の残高を確認しておくと、これまでの物件の管理水準をより正確に把握できます。
リセールバリューが高いエリアランキング
ここでは、東京カンテイが公表した2024年の築10年中古マンションのリセールバリューに関するデータをもとに、首都圏・近畿圏・中部圏のランキングを紹介します。
なお、以下のデータはあくまで過去の実績であり、将来の価格水準を保証するものではありません。そのため、エリア選定はあくまでも総合的な判断の一要素として考えるようにしましょう。
首都圏|半蔵門駅・六本木一丁目駅・新御茶ノ水駅
首都圏のリセールバリューランキングでは、300%を超える非常に高い水準の駅が複数見られました。トップ10は以下のとおりです。
| 沿線 | 駅名 | リセールバリュー |
|---|---|---|
| 東京メトロ半蔵門線 | 半蔵門 | 337.9% |
| 東京メトロ南北線 | 六本木一丁目 | 325.4% |
| 東京メトロ千代田線 | 新御茶ノ水 | 322.5% |
| 東京メトロ有楽町線 | 東池袋 | 317.7% |
| 都営地下鉄大江戸線 | 赤羽橋 | 260.1% |
| JR山手線 | 渋谷 | 256.3% |
| 東京メトロ日比谷線 | 神谷町 | 254.5% |
| JR総武線 | 飯田橋 | 253.9% |
| 東京メトロ銀座線 | 三越前 | 250.9% |
| 東京メトロ南北線 | 麻布十番 | 246.0% |
リセールバリュー率が300%前後と非常に高いこれらの駅は、いずれも都心中枢に位置し、再開発やオフィス集積、ブランド力を背景に安定した需要を維持している点が共通しています。
例えば、半蔵門や六本木一丁目、新御茶ノ水などは、官公庁・大企業本社・大学が集まるエリアであり、賃貸・売買ともに需要が高い地域です。また渋谷や三越前のように大規模再開発が進むエリアも価格上昇をけん引しています。
交通利便性の高さと希少性が、長期的な資産価値の維持・向上につながっているといえるでしょう。
近畿圏|西大橋駅・大阪駅・中津駅
近畿圏のランキングでは、大阪市中心部の駅が上位を多く占めました。トップ10は以下のとおりです。
| 沿線 | 駅名 | リセールバリュー |
|---|---|---|
| 大阪メトロ長堀鶴見緑地線 | 西大橋 | 244.2% |
| JR大阪環状線 | 大阪 | 237.6% |
| 大阪メトロ御堂筋線 | 中津 | 223.9% |
| 阪急神戸線 | 中津 | 210.1% |
| JR大和路線 | JR難波 | 199.8% |
| 大阪メトロ四つ橋線 | 四ツ橋 | 199.6% |
| 大阪メトロ御堂筋線 | 梅田 | 195.6% |
| 京阪中之島線 | 中之島 | 192.8% |
| JR神戸線 | 三ノ宮 | 183.7% |
| JR神戸線 | 須磨海浜公園 | 181.2% |
近畿圏は大阪市中心部の駅が上位を多く占めており、神戸市中心部の一部エリアでも比較的高い水準が見られます。
インバウンドの増加による経済活動の活発化や居住人口の増加、さらに、なにわ筋線の延伸などエリアポテンシャルの向上への期待などが、大阪市中心部の価格を押し上げる背景として挙げられています。
近畿圏のうち大阪(御堂筋線)、京都、神戸の不動産情報については、eBookでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
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中部圏|久屋大通駅・名古屋駅・東別院駅
中部圏のランキングでは、名古屋市内の駅が上位の大半を占めました。トップ10は以下のとおりです。
| 沿線 | 駅名 | リセールバリュー |
|---|---|---|
| 名古屋市営地下鉄名城線 | 久屋大通 | 167.7% |
| JR東海道本線 | 名古屋 | 143.7% |
| 名古屋市営地下鉄名城線 | 東別院 | 140.6% |
| 名古屋市営地下鉄東山線 | 池下 | 138.5% |
| JR中央本線 | 千種 | 136.9% |
| 名古屋市営地下鉄桜通線 | 瑞穂運動場西 | 134.6% |
| JR中央本線 | 鶴舞 | 134.3% |
| 名古屋市営地下鉄東山線 | 本郷 | 129.4% |
| 名古屋市営地下鉄名城線 | 自由ヶ丘 | 128.3% |
| 名古屋市営地下鉄桜通線 | 高岳 | 123.6% |
中部圏は、首都圏・近畿圏と比べると上昇幅は限定的です。愛知県では一戸建てが住宅全般の相場価格の上値を抑制するといった地域特性があります。
それでも名古屋市中心部のリセールバリューは多くの駅で新築分譲時を上回っています。特に久屋大通は対象となった物件がいずれも駅から徒歩6分以内の好立地に位置するタワーマンション・準タワー物件であったことが高い数値につながっています。
名古屋の不動産情報については、eBookでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
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マンションのリセールバリューを高めるコツ
マンションのリセールバリューを高めるためには、購入時・保有中・売却時のそれぞれの段階で意識すべきポイントがあります。各フェーズにおける取り組みを整理しておきましょう。
購入時|立地と賃貸需要を見極め、適正価格で取得する
マンションの購入時においては、売却を見据えた出口戦略のシミュレーションをすることが重要です。周辺の賃貸相場や過去の売却事例を徹底的に調査し、適正価格で取得することがリセールバリューを高めるための基本となります。
また、賃貸需要が見込めるエリアかどうかも重要です。賃貸需要が安定しているエリアは売却時も買い手がつきやすくなります。
なお、賃貸相場や過去事例を調べずに高値で購入してしまうと、リセールバリューが下がりやすくなるため、不動産投資で失敗しないための判断としても、購入価格の妥当性を見極めることは重要です。
購入後|管理状態を維持し、市況をチェックする
マンションの保有中においては、物件を適切に管理・維持することで、資産価値の低下を防ぐことができます。修繕積立金が適切に積み立てられているか、管理組合の運営状況はどうかなどを定期的に確認しましょう。
また、不動産市況の動向を継続的に把握しておくことも欠かせません。金利動向や経済状況の変化は中古マンション価格に直結するため、情報収集を習慣化することが売り時の見極めにつながります。
売却時|売却タイミングを選び、適切な価格で売り出す
マンションの売却時においては、金利動向や不動産市況を踏まえたうえで、戦略的なタイミングと売却価格の設定を行うことが重要です。市場が活性化している時期に売却を検討することで、より有利な条件での取引が期待できます。
しかし、売り出し価格を高く設定しすぎると売却期間が長引き、結果的に価格を下げざるを得なくなる場合もあります。適切な価格で売り出すためには、事前に複数の査定を取得し、市場相場を客観的に把握することが重要です。
ワンルームマンション売却時の相場の調べ方については、こちらの記事もご参照ください。
【関連記事】マンションを売却すべきタイミングとは?高く売るコツや注意点を解説
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