不動産投資の「出口戦略」とは?なぜ重要なのか、売却価格の相場も紹介

目次

  1. 不動産投資における「出口戦略」とは?
    1. 出口戦略の考えられるケース
    2. インカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(出口戦略)の違い
  2. 物件を売却する主な方法
    1. オーソドックスなのは「売買仲介業者」
    2. 即現金化なら「買い取り業者」
    3. あまり見られない「個人間取引」
  3. 出口戦略の重要性とは?トータル収支でプラスになってこそ!
  4. やはり都心5区が狙い目か!?不動産取引価格の目安

本コラムでは、出口戦略の重要性や物件の売却方法を解説し、あわせて売却価格の相場も紹介する。

【本コラムのポイント】
・毎月家賃収入を得るとともに、将来の売却を見据えた「出口戦略」も重要
・なぜなら、家賃収支と売却収支のトータル収支でプラスになってこそ「成功」といえるからである

不動産投資における「出口戦略」とは?

不動産投資における出口戦略とは、物件の売却に向けての戦略を指す。家賃収入をメインに考えている投資家であっても、出口戦略をきちんと立てておくことは重要だ。出口戦略を検討する際は、インカムゲインとキャピタルゲインの違いを理解しておく必要がある。なぜなら両者をトータルで収支計算することにより、不動産経営成功の可否を判断できるからだ。

出口戦略の考えられるケース

保有している不動産の出口戦略は、「ローンを完済後に売却」「運用の途中で売却」の2つのケースが考えられる。出口戦略を成功させるには、売却金額とそれまで受け取った家賃収入から物件購入費用(ローンや保有期間中の費用などを含む)を差し引いて黒字になることが必要だ。

インカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(出口戦略)の違い

不動産投資における収入は、インカムゲインとキャピタルゲインの2つだ。インカムゲインとは「保有しているだけで得られる収入」のことで、株式の配当金や不動産の家賃収入などが該当する。特に不動産は、毎月インカムゲインを得られる投資スタイルなので家賃収入でローンを返済が可能だ。一方のキャピタルゲインは、株式や不動産を買値より高く売った場合に得られる利益のことを指す。

買値よりも安く売った場合は、キャピタルロス(売却損)になる。不動産投資の場合は、売却までに受け取った家賃収入と売却金額の合計が総収入となるため、キャピタルロスが出ても総収入のほうが多ければ黒字決算になる場合があるのが大きな特徴だ。

物件を売却する主な方法

不動産を売却する方法には、主に以下の3つがある。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分の状況を判断しながら、選択することが大切だ。

オーソドックスなのは「売買仲介業者」

売買仲介業者に仲介を依頼すると、不動産ポータルサイトに掲載するほか、店頭広告や新聞の折込チラシなどあらゆる方法を駆使して買い手を探してくれる。買い手が見つかった場合は、仲介手数料として以下の計算式(速算式)で算出した金額を支払うことが必要だ。

【仲介手数料計算式】
・取引物件価格が200万円以下の場合
 売却価格×5%+消費税
・取引物件価格が200万円超400万円以下の場合
 売却価格×4%+2万円+消費税
・取引物件価格が400万円超の場合
 売却価格×3%+6万円+消費税

計算例として4,000万円で売却できた場合の仲介手数料は、以下のようになる。

売却額4,000万円×3%+6万円=126万円(税込138万6,000円)

売却価格が高額だと仲介手数料もかなりの金額になるので負担が大きいように思えるかもしれない。しかし売却に際してのあらゆる手続きや買い手との交渉を行ってくれ、売り手に手間がかからないことから売買仲介業者を選択するケースは多い。

即現金化なら「買い取り業者」

早く現金化したい事情がある場合は、買い取り業者に買い取ってもらう方法も選択肢の一つになる。この方法は、買い手を見つけてもらうわけではないので、仲介手数料はかからない。仲介よりも短期間で現金化できるメリットがあるので、資金が必要な時期が決まっている場合に有効な方法だ。買い取りのデメリットは、仲介に比べて売却価格が低くなることである。

相場価格の60~80%程度になることがあり、金額だけを考えると割に合わないかもしれない。例えば売却相場が2,000万円の物件であれば買い取り価格の目安は1,200万~1,600万円程度といった具合だ。そのためあくまでも急いで現金化したい場合に限定したほうが無難だろう。

あまり見られない「個人間取引」

個人間取引とは、自分で買い手を見つけて売却する方法である。売買仲介業者を通さないため、仲介手数料を節約できる点がメリットだ。ただし個人間取引の場合、買い手の銀行融資が通らないケースが多いため、実際に個人間取引が行われることはまれである。仲介手数料の節約だけを目的に個人間取引を行うのは得策ではない。

また、物件を引き渡し後、トラブルが発生する可能性もあるだろう。その場合、自分で解決しなければならないのだ。自分で買い手を見つけるのは、おおむね知り合いが相手であるケースが多く、トラブルに発展すると人間関係まで亀裂が生じるリスクもある。こういったリスクを回避するためにも、やはり売買仲介業者に仲介してもらい、きちんと契約書を取り交わしたほうが安心だ。

出口戦略の重要性とは?トータル収支でプラスになってこそ!

不動産投資では、なぜ出口戦略が重要になるのだろうか。これは、毎月家賃収入から諸経費を差し引いた金額が黒字として積み上がったとしても、売却価格が買値を大きく下回るとトータルで損失が出る場合があるからだ。不動産価格は、築年数の経過で売るときは買値より安くなるのが一般的のため、不動産の売却でキャピタルロス(売却損)が出ること自体は問題ない。

よほどのハイグレードマンションでない限り、買値を上回る価格で売却できるケースは少ないだろう。大切なのは家賃収入とのトータル収支だ。例えば、とある物件の出口戦略を考えると、次のようになる。

<前提条件>
購入価格:3,000万円の新築区分マンション
月の家賃:20万円(空室率年15%と仮定)
毎月の諸経費:4万円(経費率20%と仮定)

パターンA:運用期間5年、想定売却価格2,400万円(減価率20%)の場合


売却価格2,400万円+{家賃収入20万円×60ヵ月×入居率0.85-毎月の諸経費240万円(4万円×60ヵ月)}=3,180万円

3,180万円-購入価格3,000万円=トータル収支180万円

単純計算では、わずかに黒字だ。しかし、ここから売却にかかる諸経費を差し引くとほとんど利益が残らないため、5年で売却する出口戦略は厳しいことがわかる。

Bパターン:運用期間10年、想定売却価格2,250万円(減価率25%)の場合


売却価格2,250万円+{家賃収入20万円×120ヵ月×入居率0.85-毎月の諸経費480万円(4万円×120ヵ月)}=3,810万円

3,810万円-購入価格3,000万円=トータル収支810万円

10年運用後の出口戦略では810万円の黒字となり、売却諸経費を差し引いてもある程度の利益が出るため成功といえる。

Cパターン:運用期間15年、想定売却価格2,100万円(減価率30%)の場合


売却価格2,100万円+{家賃収入20万円×180ヵ月×入居率0.85-毎月の諸経費720万円(4万円×180ヵ月)}=4,440万円

4,440万円-購入価格3,000万円=トータル収支1,440万円

15年運用すると経年劣化で売却価格は下がるものの、家賃収入が大きくなるため売却諸経費を差し引いても1,500万円近い利益が出る。出口戦略としては、大成功といってよいだろう。

ただし上記のシミュレーションは、あくまでも想定売却価格で売れた場合だ。そのため出口戦略を成功させるには、想定売却価格に近い資産価値で物件の質を維持、あるいは緩やかな資産価値の下落にする必要がある。また新築で購入しても築15年以上になると、ある程度の家賃の値下げを考えなければならないため、家賃減額リスクを考慮したシミュレーションが必要だ。

例えば、一番出口戦略が良かったCパターンで、仮に購入価格の半分でしか売却できなかったとする。

Dパターン:運用期間15年、想定売却価格1,000万円(減価率約66%)の場合


売却価格1,000万円+{家賃収入20万円×180ヵ月×入居率0.85-毎月の諸経費720万円(4万円×180ヵ月)}=4,440万円

3,340万円-購入価格3,000万円=340万円

すると、一気にトータル収支が340万円と激減する。 「これくらいの値段で売れるだろう」といったあいまいな予測ではなく、「今売却したらいくらなのか」をしっかりリサーチしておく必要があるのだ。

このように「トータル収支を把握するために〇年で売却する」という出口戦略を立てておくことは、極めて重要である。

やはり都心5区が狙い目か!?不動産取引価格の目安

最後に不動産取引価格の目安を確認しておこう。国土交通省の不動産取引価格情報をもとに東京23区の中古マンション平均取引価格を算出すると以下の表のような結果となった。なお各区の間取りごとの平均値を算出している。

<東京23区中古マンション間取り別平均取引価格(2022年第1四半期〜第4四半期)>

1K平均取引価格 1LDK平均取引価格 2LDK平均取引価格
千代田区 2,582万円 6,553万円 1億3,455万円
中央区 2,479万円 5,405万円 7,923万円
港区 2,786万円 8,297万円 1億2,469万円
新宿区 2,390万円 4,903万円 7,508万円
渋谷区 2,549万円 6,579万円 1億475万円
文京区 2,153万円 4,746万円 7,171万円
台東区 2,516万円 4,003万円 5,329万円
墨田区 2,298万円 3,797万円 4,548万円
江東区 2,441万円 4,596万円 5,701万円
品川区 2,333万円 4,815万円 6,801万円
目黒区 2,418万円 4,579万円 8,381万円
大田区 2,100万円 3,730万円 4,375万円
世田谷区 2,187万円 3,793万円 5,787万円
中野区 2,025万円 3,661万円 5,298万円
杉並区 1,863万円 3,429万円 5,602万円
豊島区 2,195万円 4,488万円 5,632万円
北区 2,317万円 3,367万円 3,925万円
荒川区 2,261万円 3,296万円 4,309万円
板橋区 2,086万円 2,786万円 3,356万円
練馬区 1,813万円 2,962万円 4,023万円
足立区 1,659万円 2,873万円 3,060万円
葛飾区 1,633万円 2,262万円 2,692万円
江戸川区 1,667万円 3,185万円 3,478万円

出典:国土交通省「土地総合情報システム 不動産取引価格情報」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

結果を見るとある程度の傾向がうかがえるだろう。単身者向けの1K物件に関しては、都心5区だからといって突出して高い価格で取引されているわけではない。

1K物件で出口戦略を考える場合、都心5区に過度な高値を期待するのは禁物だ。1LDKでは、都心5区以外は2,000万~4,000万円台という水準だが、都心5区は5,000万弱~8,000万円ほどと水準が異なる傾向だ。2LDKになると千代田区・港区・渋谷区が億単位の取引価格になる。

人気の都心5区に物件を持っていれば、ある程度高い金額で出口戦略を立てることは可能かもしれない。ただし、売買価格も高額となるため、注意が必要だ。

本コラムでは、不動産投資でいかに出口戦略が大切かを見てきた。しかし、前段階として考えたいのは、自分が売りたい金額で買ってもらえるだけの優良物件を購入することだ。資産価値の高い物件を購入してこそ希望の家賃が得られ、希望の金額での売却を計画することができる。不動産投資成功の基本は、物件選びだ。このことを再認識すれば出口戦略の成功につながるだろう。

※本コラムは2023年6月7日現在の情報を基に構成しています。不動産取引価格のデータは定期的に更新されます。売却の際は最新の情報をご確認ください。

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