不動産会社の選び方|マンション等の売却・購入時の仲介会社選びのポイント
  1. 不動産会社の種類・タイプを知ろう
    1. 売買取引を行う不動産会社には主に4種類ある
    2. 不動産会社の規模別(大手・地元)のメリット・デメリット
  2. 信頼できる不動産会社の特徴5選
    1. 丁寧なヒアリング・アドバイスを受けられる
    2. 物件のリスク・デメリットも教えてくれる
    3. 担当者の返事が早い
    4. 不動産情報サイトへの物件掲載が丁寧
    5. 申し込み・契約を急かさない
  3. 不動産会社を選ぶときの流れ
    1. 検討エリアを取り扱っている複数の不動産会社をリストアップする
    2. 会社のWebサイトを確認する
    3. 国土交通省の企業情報システムで検索する
    4. 不動産会社の口コミなど第三者の評価を確認する
    5. 電話やメールで問い合わせる
    6. 実際に事務所に行く
  4. 不動産会社選びの注意点
    1. 複数の不動産会社を比較検討する
    2. 営業日・営業時間を確認する
    3. 仲介手数料・提携金融機関を確認する
    4. 口コミや免許更新回数を過信しない
  5. 不動産売却の場合、仲介ではなく買取の選択肢もある

不動産投資を成功させるためには、物件選びと同じくらい不動産会社選びが重要といわれることがあります。そこで本コラムでは、信頼できる不動産会社の特徴や、不動産会社を選ぶ際の流れ、選び方のポイントについて解説します。

不動産会社の種類・タイプを知ろう

不動産会社の選び方|マンション等の売却・購入時の仲介会社選びのポイント
(画像:PIXTA)

はじめに、不動産会社の種類やタイプについて紹介します。一口に「不動産会社」といってもさまざまな種類があるため、まずは自身の目的に合わせて不動産会社を選択しましょう。

売買取引を行う不動産会社には主に4種類ある

不動産会社は、大きく分けて不動産仲介会社・不動産買取会社・不動産販売会社・不動産開発会社(ディベロッパー)という4つのタイプがあり、それぞれ以下のように役割や特徴が異なります。まずはこれらの違いを理解したうえで、目的に合った不動産会社を選ぶことが重要です。

種類 役割 特徴
不動産仲介会社 不動産の売買や賃貸を仲介し、成約時に成約の対価として仲介手数料を得る会社。 不動産売却の場合、仲介取引で売却することでより高い価格での売却ができる可能性も広がるが、成約までに時間がかかる場合もある。
不動産買取会社 不動産の買取を行う会社。 一般的に、買取会社に買い取ってもらうことで短期間での売却が可能となるが、仲介で売却するよりも売却価格は安くなることが多い。
不動産販売会社 不動産の販売を行う会社。 買取会社がそのまま販売までを一気通貫で行う場合もあるが、買取会社と販売会社が別の場合もある。特に購入する場合は、2社分の利益が乗った価格で最終的に販売されるため、相場よりも割高になっていないか価格の妥当性についての慎重な検証が必要。
不動産開発会社(ディベロッパー) マンションや商業施設などの企画や開発などを行う会社。 開発した不動産の販売にあたっては、販売代理として不動産販売会社が入るケースもある。

このように、不動産会社の種類によって、得意とすることが異なるため、不動産の売買価格や成立までのスピードに差が出ます。それぞれの特徴を理解し、自分の目的や状況に最適な会社を選ぶことが大切です。

不動産会社の規模別(大手・地元)のメリット・デメリット

不動産会社には、全国展開している大手不動産会社と、地域に密着した地元不動産会社があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

種類 メリット デメリット
大手不動産会社 信頼性が高い。情報量が豊富で、契約や手続きがスムーズ。担当者の教育が行き届いている場合が多い。 柔軟な対応が難しいことや手数料が高い傾向にある。
地元不動産会社 地域特有の情報に精通している。柔軟な対応をしてくれることもあり、細かな相談にも応じてくれる傾向がある。 物件情報が限られることがあり、会社や担当者によって対応に差がある。

このように、大手不動産会社と地元不動産会社にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、どのように取引をしたいのかなど、自身の目的に合わせて不動産会社を選ぶようにしましょう。

信頼できる不動産会社の特徴5選

不動産会社の選び方|マンション等の売却・購入時の仲介会社選びのポイント
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ここからは、信頼できる不動産会社の特徴について代表的な5つを紹介します。これらのポイントを複合的に判断し、安心して取引を任せられるパートナーを探しましょう。

丁寧なヒアリング・アドバイスを受けられる

不動産会社を選ぶ際には、「どのような目的・条件を重視しているのか」を丁寧にヒアリングしてくれる会社を選ぶことが重要です。単に物件を紹介するのではなく、取引の背景や目的、状況に合わせて、最適な進め方や物件を提案してくれる会社は信頼性が高いといえるでしょう。

例えば、「老後の資金を確保したい」「毎月の家賃収入で生活費を補いたい」といった漠然とした希望であっても、それを具体的な数値を用いて、達成するための道筋を一緒に考えてくれるようなサポート体制が整っているかを判断しましょう。

物件のリスク・デメリットも教えてくれる

不動産売買には、物件ごとにメリットだけではなくデメリットやリスクも伴います。そのため、物件等の「良い点」だけではなく「悪い点」についてもきちんと説明をしてくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。

例えば、不動産投資であれば、空室リスクや修繕の必要性、将来的なエリア価値や賃貸需要の下落可能性などをしっかり伝えてくれる不動産会社は、誠実で信頼できる会社といえるでしょう。

担当者の返事が早い

メールや電話での問い合わせに対して迅速に対応してくれるかどうかも、重要なポイントです。返事が遅かったり、回答が曖昧だったり、あるいは必要な書類や情報の提出に時間がかかる場合は、業務の体制や社内連携に問題がある可能性があります。

不動産売買では迅速な意思決定を求められることも多いため、素早い対応をしてくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。

不動産情報サイトへの物件掲載が丁寧

通常、物件の売買や賃貸では、物件の情報を不動産情報サイトに掲載します。その不動産情報サイトに掲載している内容が充実しており、物件がより魅力的に見えるように工夫していることも、信頼できる不動産会社の特徴です。物件の写真の種類が多かったり画質が良かったり、間取り図や周辺情報なども詳しく記載されている会社は、契約成立までのスピードが早く、買い手・売り手のニーズをよく把握できているといえます。

また、情報が定期的に更新されているか、価格や空室状況が明確に書かれているかについても確認しましょう。

申し込み・契約を急かさない

不動産取引では大きな金額が動くため、慎重な検討が不可欠です。そのため、契約を急かすような強引な対応をする不動産会社ではなく、疑問点や不安点に対して、丁寧に説明してくれる会社を選びましょう

しかし、不動産取引ではスピード感が求められる局面もあり、迷っている間に他の買い手が見つかってしまうといったこともあります。例えば、人気物件の買い付けや価格交渉の場面では、迅速な判断と対応が必要になることもあります。そのため、不必要に焦らせない会社であることは必須条件ですが、適切なアドバイスを的確なタイミングでしてくれる不動産会社を選ぶことが重要です。

不動産会社を選ぶときの流れ

ここまでは信頼できる不動産会社の特徴を紹介しましたが、これから不動産取引を行う場合、そもそもどうやって不動産会社を選べばいいのか分からないという人も多いと思います。

そこで以下からは、不動産会社を選ぶ際の基本的な流れについて順を追って解説します。

検討エリアを取り扱っている複数の不動産会社をリストアップする

まずは、自分が購入や売却を検討しているエリアに対応している不動産会社をリストアップすることから始めましょう。不動産情報サイトで希望エリアの物件を検索すると、物件ごとに取り扱い会社が明記されているため、それを参考に候補を絞ることができます。

その際、物件情報の掲載内容が丁寧かつ写真が多く情報が分かりやすい会社を優先しましょう。前述した通り、情報の質が高い会社は、顧客対応も丁寧な傾向があるため、最初の絞り込みにも有効です。できれば複数社をピックアップしておき、比較検討できるようにしておきましょう。

会社のWebサイトを確認する

次に、候補に挙がった不動産会社のWebサイトを確認します。会社概要や沿革、取引実績、スタッフ紹介などが掲載されていれば、会社の雰囲気を知ることができます

また、不動産会社のWebサイトは、その会社がどれだけ情報発信や顧客への配慮に力を入れているかを示す材料にもなります。物件情報の更新頻度が高く、常に新しい情報を提供している会社は、営業活動が活発で信頼性が高いといえるでしょう。

国土交通省の企業情報システムで検索する

不動産会社が自ら発信している情報だけではなく、公的な情報を確認することも重要です。

国土交通省が提供している「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」を利用することで、宅建業免許の有無や更新回数を確認できます。宅建業免許は5年ごとに更新されるため、免許番号の更新回数を見ることで、その会社が何年事業を継続してきたかの目安になります。ただし、営業年数が長くても代表者が変わっている場合もあるため、更新回数が多いからといって一概に安心とは限りません。

加えて、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」を使って行政処分歴がないか確認しておくと、トラブルのリスクをより低く抑えることができます。

出典:国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」及び「ネガティブ情報等検索サイト

不動産会社の口コミなど第三者の評価を確認する

Web上での評価や口コミも、不動産会社の実態を知る上で役立ちます。ただし、会社のWebサイトに掲載されている「お客様の声」は、一般的に評価のいいもののみが掲載されている可能性もあるため、それだけで判断するのは避けましょう。

より客観的な情報を得るためには、Googleマップの口コミや、不動産関連の口コミサイトなど、第三者が発信している評価や評判を確認することをおすすめします。もっとも、口コミには個人の感情や偏った意見も含まれることが多いため、過信は禁物です。複数の口コミを比較検討し、全体的な傾向を把握するようにしましょう。

電話やメールで問い合わせる

不動産会社を絞り込む段階になったら、実際に電話やメールで問い合わせをしてみましょう。最初のやりとりで受ける印象や、問い合わせに対する返答のスピードは、その不動産会社の信頼性や顧客対応の質を測るうえで非常に重要な指標となります。

質問に対して迅速かつ明確な回答が得られる会社は、社内での情報共有が円滑に行われており、顧客対応の体制がしっかりと整っている可能性が高いです。一方で、返信が遅い、質問に対する回答が曖昧、あるいは対応が非常に事務的な会社は、契約後のサポートにも不安が残る可能性があります。

実際にコミュニケーションをとることで、安心して任せられる会社かどうかを見極めましょう。

実際に事務所に行く

実際に不動産会社の事務所に足を運び、自身の目でその会社の雰囲気やスタッフの対応を直接確認しましょう。事務所の整理整頓具合や清潔さ、スタッフの笑顔や挨拶、接客態度など、Webサイトや電話だけでは分からない情報が得られます。

実際に担当者と顔を合わせて話すことで、疑問や不安に対して親身になって耳を傾け、丁寧に説明してくれるかどうか、信頼して取引を任せられる相手かどうかを判断することができます。最終的な判断材料として、自分自身が安心して任せられるかどうかを重視しましょう。

不動産会社選びの注意点

不動産会社の選び方|マンション等の売却・購入時の仲介会社選びのポイント
(画像:PIXTA)

ここでは、不動産会社を選ぶ際に注意すべきポイントを解説します。事前にこれらのポイントをしっかり確認しておくことで、トラブルを回避しながら安心して取引を進めることができます。

複数の不動産会社を比較検討する

不動産会社を選ぶ際には、Webサイトの情報や口コミだけで判断せず、複数の会社を実際に訪問して比較検討するようにしましょう。同じような物件を紹介されたとしても、提案内容やリスク説明の丁寧さ、対応のスピードなどに違いが現れるため、実際に話してみることで信頼できるかどうかが見えてきます。

また、複数社を比較することで相場観や投資判断の材料も得られるため、一方的な情報に惑わされることなく、より客観的かつ総合的な判断を下せるようになります。

営業日・営業時間を確認する

不動産取引では、契約や入居者対応などで急な連絡が必要になる場面もあります。そのため、不動産会社の営業日や営業時間を事前に確認しておくことが重要です。

例えば、平日夜間や土日祝日にも対応してくれる会社であれば、急な相談事や予期せぬトラブルが発生した際にも、迅速に連絡を取り、対応してもらえる可能性が高まります。そのため日頃からスムーズな連絡ができる会社を選ぶことは、長期的に見ても大きな安心材料となります。

仲介手数料・提携金融機関を確認する

不動産会社を選ぶ際には、仲介手数料のほか、提携している金融機関についても事前に確認しておきましょう

不動産会社によって、提携している金融機関の種類や数、そしてそれらの金融機関が提供する金利や融資条件は大きく異なります。例えば同じ物件を購入する場合でも、提携金融機関の違いによって、最終的に支払う利息の総額や頭金の要件、返済期間などに大きな差が生じる可能性もあります。

収益性を高めるためにも、物件価格だけでなく、諸費用や融資条件も含めた総合的な視点で比較・検討するようにしましょう。

口コミや免許更新回数を過信しない

不動産会社を選ぶ際、口コミや免許の更新回数といった情報も参考にはなりますが、それだけで判断してしまうのは危険です。

口コミは個人の主観が強く反映されていることが多く、実際のサービス内容とは異なる印象を与えてしまうこともあります。また、国土交通省のデータベースなどで確認できる免許の更新回数は、営業年数の目安にはなりますが、それがそのまま信頼性の高さを保証するわけではありません。会社の方針が途中で変わっていたり、営業担当者が代わっていたりすることも考えられるためです。

最終的には、担当者の対応力や誠実さを自分の目で確認し、信頼できると感じられるかどうかを重視することが大切です。情報はあくまで補助的に活用するように心がけましょう。

不動産売却の場合、仲介ではなく買取の選択肢もある

不動産を売却する際には、不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」だけではなく、不動産会社が不動産を買い取る「買取」という選択肢もあります。

買取を行う不動産会社は、売主から直接不動産を買い取り、それを自社の在庫として仕入れます。その後、その物件をリフォームなどで価値を高めて再販売したり、あるいは買い取ったそのままの状態で再販売したりすることで、その差額(利ザヤ)を利益として確保します。このため、買取の場合は、市場相場に近い価格での売却が期待できる仲介と比較して、売却価格が低くなる傾向にあります。

しかし、買取には仲介にはない大きなメリットも存在します。それは、査定から契約、そして現金化までのスピードが不動産仲介会社よりも早い傾向にある点です。買主を探す手間や時間を省けるため、急いで現金化したい場合や、相続などで早く手放したい事情がある場合におすすめです。また、仲介では必要となる内覧対応や、買主との価格交渉、契約不適合責任(瑕疵担保責任)が免除されるケースが多い点も、売主にとっては魅力的な要素となり得ます。

売却の目的や期間、物件の状態などを総合的に考慮し、仲介と買取のどちらがより適しているかを慎重に検討することが大切です。

不動産仲介会社 不動産買取会社
交渉相手 不動産仲介会社および買主 不動産買取会社
売却スピード 買主が見つかるまで時間がかかることがある 早い
売却価格 市場相場価格に近い価格で売却できる可能性が高い 一般的には仲介よりも安くなることが多い

不動産を売却する際の流れや、売却タイミングの見極め方など、売却に関する基本的な知識はこちらのコラムでも詳しく解説しているので、売却を検討中の方はぜひ併せてご覧ください。

【関連記事】不動産投資を始める前に知りたい売却の基本 売却タイミングとポイント

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