タワマン投資はリスクが高い?メリット・デメリットや選び方のポイントも解説

タワーマンションは、眺望の良さや豪華な共用施設から多くの人々に憧れられる住居形態です。そのため、タワーマンションへの投資(タワマン投資)を検討している方も少なくないでしょう。

しかし、タワマン投資は一般的な不動産投資とは特徴やターゲットが異なるため、タワーマンション特有の投資戦略を立てる必要があります。

そこで本コラムでは、タワーマンションの特徴からタワマン投資のメリット・デメリットまで詳しく解説すると共に、購入や投資を検討する際のポイントをご紹介します。

タワーマンションとは?

タワマン投資はリスクが高い?メリット・デメリットや選び方のポイントも解説
(画像:PIXTA)

タワーマンションとは厳密な定義はありませんが、一般的に高さ60m以上、または20階建て以上の高層マンションのことを指します。通常のマンションよりも厳しい建築基準が適用されており、構造強度や設備の安全性、避難経路の確保などに特別な配慮がなされています。

また、夜景やオーシャンビューなど眺望の良さや高級感を楽しめること、共用施設やサービスが充実している点など、高い安全性と快適性を備えた住居として人気を集めています。富裕層や外国人駐在員など、特定のターゲット層に強い訴求を持つことも特徴の一つといえます。

近年タワーマンションは自ら住むだけでなく、投資物件としても注目が高まっています。しかし、その一方で、タワマン投資をする際には、一般の不動産投資とは異なる特徴があることを理解し、投資戦略を立てる必要があります。

タワマン投資のメリット

タワマン投資はリスクが高い?メリット・デメリットや選び方のポイントも解説
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タワマン投資には主に以下のようなメリットがあります。

・需要が高く空室リスクが低い
・資産価値が下がりにくいためキャピタルゲインが期待できる
・相続税の節税効果がある

賃貸需要が高く空室リスクが低い

タワーマンションは一般の賃貸物件と比較して需要が高く、空室リスクが低いというメリットがあります。多くのタワーマンションは都心部や交通の便が良い場所に立地しているため、通勤や日常生活の利便性が高い点でも評価されています。

また、前述の通り、都市の景観や遠くの山々を望む高層階からの眺望に加え、フィットネスジム、プール、ラウンジ、パーティールームなどの充実した共用施設も入居者を引きつける重要な要素です。さらに、タワーマンションには24時間体制の警備や最新のセキュリティシステムが導入されており、入居者に安心感を提供しています。

これらの要素が相まって、タワーマンションは多くの人々にとって「憧れの住まい」としての位置づけが強まっています。多くの入居者が長期入居を希望するため、空室期間が短くなります。その結果、不動産投資家にとっては安定した家賃収入が期待できる、魅力的な投資対象となっています。

資産価値が下がりにくいためキャピタルゲインが期待できる

タワーマンションは長期保有しても、売却時に高いキャピタルゲインを得られやすいというメリットがあります。前述のように、タワーマンションは立地の良さ、眺望の良さ、施設の充実度、セキュリティの高さといった面から需要が高く、資産価値が下がりにくいためです。

また、タワーマンションは高度な建築技術と品質管理のもとで建設されており、耐震性や耐久性に優れているため、資産価値を維持しやすいことも理由として挙げられます。

相続税の節税効果がある

不動産投資をすることで、所得税、住民税、相続税、贈与税を節税できます。具体的には、「減価償却」によって不動産所得で会計上の赤字を発生させ、その赤字を本業の所得(給与所得や事業所得など)と損益通算します。こうすることで所得全体の金額を圧縮し、税率や税額を減らすことができます。

不動産投資の節税の基本については、下記記事で詳しく解説しています。

【関連記事】不動産投資で節税できる仕組みとは?リスクや低減策を解説!

このように不動産投資による節税メリットはあるものの、2024年1月1日からタワーマンションの相続税評価方法が見直されました。

元々「タワーマンションを購入して節税する」というのは不動産投資家や富裕層に人気のスキームでした。というのも、不動産の相続税評価額が市場価格(実際に売れるであろう価格)よりも低く設定され、大きな節税効果が得られたからです。

タワーマンションの特徴として、高層階の方が低層階よりも資産価値が高くなる傾向にありますが、相続税評価額は低層階・高層階による差が大きくありませんでした。そのため高層階の部屋を選ぶことで、より資産価値の高い物件を安い税金で相続できる可能性があったので、節税目的で高層階を購入する人が多くいました。

しかし、税制改正によって、相続税評価額が最低でも時価の6割になるように引き上げられることになりました。その結果、時価と相続税評価額の乖離が約1.67倍以上ある場合には、以前の計算方法よりも相続税の負担が増えることになりました。

この改正は「タワマン節税封じ」とも言われていますが、不動産投資としての一般的な節税効果はあるため、タワマン投資の魅力が完全に失われたわけではありません。

タワマン投資のデメリット

タワマン投資には前述のようなメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。ここではタワマン投資のデメリットとして、以下の4つを解説します。

・物件価格が高い・利回りが低い
・初期費用やランニングコストが高い
・限られた資金ではリスク分散が難しい
・競合物件の増加により需要が低下する可能性がある

物件価格が高い・利回りが低い

タワーマンションは立地の良さや需要の高さから、一般的なマンションと比較して物件価格が高くなる傾向にあります。

また、物件価格が高いことで、家賃収入に対する物件価格の比率が高くなるため、表面利回りが低くなる傾向にあります。通常のマンション投資では利回りが3〜5%とされるのに対し、タワマン投資では2%程度にとどまることも少なくありません。

管理費や修繕積立金も一般的な物件よりも高額になるため、純収益がさらに減少し実質利回りも低くなりやすいこともデメリットとして挙げられます。

初期費用やランニングコストが高い

タワーマンションの購入には、一般的なマンションと比べて高額な初期費用が必要となります。前述の通り物件価格自体が高額であり、都心部の人気エリアでは多くのタワーマンションが物件価格1億円を超えています。高額な購入費用に比例して、諸費用も高くなります。

さらに、タワーマンションの維持管理には多額のコストがかかります。24時間体制のセキュリティシステムの運用、エレベーターの保守、共用施設(フィットネスジム、プール、ラウンジなど)の管理など、高度な設備やサービスの維持には相応の費用が必要です。そのため、管理費や修繕積立金は一般的なマンションよりもずっと高額になる傾向があります。
これらの高額なランニングコストは、投資収益を圧迫する要因となります。

また、ランニングコストの一つに固定資産税がありますが、2017年1月1日以前に新築されたタワーマンション(高さ60m以上の居住用建築物)では、低層階でも高層階でも固定資産税の税率は同じでした。

しかし、税制改正により、2017年1月2日以後に新築されたタワーマンション(2017年3月31日までに売買契約が締結された居住者用の専有部分を含むものを除く)では、2018年度以後の各年度分の固定資産税について、階数が上がるごとに税率が高くなるように変更されました。そのため、高層階の物件を選ぶほど固定資産税の負担が大きくなるということも理解しておく必要があります。

限られた資金ではリスク分散が難しい

タワーマンションは高額な物件が多いため、限られた資金では複数の物件に投資してリスクを分散することが困難になります。一つの物件に多額の資金を投じることになるため、その物件の価値変動が投資全体に大きな影響を与える可能性があります。

一般的な不動産投資では、複数の物件に分散投資することでリスクを軽減する戦略が用いられます。例えば、1億円の資金があれば、2,500万円の物件を4つ購入することで、地域や物件タイプを分散させることができます。しかし、タワーマンションの場合、1億円では1物件の購入がやっとという場合も多く、分散投資が困難になります。

エリアによっては経済状況が悪化したり、競合物件の増加により需要が低下したりした場合、投資全体に大きな影響を与えることになります。

このようにタワマン投資では、限られた資金でリスクを分散することが難しく、結果として投資リスクが高まる傾向があります。これは個人投資家にとって大きな課題となり得ます。

競合物件の増加により需要が低下する可能性がある

都市部、特に大都市圏においてタワーマンションの建設が急速に進む中、競合物件の増加により需要が低下する可能性があります。また、新しいタワーマンションが建設されると、最新の設備や魅力的な共用施設を備えていることが多いため、既存の物件の相対的な魅力が低下する可能性があります。

さらに、タワーマンションの建設ラッシュは、将来的な供給過剰のリスクももたらします。例えば、経済状況の変化や人口動態の変化により、タワーマンションへの需要が減少した場合、大量の空室が発生する可能性があります。これによって、賃料のさらなる下落や物件価値の低下につながる可能性があります。

タワーマンションを投資物件として選ぶ際のポイント

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(画像:PIXTA)

タワーマンションは一般的な不動産とは異なる特徴を持っているため、物件を選ぶ際には注意が必要です。ここでは、タワーマンションを投資物件として選ぶ際のポイントとして以下の3つを解説します。

・利便性の高いエリアにある物件を選ぶ
・階数が高く眺望が良い向きの物件を選ぶ
・設備や共用施設が充実した物件を選ぶ

利便性の高いエリアにある物件を選ぶ

これはタワーマンションに限りませんが、不動産投資での物件選びでは、交通アクセスが良く、商業施設や公共施設が充実したエリアの物件を選ぶことで、安定した賃貸需要を見込むことができます。特に、駅直結や駅から徒歩5分以内などの「駅近物件」は、高い人気を維持しやすい傾向があります。通勤や日常生活の利便性を重視する入居者が多いため、利便性の高いエリアにある物件は空室リスクが低く、安定した賃料収入が期待できます。

また、医療機関や教育施設へのアクセスの良さも重要なポイントです。総合病院や大学が近くにある物件は、より多くの入居者を引きつけられる可能性が高くなります。さらに、将来的な開発計画も考慮に入れるべきです。例えば、新たな路線の開通や大規模商業施設の建設が予定されているエリアの物件は、将来的な価値上昇の可能性があります。

階数が高く眺望が良い向きの物件を選ぶ

タワーマンションといっても高層階にある物件と低層階にある物件が存在します。その中で、階数が高く眺望が良い物件を選ぶこともポイントです。一般的に、階数が高くなるほど眺望は良くなり、物件の価値も高まります。特に20階以上の高層階は人気が高く、賃料や売却価格も高くなる傾向があります。

眺望の良さでは、単に階数の高さだけでなく、向きも重要です。東京都心部のタワーマンションであれば、東京タワーや東京スカイツリー、富士山などのランドマークが見える向きの物件は特に人気が高くなります。大阪であれば大阪城や海の眺望、横浜であればみなとみらいの夜景が見える物件なども同様に人気が高くなります。

ただし、高層階の物件は価格が高くなるため、投資収益性のバランスを考慮して総合的に判断した上で選ぶ必要があります。また、超高層階では強風の影響でベランダの使用に制限がかかる場合もあるため、これらの点も考慮に入れるべきです。

設備や共用施設が充実した物件を選ぶ

ジム、プール、ラウンジなどの共用施設が充実している物件は、入居者にとって大きな魅力となるため、物件選びには重要なポイントとなります。これらの施設は、タワーマンションの付加価値を高め、競合物件との差別化にもつながります。最近では、コワーキングスペースやシェアオフィスなどのビジネス支援施設を備えたタワーマンションも増えており、在宅勤務やフリーランスの増加に伴い、より重要性を増しています。

ただし、設備や共用施設が充実するほど、管理費や修繕積立金が高額になる傾向にあります。長期的な収益性を計算する際には、これらのコストも十分に考慮しなければなりません。

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