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防火地域・準防火地域とは?違いや調べ方、建築制限を解説
  1. 防火地域・準防火地域とは?両者の違い
  2. 防火地域・準防火地域の建築制限とは?エリアごとの違いを整理
    1. 防火地域の建築制限(最も厳しい規制内容)
    2. 準防火地域の建築制限(規模に応じた制限)
    3. 東京都の「新防火区域(新たな防火規制区域)」の建築制限
  3. 耐火建築物・準耐火建築物とは?違いと基準を解説
    1. 耐火建築物とは
    2. 準耐火建築物とは
  4. 防火地域・準防火地域に物件を建てるメリット
    1. 防火性能が高く安全性の高い建物になる
    2. 建ぺい率が緩和される場合がある
    3. 保険料が割引になることがある
  5. 防火地域・準防火地域に物件を建てるデメリット
    1. 建築コストが高くなりやすい
    2. 使用できる建材・設計に制限がある
    3. 工事や設計の自由度が下がる場合がある
  6. 防火地域・準防火地域に建てる際の注意点
    1. 敷地が防火地域と準防火地域の両方にまたがる場合の扱い
    2. 建物規模によって耐火性能の基準が変わる
    3. 建築確認前に自治体へ事前相談する
  7. 防火地域・準防火地域の調べ方
    1. 自治体の都市計画図で確認する
    2. 自治体の窓口(都市計画課・建築指導課など)に問い合わせる
    3. 不動産会社・建築会社に確認する

防火地域と準防火地域では、建物の規模や用途に応じて、構造や設備に一定の制限が設けられています。建築基準法における規制を知らずに建築すると、設計変更や追加コストが発生する可能性もあります。そのため、不動産投資や住宅建設を検討する際には、対象の土地がどの区域に該当するかを事前に把握しておくことが重要です。

本コラムでは、防火地域・準防火地域の違いや建築制限の内容、調べ方などをわかりやすく解説します。

防火地域・準防火地域とは?両者の違い

防火地域・準防火地域とは?違いや調べ方、建築制限を解説
(画像:PIXTA)

防火地域と準防火地域は、いずれも都市計画法に基づき、市街地における火災の危険を防ぐために指定されたエリアです。両者の大きな違いは、防火規制の厳しさにあります。

防火地域は最も厳格な防火規制が課される区域で、主に駅前の商業地や建物が密集したエリアなどに指定されることが多いです。一方、準防火地域は防火地域ほど規制が厳しくないものの、一定の防火対策が求められる区域です。

どちらも都市部における火災の延焼を防ぐことを目的としており、建物の構造や仕様に関するルールが定められています。

なお、東京都では木造住宅が密集し道路が狭い地域が多いことから、大規模火災のリスクを抑えるために独自の上乗せ規制が設けられています。この規制は、2019年に「東京都建築安全条例」が改正され、「新防火区域(新たな防火規制区域)」として定められました。

主に準防火地域内の一部エリアを対象に、建物の規模や用途に応じて準耐火建築物相当の性能が求められています。東京都内で建築を検討する際には、この独自規制についても確認が必要です。

防火地域・準防火地域の建築制限とは?エリアごとの違いを整理

防火地域・準防火地域では、建物の規模や用途に応じて、耐火性能の制限が異なります。それぞれの地域ごとの制限内容をあらかじめ把握しておくことで、設計や建築計画をスムーズに進めることができます。

なお、本見出しで登場する「耐火建築物」や「準耐火建築物」の具体的な定義や違いについては、次の見出しで詳しく解説しています。

防火地域の建築制限(最も厳しい規制内容)

防火地域は、建築制限が最も厳しいエリアです。原則として耐火建築物とすることが求められており、一定規模以下の建物については準耐火建築物で対応できる場合もあります。具体的な基準は以下のとおりです。

建物の条件 耐火性能の制限
1〜2階建てで延べ床面積100㎡以下 耐火建築物または準耐火建築物
1〜2階建てで100㎡超、または3階以上 耐火建築物

このように、防火地域では建物の規模が大きくなるほど耐火性能の制限も高くなります。小規模な建物であれば準耐火建築物でも対応できますが、基本的には耐火建築物を前提とした計画が必要です。

また、屋根や外壁にも制限があります。屋根は不燃材料、外壁や窓、扉などの開口部には20分間の遮炎性能を持つ防火設備が必要になります。これは火の粉による延焼を防ぐための制限です。なお、延べ面積50㎡以内の平屋建て付属建築物や高さ2m以下の門・塀は、耐火構造ではなく、防火構造であれば問題ありません。

準防火地域の建築制限(規模に応じた制限)

準防火地域では、建物の規模・階数・延べ床面積に応じて、耐火性能の制限が段階的に定められています。防火地域より規制は緩やかですが、一定の防火対策は必須です。主な基準は以下のとおりです。

建物の条件 耐火性能の制限
1〜2階建てで500㎡以下の木造建築物 外壁・軒裏・開口部などへの防火設備の設置
3階建てで500㎡以下 耐火建築物または準耐火建築物
1〜3階建てで500㎡超〜1,500㎡以下 耐火建築物または準耐火建築物
1〜3階建てで1,500㎡超、または4階以上 耐火建築物

このように、規模が大きくなるほど求められる耐火性能が上がります。また、建物の隣地境界線や道路中心線から一定の距離内にある外壁や軒裏は防火構造でなければなりません。そのほかにも、窓やドア、換気口などの開口部に防火設備を設置する必要があるといった制限もあります。

建築計画の段階ですべての条件を把握しておくことが重要です。

東京都の「新防火区域(新たな防火規制区域)」の建築制限

東京都が独自に指定する新たな防火規制区域では、準防火地域の基準よりも厳しい制限が課されている場合があります。主に木造住宅が密集するエリアを対象としており、準耐火建築物相当の性能が求められるのが特徴です。具体的な基準は以下のとおりです。

建物の条件 耐火性能の制限
1〜3階建てで500㎡以下 準耐火建築物
1〜3階建てで500㎡超、または4階以上 耐火建築物
50㎡以下の平屋建て付属建築物 防火構造

東京都内で建築を計画する際は、対象地が新たな防火規制区域に該当していないかどうかを事前に確認したうえで、設計・費用の検討を進めることをおすすめします。

耐火建築物・準耐火建築物とは?違いと基準を解説

防火地域・準防火地域の建築制限を理解するうえで、「耐火建築物」と「準耐火建築物」の違いを把握しておくことが欠かせません。それぞれどのような性能が求められるのか、具体的な例とあわせて確認しておきましょう。

耐火建築物とは

耐火建築物とは、火災時に壁・柱・梁・床・屋根・階段の建物の骨組や安全性に関わる主要構造部が、一定時間(建物の部位や階数に応じて1〜3時間程度)の延焼や倒壊を防ぐ性能を持つ建物のことです。これは、火災が起きた際に避難時間の確保と延焼防止のために法律で定められています。

鉄筋コンクリート造(RC造)や耐火被膜を施した鉄骨造(S造)のマンションやオフィスビルなどが代表的な例として挙げられます。

また、窓などの開口部には防火窓・防火ドア・防火ダンパー付き換気扇など防火設備の設置が必要です。防火地域では、原則としてこの耐火建築物とすることが求められます。コストや設計の複雑さはありますが、火災に対する高い安全性を確保できるのが特徴です。

準耐火建築物とは

準耐火建築物とは、耐火建築物ほどの性能には及ばないものの、火災時に一定時間の倒壊を防ぎ、延焼を抑制するための耐火性能を備えた建物のことです。

石膏ボードで覆った木造住宅や、防火仕様の外壁・開口部を備えた戸建て住宅などが代表例として該当します。

準防火地域や東京都の新たな防火規制区域では、この準耐火建築物が求められるケースが多く、木造でも基準を満たすことができる点が特徴です。完全な耐火構造ほどのコストをかけずに一定の防火性能を確保できるため、住宅建設においては現実的な選択肢のひとつとなっています。

防火地域・準防火地域に物件を建てるメリット

防火地域・準防火地域とは?違いや調べ方、建築制限を解説
(画像:PIXTA)

防火地域・準防火地域に建築することには、制限がある一方でいくつかのメリットもあります。安全性や経済的な観点からの利点を整理しておきましょう。以下では、主なメリットを3つ紹介します。

防火性能が高く安全性の高い建物になる

防火地域・準防火地域では、耐火性・防火性を考慮した設計が義務付けられているため、火災時の延焼リスクを抑えることのできる建物になります。周囲からの延焼を防ぐ構造が求められるため、万が一の際にも被害を最小限に抑えられる可能性が高まります。

特に建物が密集するエリアでは、こうした防火性能の高さが安心感につながります。住む人・利用する人の安全を守るうえで、大きなメリットといえるでしょう。

建ぺい率が緩和される場合がある

防火地域・準防火地域において一定の耐火性能を満たす建物を建てる場合、建ぺい率の上限が緩和されることがあります。建ぺい率とは、敷地面積に対して建てられる建築面積の割合のことです。この数値が高いほど敷地を広く活用できます。

耐火建築物や準耐火建築物として認定されると、通常の制限より建ぺい率が最大10%緩和される場合があります。そのため、通常の制限より広い建物を建てられます。

建ぺい率の仕組みや計算方法、注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【関連記事】建ぺい率・容積率とは?違い・計算方法・調べ方をわかりやすく解説

保険料が割引になることがある

防火性能の高い建物は、火災保険の観点からもメリットがあります。耐火建築物や準耐火建築物は火災リスクが低いと評価されるため、火災保険料が割引になることがあります。これは保険会社によって異なりますが、構造区分に応じた保険料の違いが設定されており、耐火性能の高い建物ほど保険料が低く抑えられる可能性があります。

耐火建築物や準耐火建築物を採用するため、建築費用が高くなりますが、保険料を通常より節約できることで長期的に考えた際に、ある程度のコストを回収できる可能性があります。

防火地域・準防火地域に物件を建てるデメリット

防火地域・準防火地域とは?違いや調べ方、建築制限を解説
(画像:PIXTA)

防火地域・準防火地域での建築には、一定の制約が伴います。建築コストや設計の自由度への影響をあらかじめ理解しておくことで、計画段階でのリスクを減らすことができます。

主なデメリットを以下で確認しておきましょう。

建築コストが高くなりやすい

防火性能を確保するためには、耐火仕様の建材や設備を使用する必要があり、一般的な建物よりも建築費が高くなる傾向があります。特に、窓などの開口部に使用する防火サッシは通常のサッシより費用がかかるため、費用が高くなる要因となります。

建物の規模や仕様によって差はありますが、防火地域・準防火地域での建築を検討する際は、あらかじめ通常より費用が増える前提で資金計画を立てることが重要です。

使用できる建材・設計に制限がある

防火地域・準防火地域では、外壁や窓などに防火仕様の建材を使うことが求められるため、使用できる建材やデザインに一定の制限がかかります。

例えば、外壁の仕上げ材や窓の種類・形状が制約されることがあり、希望どおりの外観デザインを実現できないケースも出てきます。

デザイン性を重視した建築を計画している場合は、規制の範囲内でどのような選択肢があるか、建築会社と事前に十分すり合わせておくことが大切です。

工事や設計の自由度が下がる場合がある

防火規制を満たすために構造や設備に制約が生じることで、設計プランの自由度が制限されることがあります。間取りや開口部の配置、使用できる工法などに影響が出る場合もあり、当初のイメージどおりに進まないことも少なくありません。特に木造での建築を希望している場合は、求められる防火仕様によって工法の変更が必要になることもあります。

設計の段階から防火規制を前提としたプランニングを行うことで、こうした問題を事前に回避することが可能です。

防火地域・準防火地域に建てる際の注意点

建築制限を正しく把握したうえで計画を進めることが、スムーズな建築実現への近道になります。見落としやすいポイントを中心に、事前に確認しておきたい注意点を整理しましょう。

敷地が防火地域と準防火地域の両方にまたがる場合の扱い

敷地が防火地域と準防火地域にまたがっている場合、原則として規制が厳しい防火地域の基準が建物全体に適用されます。敷地の一部が準防火地域であっても、より厳しい方の規制に統一されるため、実質的には防火地域と同等の対応が必要になります。

ただし、防火地域と準防火地域の区域境界に、防火壁等を設けて建築物を適切に区画し、法的に一体とみなされない構成とした場合には、それぞれの区域ごとに異なる規制を適用できるケースもあります。

境界線が不明確な場合や、敷地が複数の区域にまたがる可能性がある場合は、建築計画の初期段階で自治体や専門家に確認しておくことが重要です。予期せぬ制約を避けるためにも、早めに確認しておくことをおすすめします。

建物規模によって耐火性能の基準が変わる

防火地域・準防火地域における建築制限は、延べ床面積や階数などの条件によって求められる耐火性能が異なります。小規模な建物では準耐火建築物で対応できる場合でも、規模が大きくなると耐火建築物が必要になるケースがあります。

そのため、建築計画の段階で建物の規模をある程度確定したうえで、どの基準が適用されるかを確認しておきましょう。途中で規模変更が生じると、設計の見直しや追加費用が発生する場合があるため、早期の確認が大切です。

建築確認前に自治体へ事前相談する

防火地域・準防火地域での建築に関するルールは、地域によって運用が異なる場合があります。建築確認申請を行う前に、自治体の都市計画課や建築指導課に事前相談することで、思わぬ計画変更を防ぐことができます。

特に東京都のように独自の上乗せ規制がある地域では、一般的な情報だけでは対応しきれないケースもあります。専門家への相談とあわせて、自治体への確認を早めに行うことで、スムーズな建築計画の実現につなげましょう。

防火地域・準防火地域の調べ方

建築や土地購入を検討する際には、対象エリアが防火地域・準防火地域に該当するかどうかを事前に確認することが欠かせません。調べ方はいくつかありますので、目的や状況に応じて使い分けましょう。

自治体の都市計画図で確認する

防火地域・準防火地域の指定状況は、各自治体が公開している都市計画図や都市計画情報マップで確認できます。多くの自治体ではインターネット上でも閲覧できるため、手軽に調べることが可能です。地図上で、対象の土地が防火地域と準防火地域に含まれるかどうかを視覚的に確認できるので、最初に活用したい方法です。

ただし、地図の縮尺や表示の精度によっては境界線の判断が難しい場合もあるため、詳細は他の方法と組み合わせて確認することをおすすめします。

自治体の窓口(都市計画課・建築指導課など)に問い合わせる

より正確な情報を得たい場合は、役所の都市計画課や建築指導課などの担当窓口に直接問い合わせる方法があります。担当者に対象の土地の住所を伝える、もしくは住宅地図や地図情報を持参することで、最新の防火地域・準防火地域の指定状況や規制範囲を確認できます。

用途地域など関連する規制についても併せて確認できるため、建築計画に必要な情報をまとめて収集したい場合に適しています。窓口での相談は無料で行えることが多いため、積極的に活用しましょう。

用途地域の概要や注意点、建築制限については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【関連記事】都市計画法の用途地域とは?13種類の一覧・特徴と制限をわかりやすく解説

不動産会社・建築会社に確認する

土地購入時や建築計画時には、不動産会社や建築会社に確認を依頼する方法もあります。専門家であれば防火地域・準防火地域の確認だけでなく、建築制限が設計や費用にどのような影響を与えるかまで含めてアドバイスをもらえます。

特に初めて土地を探す人や、建築計画の経験が少ない人にとっては、専門家のサポートを活用することで、見落としや誤解を防ぐことができます。信頼できる会社を選び、疑問点は遠慮なく相談することが大切です。

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