「繁忙期なのに入居者が決まらなかった」「内見が入らない」「問い合わせが来ない」「空室状況がいつまで続くのだろうか」――このような不安を抱えている不動産所有者も多いのではないでしょうか。
アパート経営において、空室の長期化は収益に直結する大きな課題です。空室が埋まらない原因は、エリアの需給バランスや物件の条件、募集活動の方法などさまざまな要因があります。そのため、原因をきちんと整理し、状況に合った対策を取ることが欠かせません。
本コラムでは、アパートの空室が埋まらない主な原因や具体的な対策について、わかりやすく解説します。
アパートの空室が埋まらない主な原因
空室が埋まらないとき、まず大切なのは「なぜ埋まらないのか」を感覚ではなく、客観的な事実やデータに基づいて分析することです。空室が埋まらない理由は大きく「エリアの需給問題」「物件個別の問題」「募集活動・管理体制の問題」に分けられます。
これらの原因を誤って判断すると、効果的な対策を講じることができません。どの要因が影響しているのかを整理することが重要です。以下では、代表的な3つの原因について解説します。
エリアの需給バランスに問題があるケース
人口減少や新築物件の供給などによる競合物件の増加によって、エリア全体での空室が増えている場合があります。このようなケースでは、物件個別の問題ではなく市場全体の需給バランスが崩れていることが考えられます。
例えば、所有している物件の近隣に新築アパートが複数建設された場合、設備や築年数で劣る既存物件は入居者が決まりにくくなる傾向があります。また、大学の移転や企業の撤退などにより、地域の賃貸需要が減少するケースもあります。
このような場合、対策として周辺の空室状況や募集家賃、競合物件の条件を把握し、市場環境を確認することが重要です。エリア全体の状況を把握することで、適切な募集条件の設定につながります。
物件個別の条件に問題があるケース
物件そのものの条件が原因で、入居者が決まりにくいケースもあります。代表的な例としては、家賃が相場より高い、築年数が古い、交通の利便性が悪いといった点が挙げられます。
また、間取りや設備がエリアの需要と一致していない場合も、空室が長期化する要因になります。例えば、学校や大きな公園の近くなどファミリー世帯が多いエリアでのワンルーム、反対にオフィス街など単身者からの需要が中心となるエリアでのファミリー向け物件など、そもそもそのエリアに適していない入居者がターゲットとなる場合には、需要を取り込みにくくなります。
このような場合は、そのエリアの主な入居者層や賃貸需要の傾向を改めて把握したうえで、近隣の類似物件と比較しながら所有している物件の強みと弱みを整理することが重要です。市場の需要と競合物件との差を把握することで、改善すべきポイントが明確になります。
募集活動や管理体制に原因があるケース
空室が埋まらない原因は、募集活動や管理体制にある場合もあります。例えば、賃貸ポータルサイトへの掲載内容が不十分であったり、掲載している写真の印象が良くなかったりすると、反響が得られにくくなります。
また、管理会社の営業力や仲介会社との関係性も入居付けに大きく影響します。仲介会社に物件情報が十分に共有されていない場合、紹介される機会が少なくなる可能性があります。
こうした状況が続く場合は、必要に応じて管理会社の変更を検討することもひとつの選択肢となります。管理会社を変更する際の注意点や、信頼できる管理会社の探し方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【関連記事】管理会社を変更する際の注意点や手順とは?管理会社の選び方も解説
アパートの空室が埋まらないときに検討したい主な対策
原因が把握できたら、具体的な改善策を検討します。空室対策はひとつの方法だけではなく、複数の施策を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。ここでは、代表的な対策について解説します。
家賃や募集条件を見直す
家賃設定を見直すことは、空室対策のなかでも取り組みやすく効果の大きい方法です。周辺相場と比較して家賃が高い場合は、適正水準へ見直しましょう。
また、賃料そのものの見直しに加え、初期費用の負担を軽減する施策も有効です。例えば、一定期間のフリーレントを設定したり、キャンペーンとして家電をプレゼントしたりすることで、入居希望者にとっての実質的な負担を下げることができます。特に、引っ越し時の出費を抑えられる条件は検討の後押しとなり、問い合わせや内見が増加する可能性があります。
ただし、一度家賃を下げると入居中に家賃を上げることは難しいため、継続的な収益に影響が出ます。周辺物件とのバランスを見ながら、適切な条件を設定しましょう。
AD(広告料)を活用する
AD(広告料)は、仲介会社に対して支払う広告費のことです。ADの活用で仲介会社が積極的に物件を紹介するようになると、物件情報が閲覧されやすくなり、成約につながる可能性が高まります。特に競合物件が多いエリアでは、ADの有無が紹介頻度に影響する場合があります。また、短期間で空室を解消したい場合にも有効な手段です。
ただし、ADの設定には別途費用がかかるため、収支への影響を考慮する必要があります。ADを設定するメリットやデメリット、具体的な施策や費用相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【関連記事】不動産賃貸仲介のAD(広告料)とは?仲介手数料との違いは?広告の種類と活用方法を解説
賃貸サイトの掲載内容や写真を改善する
賃貸ポータルサイトは、多くの入居希望者が利用するため、掲載写真と掲載内容の質が影響します。写真の印象が良い物件は、閲覧数や問い合わせ数が増える傾向があります。
例えば、室内の明るさや清潔感が伝わる写真に変更するだけでも、閲覧数や問い合わせ数が改善する可能性があります。
設備や周辺環境の情報も含めて、掲載内容を定期的に見直し、競合物件と比較して魅力が伝わるように工夫することが重要です。
設備を導入して物件の魅力を高める
入居者に人気の設備を導入することで、物件の競争力を高めることができます。代表的な設備としては、宅配ボックスや無料インターネット、エアコン、防犯カメラなどが挙げられます。特に単身者向け物件では、無料インターネットの設備に対する需要が高い傾向にあります。また、防犯カメラなどのセキュリティ設備も、入居者の安心感につながります。
導入費用と賃料への影響を考慮しながら、ターゲット層に適した設備を選ぶことが重要です。
内装を改善して印象を良くする
内装の改善は比較的低コストで実施できる空室対策です。クロスの張り替えや照明の交換など、簡単なリフォームでも部屋の印象は大きく変わります。特に内見時の第一印象は重要であり、清潔感や明るさを意識した内装にすることで成約率の向上が期待できます。
大規模なリフォームだけでなく、小規模な改善でも効果があるため、費用対効果を考慮しながら実施しましょう。
ここまでに紹介した方法のほか、入居率を高める具体的な方法を探している方は、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】入居率は95%以上を目指そう|入居率を上げる方法も解説
空室対策として「家賃を下げる」だけが正解ではない
空室対策として家賃の値下げは即効性がありますが、長期的な視点では注意が必要です。賃料収入の減少により収益性が低下し、将来的な売却価格にも影響を及ぼす可能性があります。
また、一度下げた家賃を再び引き上げることは容易ではありません。周辺相場とのバランスを考慮せずに値下げを行うと、将来的な収益に影響を与える場合があります。
そのため、まずは募集方法の改善や設備導入など、家賃以外の対策を優先的に検討することが重要です。家賃の見直しは、他の対策を検討したうえで家賃の値下げを行うか、慎重に判断しましょう。
将来的な売却も見据えて空室対策を考える
空室対策は、短期的な入居付けだけでなく、将来的な資産価値にも影響します。家賃を下げると利回りが低下し、売却時の価格に影響する可能性があります。
一方で、設備投資や物件改善をすることで家賃を下げることなく維持できれば、資産価値の維持につながります。また、入居率が高く、賃貸収入が安定している物件は、投資用不動産としての評価も高くなります。
将来的な売却も視野に入れながら、長期的な視点で空室対策を検討することが重要です。
まとめ|空室が埋まらないときは原因を整理し適切な対策を
アパートの空室が長期化した場合でも、原因を整理し、適切な対策を講じることで改善できる可能性は十分にあります。まずは、エリアの需給バランス、物件の条件、募集活動や管理体制など、どこに課題があるのかを客観的に把握することが重要です。
空室対策はひとつの方法だけでなく、家賃や募集条件の見直し、設備導入、掲載内容の改善など、複数の施策を段階的に実行することが大切です。短期的な入居付けだけを目的とするのではなく、収益性や資産価値への影響も考慮した判断が求められます。
長期的な視点で物件の競争力を高めることが、安定した賃貸経営につながります。空室が埋まらない場合は、原因を整理したうえで、段階的に対策を実施していくことが重要です。
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