「不動産投資を検討しているものの、どのエリアを選べばいいのかわからない」。そんな方も多いのではないでしょうか?
本連載では、オリックス銀行においてアパートの融資取扱件数が多かった駅を取り上げ、駅周辺の特徴や人口動態、賃料相場の推移などを分析・紹介していきます。ぜひ投資エリア選びの参考にしていただければ幸いです。
今回ご紹介するのは、東京メトロ千代田線「北綾瀬(きたあやせ)」駅。東京メトロ千代田線の支線にある駅ですが、2019年3月から大手町方面への直通運転が開始され、始発駅として注目されるようになりました。かつては「都心からやや距離のある住宅地」というイメージを持たれてきた同エリアですが、駅前再開発による商業施設の整備や駅機能の強化により、生活利便性と居住環境の双方が着実に向上しています。
そうした変化を背景に安定した賃貸需要が見込まれるエリアとして、近年ではオリックス銀行での融資取扱件数も伸びています。
本稿では、人口動態や世帯構成、賃料推移などのデータをもとに、北綾瀬駅エリアの実態と投資適性を多角的に検証していきます。
東京メトロ千代田線 北綾瀬駅ってどんな街?
はじめに、北綾瀬駅のプロフィールや街の特徴についてご紹介します。
東京メトロ千代田線 北綾瀬駅のプロフィール
| 北綾瀬駅の所在地 | 東京都足立区谷中二丁目6-21 |
| 主要ターミナルへのアクセス | 北千住駅:約9分(千代田線直通) 西日暮里駅:約15分(千代田線直通) 大手町駅:約25分(千代田線直通) 日比谷駅:約28分(千代田線直通) 表参道駅:約38分(千代田線直通) 東京駅:約33分(大手町駅経由) 新宿駅:約45分(西日暮里駅経由) |
| 1日平均乗降客数 | 43,371人(2024年度) (参照:北綾瀬駅と乗降客数が近い都内の駅) JR駒込駅43,540人、JR西荻窪駅42,670人 |
| 駅周辺の特徴 | 北綾瀬駅周辺は、西口と東口で異なる性格を持つのが特徴。 西口側には、2025年6月オープンの「三井ショッピングパーク ららテラス北綾瀬」をはじめとする大型商業施設や飲食店、金融機関が集積。駅前通り沿いには大手チェーン店や生活関連施設が並び、駅の南西側には、しょうぶ沼公園という大きめの公園もある。 一方、東口側は比較的落ち着いた住宅エリアが広がり、駅前の喧騒から少し離れた穏やかな住環境が形成されている。近年は駅高架下の商業施設「マーヴ北綾瀬リエッタ」の開業により、買い物や飲食の利便性も向上している。 |
| 周辺施設の情報 | ・ららテラス北綾瀬(商業施設) ・マーヴ北綾瀬リエッタ(商業施設) ・サミットストア ららテラス北綾瀬店(スーパーマーケット) ・ワイズマート北綾瀬店(スーパーマーケット) ・ベルクス足立加平店(スーパーマーケット) ・西友北綾瀬店(スーパーマーケット) ・くすりの福太郎北綾瀬店(ドラッグストア) ・トモズ ららテラス北綾瀬店(ドラッグストア) ・ウェルシア足立加平店(ドラッグストア) ・ドラッグセイムス加平店・東和店(ドラッグストア) ・コジマ×ビックカメラ足立加平店 ・みずほ銀行ATM(北綾瀬駅前出張所) ・足立谷中郵便局 ・足立谷中三郵便局 ・警視庁綾瀬警察署 ・医療法人社団大坪会東和病院(総合病院) ・等潤病院(総合病院) ・足立区谷中区民事務所(行政サービス機関) ・しょうぶ沼公園 ・東綾瀬公園 ・東京メトロ綾瀬工場 ・首都高速6号三郷線 加平インターチェンジ |
北綾瀬駅は東京都足立区に位置する、東京メトロ千代田線の始発駅です。東京メトロ千代田線の支線にある駅であり、1日の乗降客数を見ると2014年では26,588人程度であったのに対し、2019年から大手町方面への直通運転が開始されると、2024年には43,371人にまで増加しました。
北綾瀬駅からは、2駅先のターミナル駅である北千住駅まで約9分。さらに大手町や表参道といった都心主要エリアへも、乗り換えなしでスムーズにアクセスできます。朝の通勤時間帯に座って移動しやすい点は、始発駅ならではの大きな魅力です。また、北千住駅でJRの上野東京ラインに乗り換えれば、東京駅や新橋駅、品川駅までも移動しやすく、都心へのアクセスに優れています。
北綾瀬駅周辺は、商業・行政・医療の各施設がバランスよく集積しており、「徒歩圏内で生活に必要な用事が完結する」コンパクトシティ型の生活環境が整っています。駅直結の「ららテラス北綾瀬」の完成により、仕事帰りに日用品の買い物を済ませたり、約500席の大型フードコートで外食を楽しんだりと、ライフスタイルに合わせた使い分けがしやすくなりました 。
また、区民事務所や図書館、複数の総合病院、金融機関のATMなども近隣に揃っているため、日常生活の利便性は高いエリアといえるでしょう。子育て世帯にとっては、保育園や公園アクセスの良さが安心感につながり、単身者や高齢者にとっても移動距離を抑えて生活利便を享受できる点は大きな魅力です 。
日常生活は北綾瀬駅周辺で完結しつつ、より多様な商業・サービスを求める場合でも、北千住駅へ足を延ばせば大半のニーズをカバーできる点も、このエリアならではの強みといえます。
このように北綾瀬駅エリアは、「都心直結の交通利便性」と「地域内で完結する生活利便性」を兼ね備えたバランスの良い住環境を有しており、今後も安定した居住ニーズが期待される注目エリアです。
北綾瀬駅エリアを歩いて現地調査してみた
北綾瀬駅にどんな人が住むのか、どんな街なのか、manabu不動産投資事務局メンバーが実際に現地を歩き、不動産投資の視点から感じたことを紹介します。
※北綾瀬駅エリア(北綾瀬駅を最寄りとするエリア):加平/谷中/東和/大谷田
今回の現地調査は13時過ぎの時間帯での調査となりました。
駅についてまず感じたことは「駅が綺麗」ということ。以前の北綾瀬駅は、わずか3両の電車が綾瀬駅までの1駅のみを走る支線でしたが、2019年に大手町方面への直通運転が開始されたことに伴って、駅ホームが10両に延伸され駅舎もリニューアルされました。その結果、おそらく駅の雰囲気も大きく変わったのでしょう。
駅周辺を歩いてみると、ロータリーも整備されていて明るい印象。駅から直結のららテラスには、スターバックスコーヒーやマクドナルド、ミスタードーナツや大阪王将、松戸富田製麺、山下本気うどんなどの飲食店があり、もしも自分が単身で暮らすとしたら非常に重宝するだろうと思いました。また、駅の周辺にスーパーマーケットやドラッグストアが複数あり、単身者だけではなくファミリー層にとっても生活はしやすそうです。
唯一、駅周辺に足りないものを挙げるとしたら、銀行の支店がないことだと思いますが、コンビニエンスストアや出張所などにATMはあるのと、近年だとインターネットバンキングを利用する人も多いので、生活利便性の観点ではそれほど気にならないと個人的には感じました。
駅から離れて歩いてみると、道はどこを歩いてもフラットで歩きやすく、大通りから路地に入っても道路幅員が確保されていて、家族で子どもを連れて歩いていても歩きやすい道が多いように思います。駅から西に向かって歩いていくと、綾瀬川が流れており、その周辺は町工場が多い印象ですが、少なくとも訪問した時間の中では臭いや騒音などが気になるようなことはありませんでした。
また、街の中には、しょうぶ沼公園や大谷田公園、加平第一公園など子どもが駆け回れるくらいの広さがある公園も点在しており、小さい子どもを抱える家庭にとっては良好な住環境といえそうです。
比較的新しい街だからこそなのだと思いますが、街を歩いていて感じたことは、それほど築年数が経過していないRC造のマンションやアパート、戸建が多いということ。こういったエリアでは、築古物件だと賃貸付けには苦労するのではないかとも感じました。
このエリアには、綾瀬川や中川、荒川が流れていますが、ハザードマップで確認してみると、綾瀬川や中川が氾濫した場合には0.5m~3.0mの浸水となるエリアが多いものの、万一荒川が氾濫した場合には3.0m~5.0mもの浸水が想定されるエリアも多くありました。
具体的に物件の購入を検討する場合には、事前にハザードマップを確認する必要があるほか、火災保険に加入する際には水災補償を必ず検討するようにしましょう。
北綾瀬駅周辺の不動産会社にヒアリングした結果
北綾瀬駅周辺の賃貸需要について、実際にどのような人がこの街に住むのかを聞いてみました。
まず学生の需要については、東京電機大学東京千住キャンパス(北千住)の学生からの需要はあるようです。交通利便性が向上し、以前と比べると北綾瀬の賃料相場は大きく上がっていますが、それでもなお、北千住駅と比べると割安感があり、北綾瀬駅を選ぶ学生も一定数いるようです。東京電機大学千住キャンパスの学生数を調べてみると、2025年度時点で6,500人程度。親元から通う学生も多いと思いますが、このエリアで単身者向けの物件で賃貸経営をするならば押さえておきたい情報です。
また、都内へ通勤する社会人などからも選ばれやすく、やはり始発駅であるということと、都心と比べると賃料相場としても安価であることが決め手となっているようです。
これまで「駅別分析シリーズ」で取り上げた駅では、外国人の割合が大きい駅が多かったのですが、今回のヒアリングでは外国人の割合が多いという回答はありませんでした。以前の北綾瀬駅であれば賃料が周辺エリアの中でも割安であったことから、外国人の割合も一定あったようですが、現在は賃料相場も上がり綾瀬駅と比べても大きな差がなく、築浅の物件も多いことから、外国人の割合はそれほど高くないようです。
街を歩いていて感じた「築古の物件だと賃貸付けに苦労するのではないか」という疑問については、都心へのアクセスや住環境も良く駅としての強みはあるため、賃料設定さえ大きく間違えなければ、入居者は十分に入るとのことでした。
北綾瀬駅エリアの人口ポートフォリオ
ここでは、北綾瀬駅の人口動態について、統計データをもとに紹介します。
人口推移
北綾瀬駅エリアの人口は、2000年の48,500人から2020年には55,023人へと6,523人(約13.4%)増加しています。2025年の予測人口は56,117人とされており、2000年比では7,617人(約15.7%)増加となる見込みです。
年次推移を見ると、2010年に一度ピークを付けた後に減少し、その後再度増加基調に転じていることが読み取れます。この減少については、2010年代に駅前が再開発されており、その影響で一時的に駅周辺の人口が減少したことによるものと思われますが、その後は着実に人口が増加しているエリアです。
男女年齢別人口
以下は、2020年の国勢調査における北綾瀬駅エリアの人口を、年齢別および男女別に表示したグラフです。
まず、年齢階級別の合計でみると、男性27,007人、女性26,039人、合計53,046人となっています。男女差は約1,000人弱で、全体として大きな偏りは見られません。
年齢別の構成をみると、35~49歳人口は11,622人、 50~64歳人口は10,962人。両者を合計すると22,584人となり、年齢別合計に対して約42.6%を占めています。このことから、北綾瀬駅エリアは、働き盛り・子育て世代を含む中堅~プレシニア層が最も厚い構成であることがわかります。
全体に占める割合のうち65歳以上は約22.6%、34歳以下の若年層は約24.2%と、高齢層・若年層もバランスよく共存している様子が見られます。
単身世帯/家族世帯割合
以下は、2020年の国勢調査を基にした北綾瀬駅の単身世帯・家族世帯の割合を示したグラフです。
世帯総数28,212世帯のうち、単身世帯が14,108世帯、家族世帯が14,104世帯と、ほぼ同数で均衡している構成となっています。
もっとも、地区ごとの単身世帯率についてみると、駅寄りの加平・谷中地区では約54%、少し駅から離れた東和・大谷田地区では約47%と、北綾瀬駅エリアのなかでも地区によって性格が異なる構成となっています。
人口増加率
以下のグラフは、2000年を基準とした北綾瀬駅エリア、東京23区の人口増加率を示したものです。
2000年を100とした場合の北綾瀬駅エリアの人口増加率は、2005年に101.7%、2010年に114.4%まで上昇しました。その後、2015年には108.3%へといったん低下しますが、2020年には113.4%まで回復し、2025年(予測)では115.7%となる見込みです。
北綾瀬駅エリアの人口増加率は、一時的に減少している時期もありますが、基本的には着実に増加基調を維持しています。実需に支えられた安定的な成長を続けているエリアといえるでしょう。
賃料増加率(家賃相場推移)と募集期間の相関性調査
北綾瀬駅エリアの賃貸募集事例のデータを集め、賃料や築年数、徒歩分数や、物件情報サイトの掲載期間を集計し、まとめました。
成約事例ではなく、あくまでも募集事例をもとに分析したデータですが、マーケットの動向を把握するうえでの目安として活用してください。
平均賃料相場推移(1K~1LDK)
以下は、北綾瀬駅エリアおよび東京23区それぞれの平均賃料相場の推移です。
2022年12月から2025年12月までの北綾瀬駅エリアにおける募集賃料の推移を見ると、直近2年で右肩上がりの上昇基調にあることが確認できます。
同期間における北綾瀬駅エリアの賃料上昇率は約14.8%で、89,876円から103,154円へと上昇しました。一方、東京23区全体では約19.3%の上昇率を記録し、111,598円から133,167円へと推移しています。
時系列で見ると、北綾瀬駅エリアは2022年12月からの緩やかな下落が一転、2024年6月に初めて9万円台に到達、2025年9月には10万円を突破しました。東京23区は2022年以降継続的に上昇し、2024年以降は12万円台から13万円台へと推移しています。
北綾瀬駅エリアは東京23区平均と比べて依然として割安感がありながらも、着実に価値を高めている状況が読み取れます。
2024年から2025年にかけての賃料等推移
| 1㎡あたり平均賃料 | 1㎡あたり 中央賃料 | 平均募集期間 | 中央募集期間 | 平均築年数 | 平均徒歩分数 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年 | 3,328円 | 3,364円 | 50日 | 32日 | 8.5年 | 7.5分 |
| 2025年 | 3,552円 | 3,548円 | 47日 | 30日 | 8.9年 | 7.0分 |
2024年と2025年の北綾瀬駅エリアにおけるデータと比較すると、市場環境の変化が読み取れます。
1㎡あたり賃料は、平均が3,328円から3,552円へ、中央値が3,364円から3,548円へと上昇しており、㎡単価ベースで約6〜7%の増加を示しています。募集期間については、平均が50日から47日へ、中央値が32日から30日へと短縮され、物件の成約スピードが速まっている傾向が見られます。
平均築年数は8.5年から8.9年へとやや経年した一方、平均徒歩分数は7.5分から7.0分へと駅により近い物件が増加しています。
このように、2025年前半は賃料水準の上昇と募集期間の短縮という2つの変化が同時に生じており、築年数や駅距離といった物件条件に大きな変化がない中で、需給バランスが変化していることが確認できます。
賃料および募集期間の変動率
| 平均賃料上昇率 | 中央賃料上昇率 | 平均募集期間 | 中央募集期間 | |
|---|---|---|---|---|
| 2024年〜2025年にかけての変動率 | 6.8% | 5.5% | -5.2% | -6.3% |
2024年と2025年前半を比較すると、1㎡あたり平均賃料は6.8%上昇、中央値は5.5%上昇しています。平均値・中央値ともにプラスとなっており、特に平均賃料の伸び率がやや大きい結果となっています。
一方で、募集期間については、平均掲載期間が5.2%短縮、中央値は6.3%短縮しています。いずれもマイナス幅となっており、募集期間は前年より短い水準で推移していることが分かります。
これらの点から、賃料は上昇し、募集期間は短縮しているという方向性が確認できます。このエリアの賃貸需要が高まっていることがデータからも読み取れます。
投資のポイント
データから見た投資のポイント
北綾瀬駅エリアは、千代田線始発駅という交通上の優位性に加え、「ららテラス北綾瀬」の開業など駅前機能の強化により、生活利便性が高いことが特徴です。西口の商業集積と東口の落ち着いた住宅地、公園や医療機関を含む生活インフラが徒歩圏に揃う環境は、単身者からファミリー層まで幅広い居住ニーズを下支えしています。
人口は2000年比で約15%増加しており、再開発に伴う増減を挟みながらも長期的には拡大基調を維持しています。年齢構成は35~64歳の中堅世代が厚く、世帯構成は単身・家族がほぼ均衡していることから、特定層に依存しない安定的な需要構造が形成されているといえます。
賃料面では、直近において上昇傾向が確認されるとともに、募集期間は短縮傾向にあり、賃貸需要が高まっている状況がうかがえます。
現地調査から見た投資のポイント
北綾瀬駅周辺は、2019年の大手町方面への直通運転開始以降に街の評価が上がり、比較的新しい住宅が多いエリアです。実際に街を歩いてみても、築浅のRC造マンションや比較的新しい住宅が目立ち、単身向け・ファミリー向けを問わず、一定の賃貸需要があることがわかります。
また、このエリアで木造アパート投資を行う場合には、「アパート同士」だけでの競争だけではなく、「RC造マンションも含めたマーケット」の中で入居希望者から選ばれる物件づくりが重要になるでしょう。
例えば、室内設備やデザイン性、インターネット環境、共用部の清潔感など、入居者が実際に比較するポイントはマンションと大きく変わりません。エリアとしての賃貸需要も根強くあることから、家賃設定次第で入居者は決まると思いますが、安易に賃料を下げてしまえば利回りが低下し、売却時の価格にも影響が出ることが想定されるため、「この家賃ならこの物件が良い」と感じてもらえる付加価値を意識することが重要になります。
また、綾瀬川や中川、荒川といった河川の多いエリアであり、購入検討にあたっては必ずハザードマップをよく見ること、そしてリスクに応じた保険への加入を検討することがポイントになりそうです。
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