【2026年4月施行】区分所有法の改正で何が変わった?不動産投資家が知るべき重要ポイントをわかりやすく解説
  1. そもそも「区分所有法」とは?
  2. 改正区分所有法はいつ施行された?
  3. 区分所有法が改正された背景
  4. 区分所有法の改正で何が変わった?
    1. 管理組合の決議要件の緩和
    2. 建て替えのハードルが下がった
    3. 幽霊オーナーを整理しやすくなった
    4. 賃借人への退去要請をしやすくなった
  5. 区分所有法の改正が不動産投資に与える影響
    1. 築古マンション投資の考え方が変わる
    2. 管理組合への関与がより重要になる
    3. 「管理状況」が物件選定においてより重要になる
  6. 不動産投資初心者が押さえておくべき注意点
    1. 再生可能性の高いマンションを選ぶことが、築古投資の新しい基準になる
    2. 管理組合への関与が資産防衛の“必須行動”になる
    3. 物件選定では、立地・利回りに加えて「管理の質」を重視する

2026年4月1日に、区分所有法の改正(改正区分所有法の施行)が全面実施されました。この法改正は、マンションの建て替えや管理組合の運営方法に大きな変更をもたらすものであり、不動産投資家にとっても無視できない内容となっています。特に区分所有マンションへの投資を検討している人や、すでに所有している人にとっては、今後の投資判断や物件管理に直接影響する可能性があります。

本コラムでは、改正区分所有法の主な変更点と、不動産投資にどのような影響を与えるのかについてわかりやすく解説していきます。

そもそも「区分所有法」とは?

【2026年4月施行】区分所有法の改正で何が変わった?不動産投資家が知るべき重要ポイントをわかりやすく解説
(画像:PIXTA)

区分所有法とは、正式名称を「建物の区分所有等に関する法律」といい、マンションや集合住宅など一つの建物を複数の所有者で所有する場合において、専有部分と共用部分の権利関係や管理方法を定めた法律です。

マンションでは、各住戸(専有部分)は個人が所有する一方で、エントランスや廊下、エレベーターなどの共用部分は区分所有者全員で共有しています。この複雑な権利関係を整理し、管理組合の運営ルールや建て替えの手続きなどを規定しているのが区分所有法です。

不動産投資においても、管理組合の意思決定や建て替えの可否など、物件価値に大きく影響する重要な法律となっています。

改正区分所有法はいつ施行された?

改正区分所有法(区分所有法の改正)は、2026年(令和8年)4月1日に全面施行されました。この改正は、マンションの高経年化(老朽化)と居住者の高齢化という「2つの高齢化」に対応するため、数年にわたる議論を経て実現したもので2002年(平成14年)以来の大規模な法改正になります。

施行日以降は、新たなルールに基づいて管理組合の運営や建て替えの決議が行われることになります。ただし、一部の規定については経過措置が設けられている場合もあるため、既存のマンションにおいては段階的に新ルールへの移行が進んでいくことになります。

今後のマンション管理や投資判断において、この改正内容を正しく理解しておくことが重要です。

区分所有法の歴史
1962年(昭和37年) 区分所有法制定
1983年(昭和58年) 初の大改正
2002年(平成14年) 2回目の大改正
2025年5月23日(令和7年) 3回目の法改正(成立・公布)
2025年11月28日(令和7年) 一部先行施行
2026年4月1日(令和8年) 主要改正項目全面施行

区分所有法が改正された背景

今回の区分所有法の改正は、区分所有建物の高経年化と居住者の高齢化という2つの高齢化が進行している社会情勢を踏まえて行われました。

日本全国で築40年以上のマンションが急増しており、今後も老朽化したマンションは増加し続けることが予想されています。一方で、居住者の高齢化も進み、管理組合の運営が停滞したり、建て替えなどの重要な意思決定が難しくなったりするケースが増えてきました。

こうした状況に対応するため、マンションの新築から再生までのライフサイクル全体を通じて、その管理や再生を円滑化することを目的として、今回の法改正が実施されました。

区分所有法の改正で何が変わった?

【2026年4月施行】区分所有法の改正で何が変わった?不動産投資家が知るべき重要ポイントをわかりやすく解説
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今回の改正では、マンション管理の円滑化と再生の促進を目的として、主に4つの重要な変更が行われました。決議要件の見直しや建て替えルールの緩和など、管理組合の運営方法に直接影響する内容となっています。ここでは、それぞれの変更点について詳しく見ていきましょう。

管理組合の決議要件の緩和

改正区分所有法では、修繕など区分所有権の処分を伴わない事項については、出席者の多数決で決議できる項目を拡大しました。従来は、総会の決議において、全区分所有者の多数決(過半数の賛成)による普通決議を実施していたため、欠席者も母数として含まれていました。そのため、無関心な所有者が多いマンションでは定足数を満たせず、決議が進まないという問題が頻繁に発生していました。

改正後は、欠席者を母数から除外し、出席者のみで過半数の賛成があれば決議が成立するようになりました。これにより、これまで無関心な所有者が多いことで起こっていた「決議が進まない」といった問題が解消されやすくなり、管理組合の意思決定がよりスムーズに行えるようになりました。

建て替えのハードルが下がった

従来、マンションの建て替えには議決権の5分の4以上の賛成が必要でしたが、改正により一定の条件を満たす場合には、4分の3の賛成(被災時は3分の2)で建て替え決議が可能となりました。具体的には、現在の耐震基準を満たしていない場合や、火災に対する安全性が不足している場合、高齢者の移動に著しい支障がある場合などが該当します。

それでも4分の3の賛成が必要なため、合意形成のハードルは依然として高いものの、条件付きながら一部規制が緩和されたことにより、建て替えはこれまでよりも進みやすくなると期待されています。

老朽化したマンションの再生が促進されることで、地域の安全性向上にもつながる可能性があります。

幽霊オーナーを整理しやすくなった

所有者が長期間不在で所在不明となっている、いわゆる「幽霊オーナー」の問題に対応するため、新たな仕組みが導入されました。裁判所の認定を受けることで、所在不明の区分所有者を決議の母数から除外できるようになりました。

従来は、連絡が取れない所有者がいる場合でも、所有者として母数に含めて決議要件を計算するため、重要な議案の可決が困難になるケースが多く見られました。

この改正により、適切な手続きを経れば所在不明者を除外できるため、管理組合としての意思決定がよりスムーズに行えるようになります。相続などで所有者が変わった際に連絡先が不明になるといった問題にも対応しやすくなりました。

賃借人への退去要請をしやすくなった

建て替え決議が成立した場合、賃借人に対して6カ月の猶予期間を設けたうえで契約終了を求めることができるようになりました。

これまでは、借地借家法によって賃借人が強く保護されていたため、立ち退きを求める際には多額の立退料の支払いや長期間にわたる交渉が必要となることが多く、建て替え計画の大きな障害となっていました。

法改正によって、一定の手続きを経ることで法的な強制力を持って契約終了を求めることができるようになり、建て替えを進める際の交渉がスムーズになることが期待されています。ただし、賃借人の居住権にも配慮した十分な猶予期間が設けられています。

区分所有法の改正が不動産投資に与える影響

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改正区分所有法の施行により、不動産投資においても物件選定の基準や管理への関わり方が大きく変わることが予想されます。特に区分所有マンションへの投資を検討している人は、以下の3つの影響を理解しておく必要があります。

築古マンション投資の考え方が変わる

築年数が古いマンションでも、建て替えや再生が進むことで、将来的な資産価値向上につながる可能性が出てきます。前述した通り、築古物件の建て替えは5分の4以上の賛成が必要でしたが、改正により一定の条件を満たす場合には、4分の3の賛成により建て替えが可能になりました。

従前の建て替え決議に対するハードルが高かったことによって、資産価値の下落が避けられないと考えられてきましたが、今回の法改正により状況が変わりつつあります。

ただし、法改正はマンションの再生を後押しするものではあるものの、実際に再生を実現するには管理組合の財務内容や合意形成などの条件が整うことが必要です。すべての築古マンションで建て替えが進むわけではなく、管理状況や立地条件によって大きく差が出ると考えられます。今回の法改正によって劇的にマーケットが変わるということまでには至らない可能性が高いでしょう。

管理組合への関与がより重要になる

出席者の多数決で決議できる項目が増えることで、管理組合への積極的な参加がこれまで以上に重要になります。

改正区分所有法では、修繕など区分所有権の処分を伴わない事項は出席者の多数決で決議できるように変わりました。つまり、「欠席=反対扱いではなくなる」、「出席者だけで議案が通る」、「少数の出席者で組合運営が左右される」という状態になります。

出席者の顔ぶれ次第では、不要な高額工事など不適切な議案が通る可能性も高くなります。適切な管理を行わなければ、自分自身の持つ不動産の価値を毀損することにもなりかねないため、管理組合に主体的に関わらないと不利益な決議が通るリスクが増す可能性が高まります。

「管理状況」が物件選定においてより重要になる

投資判断においては、基本的な指標となる立地や利回りに加え、マーケットでの流通においては「マンションごとの管理能力の差」が将来的な資産価値をこれまで以上に大きく左右する可能性があります。

これは、同じ立地、同じ築年数のマンションであっても、管理組合がしっかり機能しているかどうかで、建て替えや大規模修繕の実現可能性が大きく異なってくるためです。管理組合の機能状況や過去の議事内容、修繕積立金の積立状況といった管理面の情報が、これまで以上に重要視されるようになるでしょう。

物件購入時には、管理状況を詳しく確認することの重要性が高まっています。

不動産投資初心者が押さえておくべき注意点

改正区分所有法の施行を受けて、不動産投資初心者が特に意識すべき3つのポイントをまとめました。これらを理解することで、より適切な投資判断が可能になります。

再生可能性の高いマンションを選ぶことが、築古投資の新しい基準になる

改正区分所有法により、建て替え要件の緩和や一棟リノベーション、敷地売却など再生手段の選択肢が拡大し、築古マンションでも将来的な再生が以前より進めやすくなりました。しかし、実際に再生が可能かどうかは、管理組合の財務基盤、修繕の実行度合い、建物自体の劣化状態といった内部要因に左右されます。

法改正はあくまで制度面でのハードルを下げたに過ぎず、実際の再生には多くの条件が必要です。したがって、築古マンションへの投資を検討する際には、単に築年数だけでなく、そのマンションが将来的に再生できる可能性があるかどうかを見極めることが重要になります。管理組合の運営状況や修繕積立金の水準などを確認しましょう。

管理組合への関与が資産防衛の“必須行動”になる

改正区分所有法では、修繕などの重要議案が総会出席者の多数決で決まるようになり、欠席者は母数に含まれなくなりました。そのため、少数の出席者だけでマンションの方針が決まるケースが増え、資産を守る意味で管理組合への積極参加が求められます。

特に投資用物件として所有している場合、つい管理組合への参加を疎かにしがちですが、それでは自分の資産を他人任せにしているのと同じです。不適切な決議によって物件価値が下がるリスクを避けるためにも、できる限り総会に出席するか、委任状を提出する際にも議案内容をしっかり確認するなど、管理組合の動きに注意を払うことが必要です。

物件選定では、立地・利回りに加えて「管理の質」を重視する

マンションの「管理能力の差」が、建て替えや再生のしやすさ、ひいては将来の資産価値に直結する構造がさらに明確になりました。今後は、同じ立地・築年数でも管理の良し悪しで価値の差が大きく開くマーケットになっていくでしょう。物件選定の際には、以下のような点を確認することが重要です。

・管理組合の運営状況(総会でどういった議事録が作成されているかなど)
・長期修繕計画の策定状況と進捗状況
・修繕積立金・管理費の健全性(過度に低すぎる場合には修繕や管理が行き届いていない可能性がある。また、滞納している区分所有者がいないかという視点も重要)
・物件の清潔感や共用部分の維持状態(物件を目視で確認)

これらのポイントをしっかりと押さえておくことで、長期的に安定した不動産投資につながっていきます。

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