未登記物件の売買はできる?購入前の確認ポイントと登記手続きの流れ
  1. 未登記物件とは?未登記物件は売買できる?
    1. 未登記物件|法務局の登記簿に載っていない建物のこと
    2. 建物は登記が義務づけられている
    3. 未登記でも税金はかかる(固定資産税・都市計画税など)
    4. 未登記物件でも売買は可能
  2. なぜ未登記物件が存在するのか
    1. 登記の重要性を理解していない
    2. 相続などで権利関係が整理できていない
  3. 未登記建物を購入する際の注意点
    1. 所有者・権利者を証明できるか
    2. 建物の同一性が確認できるか
    3. 融資が可能か
    4. 将来の売却が難しくならないか
  4. 未登記建物の売買で必要な手続き
    1. パターン1:売主が登記してから売る
    2. パターン2:買主が登記する
    3. 登記手続きの流れ
    4. 必要書類の例

未登記物件とは、法務局の登記簿に記載されていない建物のことを指しますが、そもそもこのような物件を売買することは可能なのでしょうか。また、購入する場合にはどのような点に注意すべきなのでしょうか。

本記事では、未登記物件の基本的な知識から、売買の可否、未登記物件が存在する理由、購入時の注意点、そして登記手続きの流れまで、不動産投資初心者に向けて詳しく解説します。未登記物件の購入を検討している人や不動産投資の知識を深めたい人は、ぜひ参考にしてください。

未登記物件とは?未登記物件は売買できる?

未登記物件の売買はできる?購入前の確認ポイントと登記手続きの流れ
(画像:PIXTA)

未登記物件の定義や法律上の扱いについて、まずは基本的な知識を押さえておきましょう。ここでは、登記制度の仕組みや義務、税金の扱い、そして売買の可否について解説します。

未登記物件|法務局の登記簿に載っていない建物のこと

そもそも登記とは、建物や土地の所在地、所有者、面積などの情報を法務局の登記簿に記載することをいいます。登記簿は誰でも閲覧できる公的な記録であり、不動産の権利関係を明確にする重要な役割を果たしています。

その一方で、未登記物件とは、完成している建物が法務局の登記簿に載っていない状態を指します。つまり、実際には建物が存在し、所有者も使用しているにもかかわらず、公的な記録として登録されていない物件のことです。土地については基本的にすべての土地が登記されていますが、建物についてはさまざまな理由から未登記のままの状態が続いているケースがあります。

建物は登記が義務づけられている

新たに建てられた建物や、まだ登記されていない建物の物理的な状況(種類・構造・面積など)を初めて登記簿に記録する手続きを「表題登記」といいます。

建物の表題登記は、建物の所有権を取得した者に対し、原則として新築から1カ月以内に登記申請することが法律上の義務となっています。

この義務を怠った場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。また、すでに登記している物件の構造や用途、床面積などに変更が生じた場合には、一定期間内に変更登記を行う義務があります。

さらに、令和6年4月1日の法改正により「相続登記」が義務化されました。相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。また、遺産分割が成立した場合には、遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記を行う必要があります。こちらも正当な理由なく義務に違反した場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。

未登記でも税金はかかる(固定資産税・都市計画税など)

登記がされていないからといって、税金の支払い義務がなくなるわけではありません。登記の有無にかかわらず、市町村側の台帳で所有者が登録されていれば課税対象となります。具体的には、固定資産税や都市計画税、不動産取得税などの納税義務が生じます。

市町村は独自に建物の存在を把握しており、登記がなくても固定資産税の納税通知書が送られてきます。そのため、「未登記だから税金を払わなくて済む」という考えは誤りです。むしろ、登記がないことで権利関係が不明確になるリスクを抱えながら、税金だけは支払い続けることになります。

未登記物件でも売買は可能

法律上、未登記物件であっても売買契約そのものは可能です。当事者間で売買契約を締結し、所有権の移転について合意することに問題はありません。実際に、未登記のまま売買が行われ、所有者が変わっているケースも存在します。

ただし、登記がないままだと、後々の実務面で様々な問題が生じる可能性があります。具体的には、権利関係をめぐる紛争が生じた場合に第三者に対抗できない、金融機関からの融資を受けられない、将来的に売却する際に買主が見つかりにくいなど、多くの問題が発生します。

そのため、売買は可能とはいっても、まずは登記を済ませてから取引を行うことが強く推奨されます。

なぜ未登記物件が存在するのか

世の中には、以下のような理由から、手続き未了のまま未登記物件として放置されているケースが意外と多くあります。

登記の重要性を理解していない

住宅ローンを利用して不動産を購入した場合、通常は所有権移転登記と同日に、金融機関の抵当権設定登記も申請します。そのため、住宅ローンの利用実績がある不動産であれば、基本的に未登記であるということは起きません。しかし、古い戸建てで建物新築時に住宅ローンを利用していない場合などでは、未登記のまま使用され続けているケースは意外とよくあります。

建物所有者が「建物があるから自分のものだ」「登記しなくても住めるし困らない」と安易に考えてしまっているような場合など、未登記物件が持つ様々なリスクに対する理解が十分になされていないケースでは、問題が顕在化するまで放置されてしまうのです。

特に所有者が高齢の場合、「自分が生きている間は問題ない」と考え、次世代に負担を先送りしてしまうケースもあります。

相続などで権利関係が整理できていない

建物の建築中に建築主が死亡して相続人が複数いる場合、相続人全員の意見がまとまらず、そのまま未登記となるケースがあります。通常であれば建物完成時に「建物表題登記」を行いますが、建築主が急に亡くなってしまうと、誰がその建物を引き継ぐのかが決まらなかったり、相続人の一部と連絡が取れなかったりすれば、そもそも相続手続きそのものが進められません。

また、相続人間で登記費用の負担を押し付け合い、「面倒だから後回しにしよう」という状況が続くと、時間の経過とともに、また別の相続が発生し、権利関係がさらに複雑化するという悪循環に陥る場合もあります。

未登記建物を購入する際の注意点

未登記物件の売買はできる?購入前の確認ポイントと登記手続きの流れ
(画像:PIXTA)

未登記物件の購入については様々なリスクがあり、基本的にはおすすめしません。それでも購入する場合には、通常の不動産取引以上に慎重な確認が必要となります。ここでは、購入前にチェックすべき重要なポイントを整理して解説します。

所有者・権利者を証明できるか

登記がない分、誰が所有者であるかを証明することが困難になります。そのため、固定資産税の課税明細書、建築確認資料、売主がどのような経緯で物件を取得したかを示す資料などを確認し、実質的な所有者を裏付ける必要があります。

特に相続や共有が絡んでいる場合には、同意を得なければならない権利者の範囲を確定することが困難になります。売主だと名乗る人物が単独で売却できる権限を持っているのか、他に権利を主張する人物がいないかを慎重に確認しましょう。

また、そうした建物を解体せずに引き続き活用する場合には、建物の管理状況や劣化状況についても十分に確認した上で購入を検討する必要があります。未登記の建物は適切なメンテナンスがなされていないケースも多く、購入後に想定外の修繕費用が発生するリスクがあります。

建物の同一性が確認できるか

「その建物が本当に売買の対象物件であるか」を特定できなければ、後で登記を行う際にも、将来的に売却する際にも手続きが進みません。登記がないので、登記簿上の地番や家屋番号で特定することができないためです。

そこで、現地で実際に建物を確認し、図面や公的資料との突き合わせを行います。必要に応じて、土地家屋調査士などの専門家に依頼して、建物の同一性を確認することも検討しましょう。特に古い建物の場合、増改築が繰り返されていたり、隣接する建物との境界が不明確だったりすることもあるため、慎重な確認が必要です。

融資が可能か

不動産を購入する際に、金融機関から融資を受ける場合は登記を行うことが必須となります。しかしながら、登記を行うとしても、それまで未登記だった物件への融資については、金融機関にとっては未登記期間中の所有者情報など、過去の履歴を追うことができない不動産に対する融資として、イレギュラーな対応となる可能性が高くなります。そもそも融資が可能なのか、可能な場合でも条件が厳しくなるのか、どのように対応するべきか、事前に金融機関に相談することが重要です。

融資を前提に購入を検討している場合、売買契約を締結する前の段階で金融機関に打診し、融資の見通しを立てておくことをおすすめします。

将来の売却が難しくならないか

未登記物件の購入に際して登記を行ったとしても、未登記の期間中の権利関係については、登記後の登記簿謄本からは確認することができません。

そのため、将来、その不動産を売却する際に、購入希望者に対して「なぜ一定期間未登記だったのか」「その間に何か問題があったのではないか」といったネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。結果として、売却が難しくなったり、価格が下がったりするリスクを考慮しておく必要があります。

また、自分自身の購入時に何とか融資を付けてくれる金融機関が見つかったとしても、売却時にもその不動産を担保に買主に融資をしてくれる金融機関があるかはわかりません。融資が付きにくいということは、買い手が限定されるということにもつながるので、その点のリスクも押さえておく必要があります。

未登記建物の売買で必要な手続き

未登記物件の売買はできる?購入前の確認ポイントと登記手続きの流れ
(画像:PIXTA)

未登記建物の売買を進める場合、登記をどの段階で誰が行うかによって手続きの流れが異なります。ここでは、主なパターンと登記手続きの流れについて解説します。

パターン1:売主が登記してから売る

最もスムーズな方法は、売主が表題登記や所有権保存登記などを済ませてから売買を行うパターンです。この場合、建物はすでに登記済みの状態となるため、通常通り決済と同時に所有権移転登記や抵当権設定登記まで進めることができます。

買主にとっては、登記済みの物件を購入することになるため、権利関係が明確で安心です。また、金融機関からの融資もスムーズに受けられる可能性が高まります。売主にとっても、登記を済ませることで物件の資産価値を明確にでき、適正な価格で売却できる可能性があります。

パターン2:買主が登記する

売主との交渉の結果、買主が登記を引き受けるケースもあります。この場合、売買契約書の中で、登記に必要な書類の提供や協力義務、費用負担、登記完了の期限などを特約として明確に定めておく必要があります。

買主が登記を行う場合、売主から必要書類の提供を受け、自らの費用負担で手続きを進めることになります。その分、売買価格の交渉で有利な条件を引き出せる可能性もありますが、登記手続きが複雑になったり、予想以上に費用がかかったりするリスクもあります。

特に、建築確認書類などが紛失している場合や、相続が絡んでいる場合には、登記手続きが難航する可能性があるため、専門家に事前に相談し、手続きの見通しを立てておくことが重要です。

登記手続きの流れ

未登記建物を登記する場合、一般的にはまず建物の表題登記を行います。表題登記では、建物の所在地、種類、構造、床面積などの物理的な状況を登記簿に記録します。この手続きは土地家屋調査士が行います。

表題登記が完了した後、所有権保存登記または所有権移転登記を行います。所有権保存登記は、初めて所有権を登記する場合に行う手続きです。一方、売買によって所有者が変わる場合には、所有権移転登記を行います。これらの手続きは司法書士が行います。

このように、登記手続きは土地家屋調査士と司法書士に分業されているため、両方の専門家と連携しながら進めることになります。

必要書類の例

登記を行う際には、様々な書類が必要となります。基本的な書類としては、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)、固定資産税の課税明細書、建築確認済証や検査済証、建物の図面、引渡証明書、売買契約書などが挙げられます。

ただし、物件の経緯や状況によっては、追加の資料が必要になることがあります。たとえば、建築確認書類を紛失している場合には、建築時期を証明する書類や現況を示す資料が必要になったり、相続が絡んでいる場合には相続関係を証明する戸籍謄本や遺産分割協議書などが必要になったりします。

登記手続きを円滑に進めるためには、早めに土地家屋調査士や司法書士に相談し、必要書類のリストアップと準備を進めることをおすすめします。

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