災害が少ない県トップ5|台風・地震・ゲリラ豪雨からランキング!

不動産投資を始める際に、重要なことの一つとして災害リスクが挙げられる。あらかじめ災害の少ないエリアを知ることにより、所有物件が災害によって倒壊や損壊し賃料が得られなくなったり突発的な修繕費が発生したりするなどのリスクを避けることができる。

本コラムでは、日本でよく起こる3つの災害別(台風、地震、ゲリラ豪雨)のランキングおよび、これらを総合したランキングを紹介していく。

国内で多い災害の種類は?日本で災害が起こりやすい理由は?

日本は、災害が発生しやすい位置や地形、気象条件にある。そのため、不動産投資で物件を購入する際には災害が起こりにくい立地の物件を選んだり、災害リスクを事前に理解し対策を万全にしたりすることが重要だ。国内で起きやすい災害には、以下のようなものがある。

  • 台風
  • 豪雨
  • 豪雪
  • 洪水
  • 土砂災害
  • 地震
  • 津波
  • 噴火 など

例えば台風が頻繁に発生する理由は、熱帯域から台風が北上する経路上に国土が位置していることが考えられる。また春から夏にかけては、梅雨前線が停滞しやすく大量の雨が降りやすい傾向にある。

そして日本がたびたび大地震に見舞われる理由は、国土が海洋プレートと大陸プレートの境界に位置しており、プレートの沈み込みの影響を受けている。

参考:内閣府「内閣府 防災情報のページ」※この先は外部サイトへ遷移します。より

災害が少ない県ランキングをテーマ別(総合、台風、地震、豪雨)に紹介

日本でよく起こる3つの災害別(台風、地震、ゲリラ豪雨)にもとづいたランキングと、これらを総合したランキングを見ていこう。

災害が少ない県の総合ランキング トップ5

このランキングは、後述する地震・台風・ゲリラ豪雨、それぞれのランキングをもとに当編集部が独自に作成した災害が少ない県の総合ランキングだ。トップ5は、以下の通りである。

順位 都道府県 台風の年平均接近数 地震の計測回数 ゲリラ雷雨の
過去5年平均回数
1位 佐賀県 3.50(九州北部地方) 5 390
2位 鳥取県 2.92(中国地方) 9 600
3位 滋賀県 3.19(近畿地方) 11 730
4位 奈良県 3.19(近畿地方) 11 840
5位 香川県 3.31(四国地方) 18 340

<1位>佐賀県
台風の接近数が多い九州地方にある一方で、地震の計測回数(震度1~7以上)が少ないランキングで1位、震度3以上観測回数は0回(2023年)だ。また、過去5年ゲリラ雷雨の平均回数が少ない県のランキングで4位となっている。

<2位>鳥取県
地震の計測回数(震度1~7以上)が少ないランキングで2位となっている。また、過去5年ゲリラ雷雨発生が少ないランキングで6位だ。また、中国地方は台風の接近回数も年平均で少ない4番目に少ない。

<3位>滋賀県
まず地震の計測回数(震度1~7以上)が少ないランキングで4位、震度3以上は1回と少ない。そして、2023年のゲリラ豪雨発生回数が少ないランキングで7位となっている。しかし、台風の接近数がやや多い近畿地方に位置している。

<4位>奈良県
台風の接近数がやや多い近畿地方に位置しているが、地震の計測回数(震度1~7以上)が少ないランキングで4位、震度3以上は0回と少ない。また、過去5年ゲリラ雷雨の平均回数も少ない(過去5年間の発生数は840回)。

<5位>香川県
台風の接近数が比較的多い四国に位置している。しかし過去5年間ゲリラ雷雨の平均回数が少ないランキングでも1位となっている。また、地震の計測回数(震度1~7)が少ないランキングではトップ10には入っていないが11位で少ない部類だ。

台風の接近数が少ない地方ランキング

台風に関する災害データは複数の種類がある。ここでは「台風の接近数」を用いて災害の少ない地方をランキングで紹介する。

台風の接近数とは、台風の中心がその地方内にある気象官署などの300キロメートル内に入った回数を表す。台風の接近数が多かったということは、災害の脅威にさらされた数が多かったということである。ただし台風が接近しても、必ずしもその地方に上陸しているわけではない。

【台風の接近数が少ない地方ランキング】

順位 地方 台風の接近数(年平均) 台風の接近数(1951~2023年)の総計
1位 北海道 1.63 117
2位 北陸 2.56 184
3位 東北 2.58 186
4位 中国
(山口県除く)
2.93 211
5位 関東および甲信 3.18 229
6位 近畿 3.19 230
7位 四国 3.31 238
8位 東海 3.32 239
9位 九州北部
(山口県含む)
3.50 252
10位 九州南部 3.76 271
11位 沖縄 7.39 532

地震の計測回数が少ない県ランキング トップ10

次に地震に関する災害データを確認してみよう。ここでは、気象庁が発表するデータをもとにした以下の2つのランキングを示したい。

  • A:地震の計測回数(震度1~7)
  • B:地震の計測回数(震度3以上)

Aのデータでは、小さな震度を含む地震の頻度を確認するための参考になる。また、Bのデータでは、一定以上の揺れを伴う地震の頻度を確認するための参考になる。なお、震度による揺れの影響は以下の通りだ。

震度 揺れの状況
震度1 屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる
震度2 屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる
震度3 屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる
震度4 電灯などのつり下げ物は大きく揺れる
震度5弱 大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる
震度5強 物につかまらないと歩くことが難しい
震度6弱 立っていることが困難になる
震度6強 耐震性の低い木造建物は、傾くものや、倒れるものが多くなる
震度7 耐震性の低い木造建物は、傾くものや、倒れるものがさらに多くなる

【地震の計測回数(震度1~7)が少ない県ランキング トップ10】

順位 都道府県 回数
1位 佐賀県 5
2位 鳥取県 9
3位 福岡県 10
4位 滋賀県・奈良県 11
6位 富山県・京都府 15
8位 三重県・山口県 16
10位 大阪府 17

【地震の計測回数(震度3以上)が少ない県】

都道府県 回数
佐賀県・鳥取県・奈良県・京都府・三重県・香川県・長崎県・岡山県・愛知県 0
福岡県・滋賀県・山口県・大阪府・島根県・兵庫県・広島県・徳島県・山梨県・和歌山県 1
大分県・秋田県 2
富山県・福井県・愛媛県・高知県・静岡県・長野県・群馬県 3

ゲリラ豪雨が少ない県ランキング トップ10

近年、ゲリラ豪雨が甚大な被害をもたらすケースが相次いでいる。そのためゲリラ豪雨の頻度も不動産投資の立地選びで意識すべきだろう。

ゲリラ豪雨とは、局地的に短時間で激しく降る雨のことだ。ゲリラ豪雨によって物件が以下の被害を受ける可能性がある。

  • 近隣の河川の氾濫による浸水被害
  • 停電や浸水によるエレベーター停止
  • 下水道から水があふれる内水被害
  • 竜巻や強風による物件の破損、入居者の怪我 など

これらのゲリラ豪雨(雷雨)が少ない県ランキング トップ10は、以下の通りだ。

【過去5年ゲリラ雷雨の平均発生回数が少ない県ランキング トップ10】

順位 都道府県 平均発生回数
1位 香川県 340
2位 大阪府 370
神奈川県 370
4位 佐賀県 390
5位 埼玉県 550
6位 鳥取県 600
7位 徳島県 610
8位 山梨県 620
9位 福井県 680
10位 青森県 700

【2023年ゲリラ雷雨の発生回数が少ない県ランキング トップ10】

順位 都道府県 発生回数
1位 大阪府 488
2位 香川県 511
3位 神奈川県 528
4位 埼玉県 754
5位 山梨県 852
6位 佐賀県 868
7位 滋賀県 917
8位 石川県 951
9位 徳島県 952
10位 富山県 1,020

2023年のゲリラ豪雨発生回数を見ると、過去5年の平均発生回数を上回っている県がほとんどだ。全国的にゲリラ豪雨の発生が増えている傾向にあるといえるだろう。

災害が少ない県の他都道府県からの転入者数

不動産投資を成功に導くためには、災害が少ない県を知ることが有用だ。しかし災害が少なくても賃貸需要が低い県だと安定経営は望めない。そのため総合ランキングで挙げた5県について「他の都道府県からの転入者数」を確認してみる。転入者数を踏まえることで不動産投資に適しているか判断する材料となる。

【災害が少ない県トップ5の他都道府県からの転入者数】

順位 都道府県 他都道府県からの転入者数 転入超過数
1位 佐賀県 1万6,261人 -1,176人
2位 鳥取県 8,482人 -1,756人
3位 滋賀県 3万684人 12人
4位 奈良県 2万4,515人 -1,319人
5位 香川県 1万6,283人 -2,784人

上記の結果にもとづくと「災害が少ない県総合ランキング トップ5」のなかで最も転入者が多いのは、滋賀県だ。次いで奈良県となる。

転入者が多くても、同じだけ転出者がいれば賃貸需要が高いとは言えない。そこで転入超過数を見てみると、プラスは滋賀県のみであった。滋賀県は、災害が少なく転入者数も多いため賃貸需要が見込める可能性がある。

・災害が少ない県トップ5以外の転入超過エリア
総合ランキングでトップ5には入っていないが、転入超過であり賃貸需要が見込める県について確認してみる。

  • 大阪府
    他都道府県からの転入者数は17万7,874人、転入超過数は1万792人である。地震やゲリラ豪雨が少なく、賃貸需要は見込めるだろう。

  • 神奈川県
    他都道府県からの転入者数は23万6,543人、転入超過数は2万8,606人で大阪府より多い。地震については少ないとはいえないが、ゲリラ豪雨は比較的少ない。横浜市、川崎市、相模原市(3市とも転入超過)は政令指定都市であり、賃貸需要も見込めるエリアといえるだろう。

物件選びでは「災害が少ないこと」以外にもさまざまなチェックポイントがある

所有している物件が災害によって倒壊や損壊した場合、不動産投資が継続できなくなり収入が得られなくなることもある。しかし本コラムで紹介した災害が少ない県ランキングを参考にすれば、このリスクを軽減できるだろう。

ただし「災害が少ない県」が必ずしも不動産投資に適しているとは限らないため注意したい。物件選びでは、賃貸需要や将来の人口動向、競合状況などさまざまな視点を考慮する必要がある。購入物件のチェックは、複数の視点から行うことが重要だ。

不動産投資の物件探しについて詳しく知りたい方は、下記の関連記事を確認してみよう。

【関連記事】不動産投資の物件の探し方とは? 4つの方法のメリット・デメリット

災害が少ない県に関連するよくあるQ&A

Q.自然災害が一番少ない県はどこか?
編集部が独自に台風、地震、ゲリラ豪雨などの総合で考えた結果、自然災害が一番少ない県は佐賀県となった。台風については接近数が比較的多い九州北部エリアに位置するものの、地震の計測回数(震度1~7)が少ない県ランキングで1位となっており、過去5年ゲリラ雷雨の平均回数が少ないランキングで4位だ。

Q.日本で1番安全な県はどこか?
人口と刑法犯の認知件数から算出する「犯罪発生率」を見てみると、最も低いのは秋田県となった。

順位 都道府県 人口(人) 刑法犯の認知件数(件) 犯罪発生率(%)
1位 秋田県 956,836 1,871 0.196
2位 岩手県 1,206,479 2,655 0.220
3位 長崎県 1,320,055 3,244 0.246
4位 大分県 1,131,140 2,794 0.247
5位 山形県 1,056,682 2,885 0.273
6位 島根県 666,331 1,834 0.275
7位 青森県 1,243,081 3,462 0.279
8位 熊本県 1,747,513 4,944 0.283
9位 山口県 1,340,458 3,845 0.287
10位 徳島県 726,729 2,256 0.310

Q.災害の少ない県のランキングは?
日本でよく起こる3つの災害(台風、地震、ゲリラ豪雨)のデータをもとに編集部が独自に調査した結果、災害が少ない県の総合ランキング トップ5は以下の通りだ。

1位:佐賀県
2位:鳥取県
3位:滋賀県
4位:奈良県
5位:香川県

manabu不動産投資に会員登録することで、下の3つの特典を受け取ることができます。

①会員限定のオリジナル記事が読める
②気になる著者をフォローできる
③気になる記事をクリップしてまとめ読みできる

- コラムに関する注意事項 -

本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的とするものではありません。
当社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づきますが、その正確性や確実性を保証するものではありません。
外部執筆者の方に本コラムを執筆いただいていますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当社の見解等を示すものではありません。
本コラムの記載内容は、予告なしに変更されることがあります。