住宅ローンを組む際に「オーバーローン」という言葉を耳にしたことがある人もいるだろう。オーバーローンとは、購入する住宅価格に諸費用を上乗せするローンを指す。しかしメリットがある一方で注意点もあるため押さえておきたい。本稿では、オーバーローンの概要やメリットやデメリット、注意点などを解説していく。
オーバーローンとは?
まずオーバーローンの意味や具体例を確認していこう。
意味は?どういう状態?
オーバーローンという言葉は使用する状況によっていろいろな意味がある。主に住宅を購入する際に購入時諸経費などを上乗せして購入価格以上の融資を受けることや、住宅ローンを利用して購入した住宅を売却する際に売却金額が住宅ローンの残高を下回っている状況を指す。
購入時諸経費は印紙税や不動産取得税、登記費用や仲介手数料などの費用を指すが一般的に物件購入価格の7~10%程度かかる。
オーバーローンの具体例
例えば5,000万円の新築マンションを購入するとしよう。新築マンションの諸費用は、物件価格の3~5%前後(新築マンションデベロッパーなどの建築主が売主の場合は仲介手数料がかからないため)が目安となり、150万円~250万円前後が諸経費として発生する。これをオーバーローンで購入した場合、5,150万円~5,250万円前後のローンを組むことになる。
オーバーローンのメリットは?
オーバーローンの内容を理解したあとは、メリットについても押さえておこう。
・キャッシュを多く手元に残せる
自己資金が十分用意できなくても希望のタイミングで住宅を購入できる
オーバーローンを活用する最大のメリットは、自己資金が十分でない場合でも住宅購入に踏み切れることだ。自己資金から現金で支払う必要のある頭金や諸費用の心配をしたり、資金準備に時間がかかって購入タイミングを逃したりすることもなくなるだろう。
キャッシュを多く手元に残せる
諸費用分を上乗せして借り入れることで手元により多くの自己資金を残しておくことができる。手元の資金が確保できれば、急な支出の際でも対応が可能だ。
オーバーローンの注意点は?
オーバーローンは、手元資金が少なくても住宅を購入できる点が大きなメリットだ。しかし住宅価格以上の借入金額となるため、以下のような3つの注意点もある。
・毎月の返済額や利息額が大きくなる
・売却しにくくなる
金利が高くなりやすい
オーバーローンは金融機関にとっては貸倒リスクが高くなるため、諸費用分は別途ローンを組むことになり、その分は金利が高く設定される傾向がある。
毎月の返済額や利息額が大きくなる
諸経費を上乗せして借入額が大きくなれば、上乗せしていない住宅ローンよりも毎月支払う返済額や利息額も必然的に大きくなる。毎月の負担を抑えようと返済期間を長く設定した場合でも家計の収支に変化が起こる可能性も否めない。そのため無理なく完済できるかどうか、将来的なシミュレーションをしっかりと立ててから決断することが求められる。
売却しにくくなる
何かの理由があって自宅を手放すことを考えたときに、売却想定金額(不動産会社の査定や相場の金額)がローンの残高よりも低いオーバーローン状態では、売却が難航する可能性がある。不足する差額分を自身の手元資産から補填することができれば売却は可能だが、そうでない場合は金融機関が担保として設定した抵当権が解除できないため、新しい買主が見つからない可能性がある。
慎重な判断と資産管理が大切
オーバーローンは、十分な自己資金がなくても夢のマイホームを購入できる可能性がある。しかし住宅価格を上回るローンを組むということは、「計画的に返済できるか」などさまざまな注意点があることも押さえておきたい。オーバーローンを上手に活用することもできるが、まずは少しでも自己資金を多く用意したいものだ。
日ごろからの資産管理は、非常に重要となるため、将来設計をもとに自分に合った資金の増やし方や管理の仕方を見直してみてはいかがだろうか。
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