公務員の年収・給与はどれくらい?年齢別・職種別に解説

本コラムでは気になる公務員の平均年収民間企業との比較について解説する。

  1. 国家公務員・地方公務員・民間企業の平均年収比較表
  2. 国家公務員の給与と年収の早見表
    1. 年代・学歴別の国家公務員の給与と年収の早見表
    2. 職歴・学歴別の国家公務員の給与と年収の早見表
  3. 地方公務員の給与と年収の早見表
    1. 年代・学歴別の地方公務員の給与と年収の早見表
    2. 職歴・学歴別の地方公務員の給与と年収の早見表
  4. 公務員と民間企業従業員の30歳における平均年収の比較
    1. 30歳国家公務員の平均年収:500万円から600万円ほど
    2. 30歳地方公務員の平均年収:400万円から500万円ほど
    3. 30歳公務員と民間企業の年収は公務員が多い!?
  5. 公務員の給与はどうやって決まるのか
    1. 国家公務員の給与水準は「人事院規則」によって決まる
    2. 「人事院勧告制度」がある理由とは
  6. 公務員に向いている投資は?
    1. 1.複利効果を生かした投資
    2. 2.公務員という社会的信用と安定収入を生かした不動産投資

国家公務員・地方公務員・民間企業の平均年収比較表

現在、「給料が上がる経済」が社会の大きな目標テーマになっている。しかし、人事院勧告で給料が通達される公務員と、会社が自由に決められる民間企業では事情が異なるのが現実だ。そこで、国家公務員・地方公務員と民間企業の平均年収を確認しておこう。

区分年収月給6月期賞与12月期賞与
国家公務員626万4,564円41万2,747円(年間495万2,964円)63万7,300円67万4,300円
地方公務員554万3,436円35万8,878円(合計430万6,536円)58万4,800円65万2,100円
民間企業457万6,000円

各区分の年収計算方法は、以下のとおりだ。ひと口に公務員といってもさまざまな階級があるが、ここでは一般職の給与や賞与を基準として紹介する。
※年齢別ではない全体的なデータを採用

・国家公務員の平均年収626万4,564円
人事院給与局「令和5年国家公務員給与等実態調査」(※この先は外部サイトに遷移します)によると、2023年の国家公務員一般職は給与年間合計495万2,964円、2回の賞与131万1,600円、合計した年収は626万4,564円だ。

・地方公務員の平均年収554万3,436円
総務省「令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要」(※この先は外部サイトに遷移します)によると、2022年の全地方公共団体の平均給与は年間430万6,536円、賞与は国家公務員と同じ基準のため、合計した年収は554万3,436円だ。

・民間企業の平均年収457万6,000円
国税庁※この先は外部サイトに遷移します「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与457万6,000円(正社員523万3,000円、非正規社員200万5,000円)だ。

国家公務員と地方公務員の年収の差は約72万円である。民間企業の年収がかなり低く見えるが、正社員では地方公務員と約30万円の差に対し、非正規社員の年収が低すぎるため、全体の給与水準を引き下げている事情がある。

国家公務員の給与と年収の早見表

年代・学歴別の別国家公務員の給与と年収の早見表

ここからは、国家公務員と地方公務員の給与と年収を、20~50代の年齢階層別に詳しく見ていく。年代別国家公務員の行政職年齢階層・学歴別給与は下表のとおりだ。若い年代では、学歴による給与の差があまりないが、36歳以上になると差が大きくなることがわかる。これは、大学卒のほうが管理職に登用されやすく手当が増えるためと推測される。

しかし60歳に近づくと再び月給の差が縮まっていくのが特徴的だ。

平均月給高校卒短大卒大学卒
20歳以上24歳未満20万7,550円19万5,591円20万8,585円22万3,269円
24歳以上28歳未満24万9,948円24万509円24万8,206円25万252円
28歳以上32歳未満29万3,171円27万6,442円28万2,710円29万2,311円
32歳以上36歳未満33万8,135円31万9,247円33万3,812円33万7,639円
36歳以上40歳未満38万3,663円35万4,638円37万2,374円39万1,152円
40歳以上44歳未満42万4,866円38万6,361円40万7,592円43万6,418円
44歳以上48歳未満45万5,952円42万5,434円44万2,722円46万9,593円
48歳以上52歳未満47万7,817円45万2,510円45万9,143円50万1,629円
52歳以上56歳未満50万401円47万7,138円47万5,777円52万5,436円
56歳以上60歳未満50万7,430円49万4,097円49万9,746円52万8,965円

一方、平均月給に賞与を加えた年齢階層別の年収は下表のとおりである。20代で400万円台だった年収が50代以降で800万円台と2倍以上に増える。真面目に働いていれば順調に年齢とともに年収が増えていく、公務員のメリットが表れた形といえるだろう。

年齢階層平均月給賞与(平均月給4.42ヵ月分)年収(平均月給12ヵ月+賞与)
20歳以上 24歳未満20万7,550円91万7,371円340万7,971 円
24歳以上 28歳未満24万9,948円110万4,770円410万4,146 円
28歳以上 32歳未満29万3,171円129万5,815円481万3,867 円
32歳以上 36歳未満33万8,135円149万4,556 円555万2,176円
36歳以上 40歳未満38万3,663円169万5,790円629万9,746円
40歳以上 44歳未満42万4,866円187万7,907円697万6,299 円
44歳以上48歳未満45万5,952円201万5,307円748万6,731円
48歳以上52歳未満47万7,817円211万1,951円784万5,755円
52歳以上56歳未満50万401円221万1,772円821万6,584円
56歳以上60歳未満50万7,430円224万2,840 円833万2,000円

職種・学歴別の別国家公務員の給与と年収の早見表

公務員が決められた職務を行ったことに対して報酬が支給されることを「俸給(ほうきゅう)」と言う。いわゆる「給料」である。そして、公務員の俸給は法律で定められているが、職種によって対象となる俸給表が異なる。

<俸給表の種類と対象職員>

俸給表対象職員在職者数
行政職俸給表(一)、(二) 一般行政事務職員等約15万4,200人
専門行政職俸給表航空管制官等約8,100人
税務職俸給表税務署職員等約5万3,100人
公安職俸給表(一)、(二)刑務官、海上保安官等約4万6,100人
海事職俸給表(一)、(二)船員等約590人
教育職俸給表(一)、(二)気象大学校の教授、准教授等約170人
研究職俸給表研究所の研究員等約1,500人
医療職俸給表(一)~(三)医師、薬剤師、看護師等約3,200人
福祉職俸給表障害者支援施設の生活支援員等約250人
専門スタッフ職俸給表情報分析官、国際交渉官等約 220人
指定職俸給表事務次官、局長等約 980人
注1:この他、特定任期付職員、任期付研究員の俸給表がある。
注2:在職者数は令和4年7月1日現在。(出典:一般職国家公務員在職状況統計表)
出典:内閣官房内閣人事局「国家公務員の給与(令和5年版)」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

次に、国家公務員の俸給表別の平均月給・賞与・年収を詳しく見ていく。人事院給与局が発表する「令和5年国家公務員給与等実態調査報告書」によると、以下のとおりだ。

<俸給表別の平均月給・賞与・年収>

適用される俸給表平均月給賞与(平均月給4.42ヵ月分)年収(平均月給12ヵ月+賞与)
行政職俸給表(一)32万2,487円142万5,392円529万5,236円
行政職俸給表(二)28万6,942円126万8,283円471万1,587円
専門行政職俸給表35万552円154万9,439円575万6,063円
税務職俸給表35万2,263円155万7,002円578万4,158円
公安職俸給表(一)32万3,004円142万7,677円530万3,725円
公安職俸給表(二)33万9,218円149万9,343円556万9,959円
海事職俸給表(一)36万2,350円160万1,587円594万9,787円
海事職俸給表(二)30万8,157円136万2,053円505万9,937円
教育職俸給表(一)42万3,568円187万2,170円695万4,986円
教育職俸給表(二)39万3,611円173万9,760円646万3,092円
研究職俸給表40万5,738円179万3,361円666万2,217円
医療職俸給表(一)51万1,570円226万1,139円839万9,979円
医療職俸給表(二)31万3,583円138万6,036円514万9,032円
医療職俸給表(三)32万1,176円141万9,597円527万3,709円
福祉職俸給表33万7,885円149万3,451円554万8,071円
専門スタッフ職俸給表48万8,512円215万9,223円802万1,367円
指定職俸給表85万8,493円379万4,539円1,409万6,455円

事務次官や局長(指定職俸給表)になると、平均月給は約85万円、年収は1,400万円を超えている。最も平均月給が低いのは行政職俸給表(二)で28万6,942円、年収は唯一の500万円以下となっている。

そして、俸給表別の学歴別平均月給も見ておこう。

中学卒高校卒短大卒大学卒修士課程修了等
行政職俸給表(一)31万5,618円33万6,800円32万491円31万6,501円26万4,147円
行政職俸給表(二)28万1,703円28万9,874円27万5,443円25万9,311円-
専門行政職俸給表32万6,438円38万775円35万7,521円34万9,295円25万9,311円
税務職俸給表-37万6,287円28万777円34万2,026円27万7,000円
公安職俸給表(一)36万585円31万9,468円30万1,689円33万1,151円29万5,111円
公安職俸給表(二)43万9,345円33万1,457円33万9,984円34万4,894円27万1,033円
海事職俸給表(一)41万8,850円38万7,100円35万1,962円35万2,753円-
海事職俸給表(二)33万7,071円30万2,520円26万8,223円--
教育職俸給表(一)--38万6,814円43万81円-
教育職俸給表(二)-38万923円39万8,794円39万5,827円-
研究職俸給表-35万2,357円43万9,500円41万1,777円31万7,375円
医療職俸給表(一)---51万1,570円-
医療職俸給表(二)-31万3,400円31万3,554円31万3,613円-
医療職俸給表(三)-29万8,414円32万2,530円29万7,793円-
福祉職俸給表27万8,400円31万9,548円32万5,460円34万2,784円-
専門スタッフ職俸給表-45万5,124円-49万2,373円-
指定職俸給表-77万3,667円81万8,000円85万9,304円89万5,000円

地方公務員の給与と年収の早見表

年代・学歴別の地方公務員の給与と年収の早見表

年代別地方公務員の全地方公共団体一般行政職年齢階層・学歴別給与は下表のとおりである。こちらで特徴的なのは、年齢階層によって短大卒よりも高校卒の給与のほうが高いケースがあることだ。また、国家公務員と比べて年齢層による月給に大きな差がないのも特徴的だ。

年齢階層平均月給高校卒短大卒大学卒
20歳以上24歳未満18万1,448円17万0,965円17万4,405円18万8,235円
24歳以上28歳未満20万6,117円19万9,105円20万1,762円20万7,758円
28歳以上32歳未満23万4,204円22万6,415円22万8,610円23万5,583円
32歳以上36歳未満26万3,976円25万5,983円25万6,184円26万5,252円
36歳以上40歳未満29万6,903円29万2,098円28万8,236円29万8,347円
40歳以上44歳未満33万4,699円32万7,791円32万6,134円33万7,058円
44歳以上48歳未満36万2,589円35万7,091円35万5,731円36万5,913円
48歳以上52歳未満38万1,883円37万4,591円37万4,090円38万7,546円
52歳以上56歳未満39万7,326円38万7,078円38万6,728円40万3,817円
56歳以上60歳未満40万9,102円39万6,842円39万6,051円41万8,462円

一方、平均月給に賞与を加えた年齢階層別の年収は下表のとおりである。20代で300万円台だった年収が50代以降で600万円台と2倍以上に増える。こちらも真面目に働いていれば年齢とともに年収が増えるので、住宅ローン等の審査で公務員の属性が高く評価されるのも頷ける結果といえるだろう。

年齢階層平均月給賞与(平均月給4.42ヵ月分)年収(平均月給12ヵ月+賞与)
20歳以上 24歳未満18万1,448円80万2,000円297万9,376円
24歳以上 28歳未満20万6,117円91万1,037円338万4,441円
28歳以上 32歳未満23万4,204円103万5,181円384万5,629円
32歳以上 36歳未満26万3,976円116万6,773円433万4,485円
36歳以上 40歳未満29万6,903円131万2,311円487万5,147円
40歳以上 44歳未満33万4,699円147万9,369円549万5,757円
44歳以上48歳未満36万2,589円160万2,643円595万3,711円
48歳以上52歳未満38万1,883円168万7,922円627万0,518円
52歳以上56歳未満39万7,326円175万6,180円652万4,092円
56歳以上60歳未満40万9,102円180万8,230円671万7,454円

職種・学歴別地方公務員の給与と年収の早見表

総務省が発表する「令和4年地方公務員給与の実態」によると、主な職種別の平均年収は下表のとおりだ。

<地方公務員の主な職種別平均年収>

主な職種平均給与賞与(期末・勤勉手当の合計)平均年収
一般行政職40万1,372円155万9,968円637万6,432円
税務職37万9,229円142万5,098円597万5,846円
研究職42万4,046円170万5,110円679万3,662円
医師・歯科医師職110万1,155円262万7,686円1,584万1,546円
薬剤師・医療技術職39万2,810円146万3,760円617万7,480円
看護・保健職38万9,512円140万6,710円608万0,854円
福祉職34万2,049円136万1,914円546万6,502円
消防職40万3,520円152万1,164円636万3,404円
大学(短期大学)教育職49万7,567円215万8,847円812万9,651円
高等(特別支援・専修・各種)学校教育職43万2,201円176万5,560円695万1,972円
小・中学校(幼稚園)教育職40万8,337円168万6,061円658万6,105円
警察職46万5,679円163万8,063円722万6,211円

地方公務員の中でも、職種によって年収に差があることがわかる。医師・歯科医師職は年収1,500万円を超えている一方で、福祉職は500万円台となっている。

次に、学歴別の平均給与を見てみる。総務省が発表する「令和4年地方公務員給与の実態」によると、主な職種の学歴別平均給与は下表のとおりだ。

<地方公務員の主な職種の学歴別平均給与>

主な職種高卒短大卒大学卒
一般行政職32万1,346円
(平均経験年数24.3年)
33万6,019円
(平均経験年数24.2年)
31万2,735円
(平均経験年数17.1年)
技能労務職32万2,043円
(平均経験年数29.4年)
30万9,651円
(平均経験年数25.3年)
28万8,543円
(平均経験年数20.0年)
高等学校教育職35万9,534円
(平均経験年数27.6年)
37万8,003円
(平均経験年数26.6年)
37万8,657円
(平均経験年数20.9年)
小・中学校教育職36万8,259円
(平均経験年数24.7年)
39万1,454円
(平均経験年数27.3年)
35万2,305円
(平均経験年数17.4年)

学歴によって差はあるが、経験年数の違いによる差であると考えられる。

なお、上表の技能労務職とは、清掃職員・学校給食員・守衛・用務員・自動車運転手などである。

公務員と民間企業従業員の30歳における平均年収の比較

前述の通り、公務員と民間企業従業員それぞれ全体の平均年収で比較すると、民間企業従業員に対して、国家公務員が約168万、地方公務員だと約96万高い。

ここでは、30歳における公務員と民間企業従業員の平均年収を比較してみる。

30歳国家公務員の平均年収:500万円から600万円ほど

前述したように、人事院が公表している「令和5年国家公務員給与等実態調査」の平均月給のデータは「28歳以上32歳未満」など、複数年の区分で掲載されている。したがって、ピンポイントで30歳公務員の年収を正確に算出することは困難だ。

そこで、まずは30代を含む3つの年齢階層の年収を見てみる

年齢階層平均月給賞与
(平均月給4.42ヵ月分)
年収(平均月給12ヵ月+賞与)
28歳以上 32歳未満29万3,171円129万5,815円481万3,867 円
32歳以上 36歳未満33万8,135円149万4,556 円555万2,176円
36歳以上 40歳未満38万3,663円169万5,790円629万9,746円

上記のとおり、30代の年収は500万円前後~600万円ほどである。賞与は4.42ヵ月(令和5年度は6月期が2.16ヵ月分、12月期が2.26ヵ月分)で計算している。そこから推測すると、ちょうど30歳になるころには500万円前後の年収になると予想される。ただしこの年収は一例であり、諸条件により大きく異なる場合がある。

30歳地方公務員の平均年収:400万円から500万円ほど

総務省が公表している「令和4年地方公務員給与の実態」によると、全地方公共団体一般行政職の年収は下表のとおりである。30代の年収は400万~500万円程度であるから、ちょうど30歳では400万円前後の年収になると予想される。

年齢階層平均月給賞与
(平均月給4.42ヵ月分)
年収(平均月給12ヵ月+賞与)
28歳以上 32歳未満23万4,204円103万5,181円384万5,629円
32歳以上 36歳未満26万3,976円116万6,773円433万4,485円
36歳以上 40歳未満29万6,903円131万2,311円487万5,147円

30歳公務員と民間企業の年収は公務員が多い!?

国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、民間企業従業員30~34歳の平均年収は425万円(男性485万円、女性338万円)となっている。ただし、この統計数値には非正規雇用者が含まれていることから民間企業の給与水準はこの数値よりも高いことが推測できる。また、正規雇用者に絞った全年齢の平均年収は約523万円だった。

収入のピークが40代から50代に迎える傾向を考えると30代の正規雇用者の平均年収は400万円から495万円の間にあると考えられる。

30歳国家公務員の平均年収500万円前後と比べると、官民では公務員のほうがやや高い水準といったところだ。

30歳における民間企業と公務員の平均年収比較

30歳公務員の給与事情を概観したが、人事院勧告制度に則った制約があるため、平均すれば民間企業従業員とそれほど大きな差はないことがわかった。公務員には倒産がない、一方的に解雇されることはないなどのメリットがある半面、有名な大実業家のような年収になることはあり得ない。

給与が安定している公務員になるか、自分の才覚次第では数千万円や数億円の年収になることも可能な民間企業で働くかは、その人の生き方次第ということになる。単純に平均年収だけでどちらがよいか判断するのは難しいだろう。

公務員の給与はどうやって決まるのか

内閣官房内閣人事局が公表している「国家公務員の給与(令和5年版)」によると、国家公務員の数は59万530人で、前年の58万9,530人から1,000人増加している。そのうち給与法適用職員は28万2,000人おり、前年から1,000人増加している。地方公務員は約280万人で変化はない。

国家公務員を目指す人にとって、採用状況は決して楽観できるものではない。なぜなら行財政改革の一環として、公務員の数が減少傾向にあるからだ。例えば、2001年における一般職国家公務員の数は81.1万人いたが、2022年には約29万1,000人まで減少している。

公務員の種類と数
注:一般職国家公務員数は行政執行法人(平成27年4月1日前は特定独立行政法人)等を除き、各年度末予算定員である。
出典:人事院「白書等データベースシステム 公務員の種類と数」(※この先は外部サイトに遷移します)より株式会社ZUU作成

2007年10月の郵政民営化で約25万4,000人の公務員が日本郵政グループの社員に移行したことなど、大きく減少する出来事もあった。かつてに比べれば、国家公務員になるのは狭き門になったといえる。

では、公務員の給与はどのように決まるのか、給与体系を確認しておこう。

国家公務員の給与水準は「人事院規則」によって決まる

国家公務員の給与水準は「人事院規則」の法律によって職種ごとに細かく規定されている。具体的には人事院勧告に準じて給与が決定される仕組みになっており、職種ごとにその根拠になる法律がある。

前出した「国家公務員の給与(令和5年版)」によると、国家公務員の給与は役職段階、勤務地域、学歴、年齢階層が相応するもの同士(グループ)を比較して総合する「ラスパイレス方式」と呼ばれる方法で決定される。個別給与の配分に当たっては、職務給の原則に立って、公務員給与の実態、民間賃金の実態および配分傾向などに必要な配慮が加えられ、最終的には人事院勧告を受けて法律として国会で決定される。

ただし、行政執行法人職員(7,000人)と行政執行法人役員(30人)については、各法人で決定される。

「人事院勧告制度」がある理由とは

公務員には民間企業従業員と異なり、 労働基本権に一定の制約がある。例えば、公務員はストライキを行うことが国家公務員法で禁止されている。理由は職務の公共性が高いからで、もし警察官や消防士がストライキを起こしたら社会が混乱してしまうだろう。そこで労働基本権制約の代償措置の一つとして人事院勧告制度が設けられているのだ。

人事院勧告においては、国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させることを基本としている。ストライキを起こさなくても、民間企業従業員の給与水準と遜色ない金額が確保されるようになっているのだ。

一方、地方公務員の給与は国家公務員と同じく職務の「級」や経験年数などが反映される「号給」を基本として決定される。ただし、法律ではなく各自治体の条例によって決められるため、自治体によって給与水準が異なる場合がある。

公務員に向いている投資は?

ここでは公務員という特殊性を生かした2つの方法を紹介したい。

1.複利効果を生かした投資

複利効果を生かした投資は株式や投資信託などで得た配当を再投資する方法だ。この方法は公務員だけでなく30代なら誰にでも向いているオーソドックスな方法でもある。

下表は複利運用の効果を表したものである。なお、10株という単元未満株の取引は、すべての証券会社で購入・売却できるわけではない。あくまでも、複利効果のメリットを示す一例として見ていただきたい。

▽単利運用と複利運用の比較表(設定条件:株価1,000円、投資株数1,000株、配当金1株10円)

  単利運用 複利運用(配当金を再投資)
期間 持ち株 配当金 通算配当 持ち株 配当金 追加投資 通算配当
1年目 1,000株 10,000円 10,000円 1,000株 10,000円  - 10,000円
2年目 1,000株 10,000円 20,000円 1,010株 10,100円 10株 20,100円
3年目 1,000株 10,000円 30,000円 1,020株 10,200円 10株 30,300円
4年目 1,000株 10,000円 40,000円 1,030株 10,300円 10株 40,600円
5年目 1,000株 10,000円 50,000円 1,040株 10,400円 10株 51,000円
6年目 1,000株 10,000円 60,000円 1,050株 10,500円 10株 61,500円
7年目 1,000株 10,000円 70,000円 1,060株 10,600円 10株 72,100円
8年目 1,000株 10,000円 80,000円 1,070株 10,700円 10株 82,800円
9年目 1,000株 10,000円 90,000円 1,080株 10,800円 10株 93,600円
10年目 1,000株 10,000円 100,000円 1,090株 10,900円 10株 104,500円
※追加投資株数は小数点以下切り捨て。概算であり、実際の運用結果と異なる場合がある。

株価1,000円の銘柄を1,000株購入し、毎年1万円の配当金(1株10円配当)を10年間単利で受け取った場合と、2年目以降再投資した場合の持ち株数と通算配当金の違いを比較している。単利運用よりも複利運用のほうが株数で9%、配当金で4.5%多くなるので、複利効果の大きさがわかるだろう。

上記は現物株の場合だが、積み立て投資でも同じような効果が得られる。株式投資信託で分配金が毎月受け取り型ではなく、分配金なし(再投資型)のファンドを購入すればよいのだ。毎月一定の金額を購入するように設定すれば、銀行口座引き落としなどで自動的に買い付けてくれる。一度設定すれば、自動で資産運用できるのが積み立て投資の魅力だ。

ここでは単利と複利の差をわかりやすくするために株価や配当金が毎年変わらないという条件で計算をしたが、実際には日々株価は変動しており、配当金も企業やファンドが利益を得た中から株主に還元しているので、業況の変化によって配当金に変化が発生する可能性がある。このため、株価の下落や配当金の低下により受け取る配当よりも株価の下落が大きい状況になった場合には資産の目減りが発生する。

近年の流れで言えば、2023年初頭以降急激な株価の上昇が始まり、日経平均株価はバブル崩壊以降の高値を付けるなど大相場となっている。このような高値圏のときに株式を購入すると、ピークを打って反落したときに資産価値が目減りすることがあるので注意が必要だ。

2.公務員という社会的信用と安定収入を生かした不動産投資

次に、不動産投資だ。前述の複利効果を生かした投資と長期運用という点では共通するが、不動産投資は公務員の特徴である「倒産がないことから社会的信用が高い」「解雇されない限りは安定した収入が確保されている」の2点を生かすことができる。

上記の点で金融機関から属性面では信用を得やすく、融資を受けやすい傾向にある。

不動産投資と言っても種類がある。区分所有や一棟所有、戸建てなどがあるが、ここではアパート投資をするケースとして説明していく。アパート投資は、アパートを所有・管理し、複数の入居者へ部屋を貸し出して賃料収入を得る投資方法である。複数の部屋を貸し出すことから、多くの収入を得られる可能性がある点が魅力だ。

月々の家賃収入でローンを返済し、生活費は月給で賄うと割り切れば、サラリーマン大家になることも可能だ(公務員は副業が禁止されているが、詳細は以下の関連記事を参照)。注意点として、ローンで購入する場合、空室や修繕費用などの発生で突発的に余剰資金の必要性が生じ、キャッシュフローが一時的に赤字になる可能性も考慮しておきたい。積み立て投資と同様に、ローン完済後に純資産となる長期投資の一環と捉えて運用することが大事だ。

また、長期運用でアパート経営を考えるならば物件価格は数千万円規模になるケースが多い。30歳公務員の平均年収と考えられる500万円前後では、収入の面からアパートローンを組むのにやや難があるだろう。アパート経営を始めたい場合は、ある程度の自己資金が必要になると考えておきたい。

【関連記事】副業禁止の公務員が不動産投資を行えるケースがある?

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