現在所有している土地でアパート経営を検討されている方へ!始めるまでの資金の目安と注意点
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所有している土地をアパート経営で活用したいと考えている方は少なくないだろう。しかし、「アパート経営をするメリットがあるのか」「実際にアパート建築時の費用面で問題ないのか」「アパート経営にはどのようなリスクがあるのか」など、さまざまな疑問がある方も多いだろう。そこで本記事では、現在所有している土地をアパート経営する場合の課題を一つずつ解説していく。

現在所有している土地でアパート経営するメリット

まずは、すでに土地を所有している状態からアパートを経営するメリットを説明する。
※ この後の解説では、すでに土地を所有している状態を「土地あり」と、土地を所有していない状態を「土地なし」と記載していく。

建物・設備だけの資金でスタートができる

1つ目のメリットは、主に建物・設備の購入資金で経営をスタートできることだ。土地を別途購入しアパートを建てるケースと比較して投資額を抑えることができる。

収支のキャッシュフローがいいケースが多い

アパートを所有するためには金融機関から借り入れをすることが多いが、既に所有している土地にアパートを建築する場合は土地購入分を借りる必要がない。そのため、返済金額が抑えられ、キャッシュフローがいいことが多いのが2つ目のメリットだ。例えば、全10部屋の同じアパートで考えた場合、土地なしからアパート経営を始めた場合と土地ありでアパート経営を始めた場合のキャッシュフローを比較してみよう。

また、キャッシュフローの違いをわかりやすくする目的から、税金や管理費などの諸経費は考慮しない。

【シミュレーション前提条件】

  • 家賃収入:7万円×6部屋=42万円(月額)
  • 金利:固定金利2.4%
  • 返済期間:25年
  • 金利タイプ:元利均等

<土地なしの場合>

  • 売買価格:建物 4,000万円 土地 3,000万円=7,000万円
  • 借り入れ:5,600万円(自己資金1,400万円)
  • 毎月の返済額:24万8,414円
  • 毎月のキャッシュフロー:14万1,586円=家賃収入42万円 − 毎月の返済額24万8,414円

<土地ありの場合>

  • 建物の建築費用:4,000万円
  • 借り入れ:3,200万円(自己資金800万円)
  • 毎月の返済額:14万1,951円
  • 毎月のキャッシュフロー:27万8,049円=家賃収入42万円 − 毎月の返済額14万1,951円

土地ありでアパート経営をするときに必要な資金は?

土地ありでアパートを経営するときには、どのような資金が必要となるのだろう。ここからは、必要な資金について説明していく。

アパートの建築費用

まずは、アパートの建築費用について解説する。

  • 建物自体の「建築費用」
    建築費用の中には、建築自体に必要となる費用があるが、建築する建物の延床面積や構造によっても費用が大きく異なる。また建物を建築する際には、坪単価や平米単価という言葉がよく使われる。坪単価とは、建築費を延べ床面積(坪数)で割った数値で1坪あたりの建築費のことだ。坪単価50万円で100坪のアパート建築する費用を概算する場合には、5,000万円(50万円×100坪)となる。

    また、建物の構造によって坪単価が異なり、一般的に最も安いのが木造、次いで鉄骨造、鉄筋コンクリート造となっている。構造によって建物の耐久性が異なるため、どれを選ぶかでアパートの資産価値が変わってくるだろう。

  • ライフライン、外構などの「付帯工事費用」
    次にライフラインや外構などの付帯工事費用だ。付帯工事費用とは、本体の工事に付帯してかかる費用のことである。例えば、本体工事に含まれていない塀や門扉などはこれに含まれる。また空調やインテリアなどは、オプションとなっていることも多く、これらも含まれる。他にも標準の装備に加えて、防音効果のある壁や設備などもすべて付帯工事費用だ。

    付帯工事費用は、どのようなオプションを付けるかによっても金額が変わるため、一概にどれくらいかかるかは断定できない。

  • アパートの「設計費用」
    最後にアパートの設計費用だ。設計費用とは、設計士や設計事務所にアパートの設計管理を依頼するときに発生する費用である。費用は、設計士や設計事務所によっても異なるが、総工事費用が5,000万円程度の物件の場合は、その10%前後となることが一般的だ。

    なお、総工事費用が上がるにつれて設計費用の割合は減る傾向にある。

契約に関連する諸経費

次に契約に関連する諸経費も確認していこう。契約に関する諸経費は、主に以下の5つだ。

  • 工事の請負契約書に貼付する「印紙税」
    1つ目は、工事の請負契約書に貼付する「印紙税」である。まずは、工事請負時の契約書に契約金額に合わせて印紙税がかかる。2014年4月1日~2022年3月31日までに作成されたものには、以下の軽減税率が適用される。例えば、8,000万円の工事請負契約であれば3万円の印紙を貼付することが必要だ。
契約金額 本則税率 軽減税率
100万円超〜200万円以下 400円 200円
200万円超〜300万円以下 1,000円 500円
300万円超〜500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超〜1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超〜1億円以下 6万円 3万円
1億円超〜5億円以下 10万円 6万円
5億円超〜10億円以下 20万円 16万円
10億円超〜50億円以下 40万円 32万円
50億円超〜 60万円 48万円

出典:国税庁発行パンフレット「「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について平成30年4月(令和2年4月改訂)」より株式会社ZUU作成

ただし、電子契約では印紙税の課税対象とならないため、印紙代は不要だ。

  • 登記に伴う「登録免許税」
    2つ目は、登記に伴う「登録免許税」だ。登録免許税は国税で、建築・取得した土地や家屋の登記の際にかかる税金のことを指す。また新築と中古の建物で税率が異なり、住宅用家屋に関しては適用条件を満たせば軽減措置がある。所有権保存登記(新築賃貸住宅の建築)の場合は標準税率0.4%だ。

  • 建物を取得したときの「不動産取得税」
    3つ目は、建物を取得したときの「不動産取得税」だ。不動産取得税は、都道府県から課される地方税で建物を取得したときに一度だけかかる。不動産取得税は、建物の登記を申請することで都道府県事務所から納税通知書が送られてくるので、それに従って納付することが必要だ。ただし新築の場合、建物の固定資産税評価が決定していないため、実際に納税通知書が送られてくるのが半年~1年後になる場合もある。忘れたころに請求が来るため、事前に納税資金は準備しておきたい。不動産取得税は取得した不動産の価格×税率で算出する。以下の表の税率を参考に計算してみよう。

取得日 土地 家屋(住宅) 家屋(非住宅)
2008(平成20)年4月1日から
2024(令和6)年3月31日まで
3/100 4/100

出典:東京都主税局ホームページ「不動産取得税の概要」より株式会社ZUU作成

  • 司法書士に依頼した場合の「報酬」
    4つ目は、司法書士に依頼した場合の「報酬」である。依頼する内容としては、建物の所有権保存登記や抵当権設定などがある。報酬額の目安は、2018年1月に日本司法書士連合会が実施した「報酬アンケートの結果」を目安にすると参考になるだろう。なお報酬は、地域によっても異なる点は押さえておきたい。

    日本司法書士連合会が実施した「報酬アンケートの結果」によると、例えば関東地区の目安は、課税価格1,000万円の新築建物の所有権保存登記手続きを依頼する場合、全体の平均値は2万4,707円である。また関東地区における抵当権設定登記費用の目安は、債権額1,000万円に対して3万9,267円(全体の平均値)だ。

  • 融資を利用したときの「手数料」
    5つ目は、融資を利用したときに金融機関へ支払う「手数料」だ。土地を所有している場合は、土地を担保にして金融機関の融資を利用するケースが一般的だが、その際に金融機関が事務手数料を設定している場合が多く、支払いが必要となる。また金融機関が融資にあたり保証会社を利用することが多く、その保証会社から保証を受けるための所定の保証料も必要になる。これらは借入金額によって金額が異なるため、注意が必要だ。

土地ありのアパート経営の注意点

最後に、土地を所有している状態でアパート経営をする際の注意点を押さえておこう。

土地がある場所は賃貸ニーズがあるのか、そのニーズは長く続きそうか、リサーチする

まずは、土地がある場所は賃貸ニーズがあるか確認することが最も重要だ。例えば、所有する土地が「最寄り駅から遠い」「近くにスーパーやコンビニなどがない」といったエリアにある場合は、アパートを建てても入居者が望めない可能性がある。郊外などの場合は「近くに大学のキャンパスや工場があり、賃貸ニーズがあるから建てた」という人もいるが、それらの施設が移転、あるいは撤退してしまい一気に空室だらけになったアパートも多い。

このように、リサーチを行う際は、目先の賃貸ニーズだけではなく10年後や20年後でも需要が見込めるのかまで想定しておきたい。

一括借上の落とし穴

「30年一括借上」といった一見お得な営業トークを聞いたことがある方も多いのではないだろうか。オーナーにとって賃料収入が安定することは魅力的な仕組みだ。しかし実はさまざまな落とし穴が潜んでいる可能性がある。具体例としては、以下のようなオーナーにとって不利になる条件が記載されている場合も少なくない。

  • 得られる家賃は相場家賃より10~20%も低くなる
  • 礼金や更新料収入はもらえない
  • 2年ごとに賃料の見直しがある
  • 解約するとペナルティが発生する

一括借上は、契約によってはメリットも期待できる。しかしオーナーが不利になるような内容が契約書に記載されている場合もあるため、しっかりと自分で契約内容を精査する能力が必要だ。

まとめ

この記事では、土地ありでアパート経営をする際のメリットや費用、注意点を説明してきた。せっかく土地を所有しているのであれば、アパート経営は一つの土地活用の選択肢として挙げられる。しかし、必ずしもすべての土地にアパート経営が適しているとはいえない。「自分の土地に賃貸ニーズがあるのか」についてしっかりと見極めたうえで、アパート経営を始めるかどうかを判断することが重要である。

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