家賃収入は非課税?家賃収入にかかる税金について分かりやすく解説
(画像=Vitalii Vodolazskyi/stock.adobe.com)

賃貸用物件で不動産経営をされている方なら「家賃収入は消費税が非課税になるかを知りたい」、「家賃収入に消費税が課税されない条件を知りたい」など、消費税が非課税かどうかについての疑問を持っている方は多い。なぜなら、課税の有無で収支が大きく変わるためだ。

では、実際は家賃収入に対して課税されるのだろうか?

結論から言うと、居住用に貸し出しを行って家賃収入を得ているケースは消費税が非課税になる。だが、一方で事業用に貸し出しているケースには課税されてしまう。

とはいえ、事業用に貸し出しているケースでも、家賃収入が「1,000万円」を超えない場合には消費税が課税されない。このように条件によっては課税になるケースもあれば、非課税になるケースもあるため、賃料収入に消費税が課せられる条件についてよく理解をしておくことが非常に重要だ。

この記事では、家賃収入に消費税が課せられるケースと、課税されないケースの条件などについて詳しく解説していく。

不動産経営を行っている方は、ぜひこの記事を最後まで読んで参考にしてほしい。

住宅の家賃収入は基本非課税

賃貸借契約書において不動産が住居として使用される場合は消費税が非課税になる。一方、事業用として契約した場合は課税されるため注意が必要だ。

ちなみに、家賃収入で消費税を非課税とするための条件は以下の3つが挙げられる。

  • 賃貸期間が1ヵ月以上であること
  • 契約書に居住用と記載されていること
  • 賃貸借契約書がないなど賃貸の用途が明らかでなくても居住の実態があること

つまり、契約書に居住用と記載されていた場合でも、賃貸期間が1ヵ月間未満の場合は消費税が課せられる。そのため、ウィークリーマンションの家賃収入は消費税の課税対象になることを覚えておいてほしい。

一方で、会社が社宅として賃貸借契約を行っている場合は、賃貸借契約に「従業員が居住する」という記載があれば居住用物件になるため、消費税は課税されない。また、2020年度の税制改正により、2020年4月1日から、賃貸借契約書がなく賃貸の用途が明らかにされていなくても、実態からみて居住用だと分かるときも非課税だ。

さらに、居住用マンションの場合に受け取る管理費や共益費は、居住するために必要な費用という点で家賃収入と同様に非課税になる。家賃や共益費に水道光熱費が含まれている場合も消費税は課税されない。

しかし、家賃とは別に一定額の水道光熱費を請求している場合や、使用実態に応じて料金を請求している場合は、消費税が課せられるため注意が必要だ。

このように投資用不動産を経営するうえで家賃収入や管理費、共益費の消費税が非課税になるケースについてはさまざまな条件があるため、よく理解しておく必要がある。

事業用賃貸の場合は課税される

前述したように賃貸用不動産を事業用として貸し出した場合は消費税が課せられる。

住居兼事務所の場合はどうなるのだろうか?住居部分と事務所部分が分かれており、独立して使用できる場合は、事務所として使用されている部分が消費税の課税対象になる。一方で住居として主に使用されており、店舗、事務所も兼ねている場合は基本的に住居扱いになるため、消費税は非課税だ。

では、どういったものが住居として主に使用しされていると判断されるのだろうか?それは、住宅の賃貸借契約において賃貸用途が「居住用」と記載されている場合は居住用と判断される。また、前述のとおり、2020年4月からは賃貸借契約書がないなど賃貸の用途が明らかにならない場合でも、居住の実態が明らかであれば居住用として判断される。

このように消費税の課税の有無については、賃貸借契約書に記載されている内容が重要になる。万が一、賃貸借契約書がない場合は居住の実態があるかどうかで判断される。

ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合には免税事業者とみなし、事業用として貸し出していても消費税の納税を免除してもらうことができる制度もある。

この場合の基準期間とは、個人事業者の場合は前々年の課税売上高のことを指し、法人の場合は前々事業年度の課税売上高のことを指す。

要するに、個人事業者や法人の場合でも1期目と2期目の消費税は免除されることになる。

しかし、以下の場合には消費税が課せられるため注意が必要だ。

  • 前年の1月から6月までの課税売上高が1,000万円以上なら2期目でも消費税が免除されない
  • 法人の場合は資本金が1,000万円以上の場合は消費税が免除されない

このように、事業用で賃貸借契約をしている場合でも、状況によって課税の有無が変わるため、仕組みをよく理解しておこう。

駐車場は貸し方によって課税対象にならないケースがある

駐車場を貸し出ししていると、基本的に賃料収入は消費税の課税対象となる。ところが、課税対象にならないケースもある。

それは地面の整備やフェンス、区画の設置を行っていない場合だ。例えば、極稀だが青空駐車場(屋根もなく地面が整備されていない駐車場)などのような、単なる土地という資本の貸付である場合は消費税が非課税になるケースもある。ただし、施設の利用に伴って土地が使用される場合と判断されるケースは課税対象になる。なかなか判断が難しいケースなので、詳しくは専門家に相談するのが無難だろう。

では、住宅に併設する形の駐車場はどういった扱いになるのだろうか?基本的には課税対象であるが、以下の要件を満たした場合には非課税対象になるので覚えておきたい。

  • 物件ごとに1台以上の駐車できる場所があること
  • 入居者が自動車を保有していなくても駐車場所があること
  • 駐車場の賃料を家賃に含めていること

ただし、駐車スペースが住宅から離れた場所に確保しているケースは、消費税が非課税にならない可能性があるため注意が必要だ。

ちなみに、マンションの場合は駐車場の賃料に消費税が課せられる可能性が高い。マンションは居住部分と駐車場部分で料金が分かれていることが多く、希望する居住者にのみ駐車場を貸し出しているケースが多いためだ。

とはいえ、住居部分の家賃収入は非課税のため、基準期間内に駐車場収入だけで1,000万円を超えるケースはめったにないので、消費税の申告義務が免除されるケースが多い。

その他課税になるケース

入居者の希望により付帯された設備を貸し出している場合、その使用料は消費税の課税対象になる。

家具や家電、倉庫を入居者の希望によりレンタルしているケースは、その使用料が課税対象になる。ただし、入居者の選択にかかわらず、あらかじめ家具や家電、倉庫が設置されている場合は、消費税が課税されない。

なお、倉庫の使用料金を家賃収入に含めずに別項目で請求している場合は、あらかじめ設置されているケースでも使用料に対して課税されるため、注意が必要だ。

このように住居に付帯している設備であっても使用料が賃料に含まれている場合には消費税が課せられず、賃料とは別に請求する場合には消費税が課せられる。そのため、消費税が課税されないようにするには、賃貸借契約書に記載する内容を慎重に吟味することが必要だ。

まとめ

居住用に貸し出した物件から得る家賃収入に対して、消費税は非課税になる。一方で、事業用に貸し出した物件からの家賃収入には消費税が課せられる。

ただし、事業用に貸し出している場合でも課税売上高が1,000万円を超えない場合には、消費税の納税が免除される。

また、駐車場の賃料や住居に付帯する設備の使用料も課税対象になるケースや非課税になるケースがあるため、どちらのケースになりそうなのか、まずは専門家に相談するのが一番だ。不動産経営を行っている方は、税金で不利が生じないように、ぜひこの記事を参考にしてほしい。

なお、「インボイス制度」が始まる2023年10月からは、課税売上高1,000万円以下で消費税免除であっても同制度によって消費税を納める必要性が発生するかもしれない。その点は頭に入れておきたい。インボイス制度が気になる方は、国税庁のホームページを参照するといいだろう。

鈴木 まゆ子
税務に関する記述の監修

鈴木 まゆ子
税理士・税務ライター

中央大学法学部法律学科卒業後、㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。
「ZUU Online」「KaikeiZine」「朝日新聞『相続会議』」「マネーの達人」「納税通信」などWEBや紙面で税務・会計に関する記事を多数執筆。
著書「海外資産の税金のキホン(税務経理協会、共著)」。

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