アパート経営で合同会社を設立するのはメリットがある?設立するときの手順と注意点とは?
(画像=taka/stock.adobe.com)

この記事では、アパート経営で合同会社を設立するメリットやデメリット合同会社を設立する手順について詳しく解説していく。

目次

  1. 不動産投資を合同会社でするメリット
    1. 最大10年間、損失を繰り越しできる
    2. 株式会社より設立費用、ランニングコストがかからない
    3. 設立手続きが簡単なうえに税制も株式会社と同じ
    4. 出資比率に関係なく利益分配が可能
  2. 不動産投資を合同会社でするデメリットや注意点
    1. 知人など複数の出資者がいる場合は注意が必要
    2. 連帯保証や連帯債務が必要となることがある
    3. 1法人・1物件スキームの危険性
  3. 合同会社を設立するタイミングは?
  4. 実際に合同会社を設立するときの手順
    1. 自分で手続きをする場合
    2. 司法書士に依頼する場合

不動産投資を合同会社でするメリット

不動産投資をする際に、個人経営するよりは法人名義で経営したほうが税金などの面でメリットが多くなる場合がある。また、法人経営の中にも合同会社と株式会社と大きく2つの形態がある。株式会社との比較もしながら、合同会社で行うメリットを把握しておこう。

  • 最大10年間、損失を繰り越しできる
  • 株式会社より設立費用やランニングコストが安い
  • 設立手続きが簡単なうえに税制も株式会社と同じ
  • 出資比率に関係なく利益分配が可能

それぞれについて説明していこう。

最大10年間、損失を繰り越しできる

平成30年4月1日以降に開始する事業年度において損失を出した場合、法人の場合は最大10年間繰り越すことができる(青色申告の承認を受けている法人に限る)。損失を繰り越すことで翌年以降の黒字と相殺することができ、法人税を抑えることが可能だ。この欠損金の繰り越し控除は個人事業の場合でも利用することは可能だが、その場合は繰越期間が3年間(青色申告に限る)なので法人の10年間と比較すると短い。

したがって、損失の繰越期間が長いことが法人化するメリットの1つと言える。

株式会社より設立費用、ランニングコストがかからない

法人化する際に合同会社を設立するメリットは、株式会社の設立より費用がかからないことだ。

合同会社を設立するために必要な費用として、大きくは登録免許税と定款に貼付する印紙代4万円、司法書士への依頼料が挙げられる。登録免許税は最低6万円が必要だが、印紙代に関しては電子定款認証を利用する場合は印紙が不要のため、司法書士への依頼料を除くと6万円程度で設立することが可能だ。

一方で、株式会社の場合は合同会社の設立費用と同様の登録免許税(株式会社の場合は最低15万円)、定款に貼付する印紙代4万円(電子定款認証を利用する場合は不要)、司法書士依頼料がかかるほか、株式会社は公証人役場での定款認証が必要であることから公証人手数料が5万円かかる。電子定款認証を利用する場合でも司法書士への依頼料を除いて20万円以上は用意しておきたいところだ。

さらに、合同会社は株式会社と比較してランニングコストがかからない。合同会社の場合は役員の任期が無期限のため登記費用がかからないうえに、決算公告の義務がないため公告のための費用も必要ないのだ。

株式会社の場合は年1回の決算公告や2年で任期満了を迎える役員の登記費用などがかかることと比較すると、合同会社には大きなメリットがある。

設立手続きが簡単なうえに税制も株式会社と同じ

合同会社と株式会社はどちらも普通法人に属するため、税制上の違いはない。一方で、設立に関しては合同会社のほうが株式会社よりも手続きが簡単だ。合同会社は株式会社で必要な公証人による定款認証などの手続きが不要なため、簡単に設立することができる。

出資比率に関係なく利益分配が可能

合同会社は株式会社と違って出資比率と関係なく利益を分配することが可能だ。そのため、会社の状況に合わせて利益の分配を行うことができる。

一方で株式会社は株式の保有数によって利益を分配するため、会社の状況に合わせた利益分配をすることができないデメリットがある。

不動産投資を合同会社でするデメリットや注意点

一方で合同会社を設立するデメリットや注意点もある、大きくは以下の3つだ。

  • 知人など複数の出資者がいる場合は注意が必要
  • 連帯保証や連帯債務が必要となることがある
  • 1法人・1物件スキームの危険性

それぞれについて説明していこう。

知人など複数の出資者がいる場合は注意が必要

不動産投資での法人化を合同会社で行う場合、出資者が複数になるケースは多くはないだろう。複数の場合でも、親族などがほとんどだと考えられる。

仮に、知人など複数の出資者がいる場合は注意が必要だ。経営に関しての考えの相違が生まれた場合、出資比率が決まっていないことから対立関係に発展する可能性がある。本業に影響しかねないため、余計な問題は起こさないほうが懸命だ。

連帯保証や連帯債務が必要となることがある

アパート経営で融資を受ける際には、法人実権者の連帯保証もしくは連帯債務が必要になることもある。連帯保証人や連帯債務者となると、事業がうまくいかなかった際に債務に関して連帯して責任を負う必要があることから、事業失敗のリスクは個人名義で購入しても法人名義で購入しても同様にある点には注意したい。

1法人・1物件スキームの危険性

物件を購入するたびに法人を新しく設立し、既存の負債を隠して融資を受ける「1法人・1物件スキーム」と呼ばれる方法がある。短期間で事業拡大ができるとして以前流行した背景があるが、スキームの過程で金融機関に対して負債を隠して融資を引き出す手法を取るケースがあり、問題視されている。もちろんそういった負債を隠す行為は融資の契約違反であることから絶対にしてはならない。金融機関から融資を受ける際に、保有している法人や借入状況について申告をしている場合はこの限りではないが、最悪ローンの一括弁済を求められる可能性がある。もちろん、子が複数人おり、それぞれに1法人ずつ用意して物件を購入し、継承させたいと言ったようなニーズなどで、複数の法人を保有するケースもあるが、そういった場合には金融機関に対して複数法人を保有していることや借入状況についてきちんと申告をしておくことが重要だ。

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合同会社を設立するタイミングは?

合同会社を設立するタイミングだが、設立費用や税理士の顧問契約料などがかかるうえに、経費化できる範囲などによって異なる。したがって、一概にどのタイミングが適切であると言うことが難しく、専門家である税理士などに合同会社を設立するタイミングについて相談するのが無難だろう。

実際に合同会社を設立するときの手順

合同会社を実際に設立する場合は、自分で手続きを行う方法と司法書士に依頼する方法がある。自身で手続きを行う場合は、手間と時間がかかるが費用は安い。一方で司法書士に依頼する場合には、費用がかかるが手間と時間はかからない。

では、それぞれの方法について手順を見ていこう。

自分で手続きをする場合

自身で合同会社を設立するときの手順は以下の5つだ。

  1. 商号、事業目的、資本金など会社の基本事項を決定する
  2. 書類を準備する
  3. 定款を作成する
  4. 出資金を支払う
  5. 法務局で登記申請する

なお、設立には以下のような書類が必要だ。

  • 代表社員の印鑑証明書(発行後3ヵ月以内のもの)
  • 定款
  • 払込証明書
  • 会社の実印の印鑑届書
  • 合同会社設立登記申請書
  • 登記用紙と同一の用紙
  • 代表社員就任承諾書(定款が実名の場合は不要)
  • 代表社員、本店所在地及び資本金決定書(代表社員の実名・本店の所在地(番地まで記載)・資本金の総額が定款に記載がある場合は不要)

上記のように必要な書類も多く、書類に不備があった場合は再度提出する必要があるなど手間がかかる恐れがある。本業が忙しいビジネスパーソンなどの場合は、自身で手続きをするよりも司法書士に依頼すると良いだろう。

司法書士に依頼する場合

合同会社の設立を司法書士に依頼する場合は以下の手順で行う。

  1. 司法書士に設立したい会社情報を提出する
  2. 司法書士が書類を作成する
  3. 書類の確認と押印をして登記費用を預ける
  4. 出資金の払い込みをする
  5. 司法書士が法務局へ登記申請をする

上記のように複雑な手続きや必要な書類の作成などを司法書士が用意し代理で行ってくれるため、手間と時間を短縮することができる。

なお、司法書士に合同会社の設立を依頼する場合には、5万〜10万円ほどの報酬を支払う必要があることを認識しておこう。

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