汚いマンションでも売却できる?売却する方法やポイントを解説

たとえ汚いマンションであっても、専有部分の汚れはリフォームやクリーニングで印象を改善できるため、価格を調整すれば十分に売却することができます。一方で、エントランスや廊下といった共用部分に関してはマンション全体の資産価値に悪影響を及ぼし、売却が難航する場合があります。

本コラムでは、専有部分と共用部分それぞれの売却への影響や実際汚れていた場合の具体的な対策、売却するための工夫、適正価格を把握する方法を解説します。

汚いマンションでも売却できる?

汚いマンションでも売却できる?売却する方法やポイントを解説
(画像:PIXTA)

マンションが「汚い」と一口にいっても、その原因や場所によって売却への影響度合いは大きく変わります。専有部分の汚れであれば、リフォームやハウスクリーニングである程度改善できるため、立地や築年数といった基本的な条件を踏まえたうえで価格設定をすれば十分に売却できます。しかし、共用部分の汚れや管理状態の悪さが目立つ場合は、マンション全体の資産価値を大きく下げてしまい、購入希望者から敬遠される傾向が強まります。

ここでは、専有部分が汚い場合・共用部分が汚い場合のそれぞれについて、売却の難易度について検討します。

専有部分が汚い場合

専有部分が汚いと、購入希望者からの第一印象に大きく影響を及ぼしますが、改善することも可能です。そのため、築年数や専有面積、立地条件が良ければ、多少汚れていても物件としての需要は見込めます。

ただし、相場と比較した際に汚れている分だけ価格が下がることは避けられません。特に壁紙の劣化や水回りのカビなど、生活感の強い汚れは内覧時に目立ちやすいため、売却価格に影響します。逆に、クリーニングや部分的なリフォームを施すことで印象を大きく改善でき、費用対効果を狙った工夫次第では相場に近い価格で売却できるケースもあります。

共用部分が汚い場合

共用部分が汚れている場合は、専有部分以上に問題は深刻です。

エントランスや廊下、外壁といった共用部分は、マンション全体の管理状態を映し出す「顔」となる場所になります。そのため、共有部分が汚れていると「管理組合が機能していないのではないか」と購入希望者に不安を与えてしまいます。

また、「修繕積立金が十分に確保されていない」「長期修繕計画が実質的に機能していない」といった管理上の問題があることも多く、資産価値そのものが低く評価されることもあります。

そのため、共用部分が汚いマンションを売却するには、価格を大きく下げざるを得ないケースや、買い手が見つかりにくくなるケースが多いのが実情です。

汚いマンションを売却する方法

マンションが汚れている場合でも売却は可能ですが、その戦略は専有部分と共用部分のどちらに問題があるかで大きく異なります。専有部分だけが汚れている場合には、価格調整や売却方法の選択によって比較的スムーズに進められるケースもありますが、共用部分が汚れているとなると、購入希望者から敬遠されるため時間を要する可能性が高くなります。

ここでは、それぞれのケースごとに、適切な売却方法を解説します。

専有部分が汚い場合の売却方法

専有部分が汚い場合、最も現実的な方法は「売却価格を下げる」ことです。多少の汚れであれば、相場よりやや安く提示することで購入希望者を見つけやすくなります。

しかし、内覧の段階で生活感の強い汚れや放置された設備不良が目立つと、買主の購入意欲が無くなるため、単純に価格を下げても売却に時間がかかることもあります。

そのような場合には、不動産会社による買い取りを選択することもひとつの方法です。ただし、買い取りは再び販売することを前提としているため、相場価格に比べて低く見積もられることを理解して売却する必要があります。

共用部分が汚い場合の売却方法

外壁やエントランスなど共用部分が汚い場合は、建物全体の管理体制が不十分であることを意味し、管理組合の機能不全や修繕積立金不足といった深刻な問題が背景にあることも多いため、売却のハードルは専有部分が汚い場合と比較して格段に高くなります。

売主が共用部分を直接修繕することはできないため、現実的な対応としては、不動産会社による買い取りを検討するか、価格を思い切って調整して購入層を広げるといった方法が中心となります。

このように、共用部分が汚いマンションでも売却の方法はあるものの、売却には困難になることが想定されます。そのため、区分所有者の一人一人が管理組合の運営に積極的に関与し適切にマンション全体の管理運営を行っていくことが、一人一人の資産を守る意味でも極めて重要なのです。

汚いマンションを売却するためのポイント

汚いマンションでも売却できる?売却する方法やポイントを解説
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汚れていて買い手が付きにくいマンションでも、工夫次第で売却を狙うことは可能です。ただし、その方法は専有部分か共用部分かによって大きく異なります。専有部分であればリフォームやクリーニングで印象を改善する手段があり、費用対効果を見極めながら実行に移すことが重要です。一方で、共用部分の改善は管理組合の協力が不可欠で、売主自身の努力だけではすぐに成果が出ないため、長期的な視点が必要となります。

以下からは、それぞれの場合において、売却するための具体的な方法や注意点を解説します。

専有部分をリフォームする

専有部分が極端に汚れている場合は、リフォームを行ってから売却するという選択肢もあります。

一般的にリフォームにかけた費用をそのまま売却価格に上乗せすることは難しいとされています。しかし、現状のままでは大きく値下がりしてしまう物件よりは、リフォームによって見た目や住み心地を改善することで、購入希望者の心理的な抵抗を和らげる効果を期待できます。

重要なのは、現状のまま売却した場合の見込み価格と、リフォーム後に見込まれる価格を比較することです。相場価格は周辺事例からある程度推測できますが、現状の汚れ具合によって下落幅は大きく変動します。つまり、同じリフォームを行ったとしても、現状の評価が低いほど投下した費用に対して大きなリターンが見込める可能性があります。

必ずしもすべてのケースでリフォームが利益に結びつくわけではないため、不動産会社の査定をもとに慎重に検討することが重要です。

専有部分をハウスクリーニングや部分補修で印象を改善する

リフォームまでは手が回らない場合でも、ハウスクリーニングやクロス交換、水回りの補修といった部分的な改善を行うだけで、内覧時の印象は大きく変わります

特に台所や浴室、トイレなどの水回りは、汚れやカビが目立つと購入希望者の印象を大きく損なうため、専門業者に依頼して清掃を徹底することが効果的です。壁紙の張り替えや床の補修といった比較的小規模な工事も、コストを抑えつつ清潔感を高める方法として有効です。

購入希望者は実際の暮らしをイメージしながら内覧するため、清潔感があるかどうかは価格以上に大きな判断要素となります。こうした小規模な改善であれば投資額も少なく、費用対効果の観点からも現実的で、多くの売主にとって取り組みやすい方法といえるでしょう。

管理組合の改善で共用部分を立て直す

共用部分が汚れている場合には、売主個人の努力だけで即座に改善することはできません。

そのため、より良い条件での売却を目指すのであれば管理組合全体での取り組みが不可欠になります。例えば理事会や管理組合の役員に立候補し、修繕計画の見直しや清掃体制の改善、場合によっては修繕積立金の増額などを提案していく必要があります。

これらは少なくとも数年単位での長期的な取り組みとなるため、短期的に成果を出すことは難しいですが、共用部分の清潔さや管理状況が改善されれば資産価値は着実に向上し、将来的な売却時には大きなプラス要因となります。

購入希望者は複数物件を比較する際、見た目だけでなく管理体制も重要視するため、こうした背景を説明できるかどうかが成約の分かれ目となります。共用部分の管理は入居者の快適性に直結するだけでなく、所有者にとっては資産を守る最も基本的な要素であることを理解し、長期的に取り組む姿勢が求められます。

これらのポイントのほか、不動産を売却する際に注意すべき点についてはこちらの記事でも詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。

【関連記事】不動産売却時に知っておくべき注意点一覧!ステップごとに解説

汚いマンションはいくらで売れる?適正価格を知る方法

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適正価格を知るためには、自分で情報収集を行う方法と、不動産会社に査定を依頼する方法の両方を活用するのがおすすめです。それぞれの方法にはメリットと注意点があるため、複数の視点から価格を把握し、現実的な売却戦略を立てるようにしましょう。

自分で相場を調べる

最初のステップとして、自分で相場を調べてみましょう。

全国指定流通機構連絡協議会が運営している「REINS MARKET INFORMATION」や、国土交通省が提供する「不動産情報ライブラリ」、さらに大手不動産ポータルサイトなどを利用することで、築年数や立地、専有面積など条件が近い物件の成約事例や販売価格を確認できます。

ただし、これらの情報はあくまで一般的な取引データであり、実際に自分の物件が抱える汚れや劣化の度合いまでは反映されていません。つまり、大まかな市場価格の目安をつかむには有効ですが、現実的な売却予想額を知るには限界がある点を理解しておく必要があります。

複数の不動産会社に査定依頼をする

汚れも考慮した具体的な売却価格を把握するためには、プロである不動産会社に査定を依頼する必要があります。

ただし、査定は会社によってバラつきがあり、1社のみの結果を鵜呑みにするのは危険です。契約を獲得するために高めの査定を提示する会社もあれば、早期売却を優先して低めに設定する会社もあるため、最低でも3〜4社に依頼すると安心です。

不動産会社に査定を依頼する際には、不動産一括査定サイトを利用すれば効率的に複数社へ依頼できるため便利ですが、営業への対応に追われたり、個人情報が流出したりするデメリットに注意が必要です。

こちらの記事では、一括査定を依頼した際のメリットやデメリット、注意点を詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。

【関連記事】不動産の一括査定(無料査定)でよくあるトラブルとは?メリット・デメリット・注意点を解説

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