不動産投資で地方物件を選ぶメリットとデメリットは?
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「不動産投資を始める」と決めている人にとって、気になるのが「どのような物件を購入すれば良いか」ということだろう。物件選定のポイントはいくつかあるが、そのなかでも意見が分かれるのは「東京の都心物件にするか、それとも地方物件にするか」ということだ。

これを決めるためには、都心物件と地方物件それぞれのメリットとデメリットを理解することが重要だ。そこで今回は、不動産投資で地方物件を選ぶメリットとデメリット、そして地方物件の選び方のポイントなどについて解説していこう。

地方物件のメリット

「地方物件」と一言で言ってもさまざまな物件がある。RC造の新築物件もあれば、木造の築古物件も存在する。そのため、全ての地方物件に当てはまるとは限らないが、「都心物件と比べて、相対的に、一般的に言えること」という観点から、地方物件のメリットを列挙してみよう。

安く買える

地方物件の大きなメリットの1つが「安く買える」ということだ。地方は都心に比べて地価が低いため、都心で同じようなグレードの物件を買うときに比べて、不動産価格が低くなりやすい。

安く買えるということは、ローンを活用して購入する場合においても、ローン返済総額が少なくなるということだ。したがって、ローン返済リスクや支払利息も低減できる。

利回りが高い

「利回りが高い」ということもメリットの1つだ。まずは定量的なデータを確認してみよう。日本最大級の収益物件情報サイトの「健美家」が2021年7月13日に発表した「不動産投資 四半期レポート <2021年4月~6月期>」によると、主要地方都市における1棟アパートの利回りは以下のようになっている。

東京23区 6.69%
広島市 6.72%
福岡市 7.13%
名古屋市 7.26%
大阪市 8.64%
京都市 9.13%
仙台市 9.63%
神戸市 9.99%
札幌市 10.19%

東京23区のほうが各地方都市よりも利回りが低い結果となった。なぜ、このような結果になるのだろうか。

利回りは原則として、家賃収入を物件価格で割り戻して算出する。物件価格は前述のように、地方物件のほうが安いことが多い。一方、家賃相場に関しては、地方のほうが都心よりも安い傾向にあるものの、物件価格の差ほど大きな差がなく、結果として利回りが高く算出されやすいというわけだ。

プロの投資家が少ない

地方は都心に比べて、プロの投資家が少ないこともメリットの1つだ。プロの投資家とは、ここでは不動産投資を専業で行っている人を指す。

都心の場合はプロの投資家が常に「良い物件はないか」「良い物件があればすぐに買い付けを入れよう」と虎視眈々と優良物件を狙っている。そのため、一般の投資家は買い付け競争に負けてしまうことも多い。

また、相続対策で不動産投資物件を購入しようとする人も存在する。プロの投資家に加えて、そうした層も競争相手となるのが都心である。プロの投資家、相続税対策層の数が少ない地方であれば、競争のハードルが下がるというわけだ。

地主大家が多いため工夫次第では競争に勝てる

地方には都心に比べて、先祖代々の不動産を受け継ぎ、家業を営んでいる地主大家が多い。一般論になるが、地主大家は相続で不動産を受け継いでいることもあり、時代に合わせた革新的な経営努力をしていない場合も少なくない。

したがって、新規参入する投資家であっても、時代のニーズに合ったデザインや内装、設備の導入などを行うことによって、工夫次第では地主大家にも競争で勝てる可能性はあると言えるだろう。

地方物件のデメリット(リスク)

それでは、地方物件のデメリット(リスク)にはどのようなことが挙げられるのだろうか。前述のメリットと同様に、「都心物件と比べて、相対的に、一般的に言えること」という観点から列挙してみよう。

空室リスクが高い

地方物件は都心物件より空室リスクが高いと言える。日本は今後さらに人口が減少していくと言われており、地方は都心に比べて人口減少の傾向が強いためだ。

空室リスクは、不動産投資における大きなリスクの1つだ。「都心であれば空室リスクがない」というわけではないが、地方物件は都心に比べて空室リスクが高くなりやすいということには注意したい。

経済変動の影響が大きい

地方は元々の人口が少ないこともあり、経済変動(特に景気悪化)の影響が大きいと言える。

例えば、景気が悪化すると、都心に本社がある会社が地方支社を縮小したり、撤退したりすることも想定される。このような経済変動は不動産市況や空室率に影響を与えるため、経済変動の影響が大きいことにも注意が必要だ。

売却の計画を立てるのが難しい

地方は前述のように人口減少が続いており、中長期的には不動産価格の大幅な上昇は望みにくい。 さらに、都心であれば景気変動が賃貸需要に影響する度合いも少ないと考えられるが、地方では景気変動の波が賃貸需要に大きく影響しやすい。そうしたことからも、地方物件は売却の計画が立てづらいと言えるだろう。

また、上記と表裏一体の話であるが、地方物件は都心物件に比べて成約数が少なく、流動性が低い。地方物件を購入する際は、売却まで見据えた投資戦略を立てて購入するようにしたい。

地方物件の選び方のポイント

ここからは、地方物件の選び方のポイントについて解説していこう。

高い利回りだけに目を奪われない

地方物件は利回りが高いことが多い。しかし、ハイ・リターンの裏側にはリスクがあるものだ。地方は都心に比べて、人口減少や経済変動のリスクが大きく、それが高い利回りに反映されているとも言える。

まず想定されるのは物件価格の値下がりリスクだ。ただし、不動産投資はインカムゲイン(賃料収入)とキャピタルゲイン(売買益)を合計したリターンが重要なので、物件価格が下がってキャピタルロスが発生しても、それを上回るインカムゲインを積み上げれば良いという考え方もあるだろう。

その点、高い利回りは上記戦略を実行しやすいと感じるかもしれない。しかし、地方であるがゆえに、一度空室がでたら、埋まるまで長い時間がかかることも想定される。高い利回りにつられて安易に購入するのではなく、入念な調査とシミュレーションをしたうえで購入するようにしよう。

駅から遠い物件でも投資対象になり得る(地域の事情や賃貸需要をよく調べておく)

都心物件の場合、「最寄り駅から徒歩○分圏内であるか」という点が注目されることが多い。一般的に、入居者が特に気にするポイントの1つであるためだ。しかし、交通機関の利便性が悪く、車の保有が前提になっているような地域の場合は、駅から遠い物件でも投資対象になり得る。その場合は、「駐車スペースが十分にあるかどうか」がポイントになってくるだろう。

このように、地域の事情や賃貸需要によって、見るべきポイントは変わってくる。事前に、地域の事情や賃貸需要をよく調べておくことが重要だ。

可能な限り現地を視察する

特に地方物件の購入の検討をする際は、可能な限り現地を視察するようにしよう。その際、物件そのものはもちろん、物件周辺の環境もチェックするようにしたい。

都合がつけば、その地域に詳しい地場の不動産会社を尋ねることも有効だ。前述の「駐車スペースが十分にあるかどうか」などの「その地域ならではの確認ポイント」も教えてくれることだろう。

賃貸需要を特定の施設(大学や工場など)に依存しない

地方によっては、大企業の工場や大学があることによって、大きな賃貸需要が生まれている地域もある。これらは存在する限り、周辺の物件に安定した賃貸需要をもたらしてくれるが、それらが閉鎖や移転する可能性はないわけではない。

「賃貸需要を生む特定の施設」の近くに物件を保有することは1つの戦略ではあるものの、それに依存しすぎないようにすることも重要だ。

メリットとデメリットを天秤にかけたうえで投資判断を下そう

ここまで、不動産投資で地方物件を選ぶメリットとデメリット、地方物件の選び方などについて解説してきた。当然ながら、地方物件にはメリットもあり、一方でデメリットもある。

重要なことは、デメリット(リスク)をしっかりと認識し、メリットと天秤にかけたうえで投資判断を下すことだ。地方物件のメリットとデメリットをしっかりと理解して、不動産投資を進めていこう。

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