小田急小田原線 生田駅

「不動産投資を検討しているものの、どのエリアを選べばいいのかわからない」。そんな方も多いのではないでしょうか?

そこで本連載では、オリックス銀行においてアパートの融資取扱件数が多かった駅を取り上げ、駅周辺の特徴や人口動態、賃料相場の推移などを分析・紹介していきます。ぜひ投資エリア選びの参考にしていただければ幸いです。

今回ご紹介するのは、小田急小田原線「生田」。2019~2024年にかけて、アパート融資取扱件数が非常に多かった駅の一つです。新宿まで約30分と都心部へのアクセスに優れる一方で、自然豊かな緑地公園が隣接するなど、住みやすい街として人気が高まっています。

また、生田駅周辺の平均家賃は、2022年春から2025年春にかけて約9%上昇していますが、横浜市及び川崎全体の水準より月額15,000〜17,000円ほど相場賃料は低く、大学生や社会人、ファミリーまで幅広い層からのニーズがあるエリアで安定した賃貸需要が見込めることからも、オリックス銀行での融資取扱件数が伸びています。

小田急小田原線 生田駅ってどんな街?

はじめに、生田駅のプロフィールや街の特徴についてご紹介します。

小田急小田原線 生田駅のプロフィール

生田駅の所在地 神奈川県川崎市多摩区
主要ターミナルへのアクセス ・新宿駅:約30分(直通)
・渋谷駅:約30分(地下鉄経由)
・川崎駅:約40分(JR経由)
・横浜駅:約50分(JR経由)
・東京駅:約50分(JR経由)
1日平均乗降客数 44,658人
駅周辺の特徴 都心へ約30分で出られる利便性と、大学がもたらす活気が共存。生田緑地には豊かな自然と文化施設が集まり、住宅街は落ち着いた治安で暮らしやすい。昔ながらの商店街と新しい店が混在し、生活利便性も高いエリア。
周辺施設の情報 ・明治大学生田キャンパス
・専修大学生田キャンパス
・聖マリアンナ医科大学
・生田緑地
・川崎市立日本民家園(生田緑地敷地内)
・川崎市岡本太郎美術館(生田緑地敷地内)
・かわさき宙と緑の科学館(生田緑地敷地内)
小田急小田原線 生田駅

生田駅がある小田急小田原線は、新宿から小田原までを結ぶ路線で、各駅停車のほか、準急や通勤準急も停車します。新宿駅や渋谷駅までの所要時間は約30分、川崎駅まで約40分、横浜駅まで約50分と主要駅へのアクセスに優れ、通勤にも便利な駅です。

周囲に明治大学や専修大学のキャンパスがあることから、駅周辺には学生の姿が目立ち、活気のある雰囲気です。そのため駅周辺には学生向けのワンルームも多くあり、リーズナブルな飲食店が充実するなど、経済的にも暮らしやすい街となっています。

駅南東側には川崎市内最大級の緑地公園「生田緑地」が広がっており、豊かな自然のなかで散策やレジャーを楽しめる癒しの環境が整っています。また、駅北側には商店街が広がり、精肉店・鮮魚店など昔ながらの個人商店と、おしゃれなカフェなどが入り混じる温かみのある風情を残しています。

小田急小田原線 生田駅
(画像:PIXTA)                               ※生田緑地のイメージ

駅から少し離れると閑静な住宅街が広がり、都心部のような騒がしさはありません。治安も良好で、落ち着いた住環境が保たれています。学生の活気と、自然風景と古くからの街並みが調和する生田エリアは、学生のみならず新宿・藤沢方面に出勤する単身ビジネスマンからも支持を集めているほか、子どもを持つファミリー層からも人気のあるエリアです

生田エリアの人口ポートフォリオ

ここでは、生田エリアの人口動態について、統計データを挙げて紹介します。

※生田エリア(生田駅を最寄りとするエリア):生田/三田/東三田/栗谷

小田急小田原線 生田駅

人口推移

下記は、生田エリアの人口推移を示したグラフです。生田エリアの人口は、2000年の29,062人から2025年には34,042人へと約4,980人(約17%)増加しており、5年ごとに見ても緩やかながら一貫した増加傾向が続いています。

小田急小田原線 生田駅

男女年齢別人口

下記は、2020年の国勢調査における生田エリアの人口を、年齢別および男女別に表示したグラフです。

小田急小田原線 生田駅

年齢層で見ると、男性で最も多い層は35~49歳の3,440人、女性で最も多い層は65歳以上(3,828人)です。全国的な傾向と同様に生田エリアでも少子高齢化が進行しているものの、35歳~40歳の現役層も多いエリアであることがわかります。

また、15〜24歳人口も男性2,819人、女性2,178人と、それぞれ全体の約18%、約14%を占めており、周辺大学への通学者が若年層の人口比率を押し上げていると推測されます。やや男性の割合が多いのは、明治大学生田キャンパスが理系学部を中心としていることの影響と考えられます。

単身世帯/家族世帯割合

下記は、2020年の国勢調査における生田エリアにおける単身世帯・家族世帯の割合を示したグラフです。

生田エリアに近いエリアと比べてみると、横浜市(家族世帯率が約40%)や川崎市(同46%)では単身世帯が優勢であるのに対し、生田駅エリアでは家族世帯率が約52%と単身世帯を若干上回り、周辺大都市よりも家族向けの居住色がやや強い傾向にあります。

小田急小田原線 生田駅

人口増加率

下記のグラフは、2000年を基準とした、生田エリア・横浜市・川崎市の人口増加率を示したものです。

2000〜2025年の25年で生田エリアは人口が約17%増え、横浜市(約10%増)より高い伸びを示したものの、川崎市(約25%増)ほどではなく、2005年から10年間での伸び(約10%)をピークに、その後は横浜市をやや上回る程度の緩やかな増加に転じています。

小田急小田原線 生田駅

賃料増加率(家賃相場推移)と募集期間の相関性調査

生田駅周辺の賃貸募集事例のデータを集めて、賃料や築年数、徒歩分数や、物件情報サイトの掲載期間を集計し、下図でまとめました。

成約事例ではなく、あくまでも募集事例を集めて分析したデータにはなりますが、マーケットの動向を把握する上での目安として活用してください。

平均賃料相場推移(1K~1LDK)

下記は、生田エリア、横浜市、川崎市それぞれの平均賃料相場の推移です。

小田急小田原線 生田駅

2022年3月には月73,000円台だった生田駅の平均賃料は、四半期ごとに小さな上下を挟みながらも一貫して上昇し、2025年3月には約80,000円と約9%伸びました。これは横浜市平均(+8%程度)や川崎市平均(+9%程度)の伸びをやや上回るかほぼ同水準となっています。

それでも約80,000円(2025年3月)という生田駅の平均賃料は、横浜・川崎平均よりも約15,000~17,000円(16〜18%)安いことから、割安感は保たれています。

2023年12月や2024年9月に一時小幅な調整(2〜3%減)が見られるものの、直後の四半期で反発しており、中期的には上昇トレンドが優勢となっています。

総じて、生田駅は近隣エリアの平均と比べてリーズナブルな市場ながらも、ここ数年で着実に賃料水準を引き上げつつある「緩やかな成長市場」といえるでしょう。

2024年から2025年にかけての賃料等推移

1㎡あたり平均賃料 1㎡あたり中央賃料 平均募集期間 中央募集期間 平均築年数 平均徒歩分数
2024年1〜12月 2,923円 2,912円 50日 26日 17年 5分
2025年1〜6月 3,011円 3,026円 50日 27日 16年 4分
出典:株式会社コラビット社提供の賃料データより株式会社ゴールドオンライン作成

2024年から2025年にかけての推移を見ていくと、1㎡あたり平均賃料は2,923円から3,011円へ上昇し、中央値も同様に上振れしています。平均築年数と平均徒歩分数はわずかに減少しており、駅近・築浅物件の増加が賃料上昇を後押ししていることが推測されます。

賃料及び募集期間の変動率

平均賃料上昇率 中央賃料上昇率 平均募集期間 中央募集期間
2024年〜2025年にかけての変動率 3.0%増 3.9%増 変動無し 3.8%増
出典:株式会社コラビット社提供の賃料データより株式会社ゴールドオンライン作成

賃料の推移を2024年から2025年の変動率で見ると、1m²あたり平均賃料は約3%増、中央値は約4%増と上向いています。募集期間の変動率については、平均値は横ばい、中央値は約4%増です。

投資のポイント

生田駅周辺の平均家賃は、2022年春から2025年春にかけて約9%上昇しました。それでも横浜市及び川崎全体の水準より月15,000〜17,000円ほど低く、首都圏で割安感が残るアパート不動産投資先を探している人にとって、生田駅は見逃せない存在です。

大学のキャンパスが15〜24歳人口を呼び込む一方で、家族世帯率も52%とバランスが取れており、ワンルームからファミリータイプまで幅広い物件タイプを検討できるエリアです。生田駅から新宿・渋谷まで30分以内と都心へのアクセスも良く、中長期的にも学生から社会人まで幅広い層の賃貸需要が見込める要素も揃っています。

出生率の低下が長く続いており、今後長期的に見れば、日本国内の学生数は全体として減少していくことが見込まれますが、学生だけでなく社会人やファミリー層からの人気もあるエリアであり、その需要の根強さから不動産投資には向いているエリアと言えそうです。

また、平均徒歩分数のデータを見ると、駅から徒歩5分圏内の駅近立地の物件供給も多いと思われることから、安定した賃貸収入を得るには駅からある程度近い立地であることが重要な要素となりそうです。ただし、実際に現地を見てみると斜面も多いエリアのため、立地によっては駅徒歩のみだと判断を誤ってしまうケースもあるかもしれません。

実際の投資検討にあたっては、ぜひ実際に現地へ足を運んでみてください。また、現地の不動産会社に賃貸マーケットについて聞いてみることも、適切な投資判断を行う上では重要です。

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