アパート経営に必要な初期費用は?気をつけたいポイントも解説
(画像=FrankBoston/stock.adobe.com)

アパート経営を始めようか検討している人にとって、気になるのが「初期費用にはどのようなものがあって、合計でいくらくらいかかるのだろうか」ということだろう。

今回は、アパート経営を始めようか検討している人に向けて、アパート経営に必要な初期費用の概要、アパート経営の初期費用の種類、そして初期費用を考える際に気をつけたいポイントなどを解説する。

目次

  1. 1.アパート経営の初期費用の目安、新築と中古の違いは?
  2. 2.アパート経営の建築前にかかる初期費用の項目は?
    1. 2-1.土地購入費
    2. 2-2.建物解体費
    3. 2-3.測量費
    4. 2-4.地盤調査費・地盤改良費
    5. 2-5.水道分担金
  3. 3.アパート経営の建築時・契約時にかかる初期費用の項目は?
    1. 3-1.設計監理費
    2. 3-2.建築費
    3. 3-3.不動産取得税
    4. 3-4.印紙税
    5. 3-5.登記費用(登録免許税)
    6. 3-6.アパートローン手数料
    7. 3-7.各種保険料(火災保険、地震保険など)
    8. 3-8.外注費
  4. 4.入居者募集の初期費用が必要なことも
    1. 4-1.サブリース契約ではない物件
    2. 4-2.サブリース契約の物件
  5. 5.アパート経営の初期費用を考える際に気をつけたいポイント
  6. 6.初期費用以外に余剰資金を手元に残しておこう

1.アパート経営の初期費用の目安、新築と中古の違いは?

アパート経営の初期費用はどれくらいかかるのだろうか。初期費用の総額は、購入するアパートによって詳細は異なるものの、新築アパートの場合は購入価格の4〜7%、中古アパートの場合は7〜10%と言われている。中古物件を購入する場合は、仲介業者に対する仲介手数料を支払うことになるため、新築物件の購入時と比べ3%程度割高になることが多い。なお、この初期費用には、ローンの頭金は含まれていない。

アパート経営に必要な初期費用は?気をつけたいポイントも解説

つまり、1億円の新築アパートを購入する際は400万円〜700万円、1億円の中古アパートを購入する際は700万円〜1,000万円が初期費用として必要ということだ。物件価格の全額をローンで賄う「フルローン」でアパートを購入するにしても、これらの金額は別途必要になることに注意しよう。

金融機関によっては、「オーバーローン」といって、物件価格に加えて諸費用も融資してくれる場合がある。オーバーローンを活用すると、購入時の手元資金の減少を抑えることができるが、返済総額が大きくなることに加えて、金利が高くなることもあり、活用する場合には注意が必要だ。

上記で紹介した初期費用にローンの頭金は含まれていないため、フルローンやオーバーローンを活用する、もしくは現金購入するケース以外は、「頭金をいくら準備するか」ということも考える必要がある。

金融機関にもよるが、頭金は物件価格の10〜30%程度必要なケースがあるので事前に金融機関に確認しよう。

アパート経営を検討するときは、「この規模のアパートを購入する場合、自分はどれくらいの借り入れをすることができるのか(するべきなのか)、頭金はいくら必要なのか、そのアパートの初期費用はいくらくらい必要なのか」などを総合的に考えることが重要だ。

2.アパート経営の建築前にかかる初期費用の項目は?

ここまで「新築アパート」を一つの大きなくくりで解説してきた。しかし実際には、次の3つの種類がある。

  1. 建売新築アパート
  2. 所有地に建てる新築アパート
  3. 土地を購入して建てる新築アパート

上記のうち2と3の場合、建築前にかかる初期費用も発生する。その内容を見ていこう。

2-1.土地購入費

土地を自身で用意する場合、アパート経営の初期費用として「土地購入費」も必要になる。また不動産投資ローンを利用する場合でも頭金分の初期費用が必要だ。頭金を多くすると「利回りがよくなる」「デッドクロスが起きにくくなる」といったメリットがある一方で「初期費用が重くなる」というデメリットもある。このバランスを見ながら自身にとってベストな頭金を設定することが大切だ。また、用意する土地が仲介物件として流通している土地である場合は別途仲介手数料が必要であることは覚えておきたい。

2-2.建物解体費

アパート用地として仕入れた土地に廃墟(はいきょ)などが建っているなら初期費用として「建物解体費」も必要になる。特に次の3つのケースにあてはまる場合は、解体費が多くかかりやすいため、要注意だ。

  • 建物の延床面積が広い
  • 重機が入りにくい立地である
  • 解体に手間がかかる建物構造である

上記について補足すると解体費は建物の構造によって変わってくる。解体業者の比較サイトで提示している構造別の解体費の目安は次の通りだ。

構造1坪あたりの解体費用
木造約3万1,000円~4万4,000円
鉄骨造約3万4,000円~4万7,000円
鉄筋コンクリート造約3万5,000円~8万円

2-3.測量費

新築アパートの設計には、測量図が欠かせない。測量図とは、土地家屋調査士が測量を行ってその土地の正確な面積・形状などをまとめたものだ。測量図には、主に以下の3種類がある。

種類特徴
確定測量図
費用目安:40万~50万円
・専門家の測量をもとに作成
・隣接地や面した道路との境界線を確定させた測量図
・不動産の売買で必要となるケースが多い
現況測量図
費用目安:10万~20万円
・専門家の測量をもとに作成
・隣接地や面した道路との境界線を確定させない測量図
・売主の認識などをもとに作成するケースが多い
地積測量図
1筆あたり450円
・法務局の登記簿と紐付けられている測量図
・登記されているのが昔の測量図ということもある
・測量図が末登録なこともある

・確定測量図
土地を購入して新築アパートを建てる場合、確定測量図が手元にあるケースが多いだろう。これは確定測量をすることで後々の隣接地権者とのトラブルを避けることができ、買主の安心につながるからだ。土地を購入したときに使われた確定測量図をそのまま流用できる。ただし買主と売主が確定測量図のない土地の売買に合意している場合は、測量図がないこともある。

・現況測量図
確定測量図よりも簡易に作成されたものだ。専門家が測量をしているが境界線までは確定していない。とはいえ境界線以外の部分は精度が高いと考えられるため、現況測量図も新築アパートの設計に使える。

・地積測量図
法務局に保管されている登記簿に紐付けられている測量図のことだ。どのような精度の測量図が保管されているかは、土地によって違う。そのため地積測量図があっても設計で使えるかは、ケースバイケースだ。また土地が登記されていても地積測量図が未登録なこともある。

2-4.地盤調査費・地盤改良費

地盤関連の初期費用は、特に「軟弱地盤」といわれるエリアにアパートを建てる場合に注意したい。なぜなら地盤調査後に高額費用をかけて地盤改良工事をしなくてはならない可能性もあるからだ。地盤調査にどれくらいの費用がかかるかは、土地の面積や調査手法などによって異なる。例えば建築面積が20坪の場合の目安は、以下の通りだ。

  • スウェーデン式サウンディング試験:5~10万円程度
  • ボーリング調査:20~30万円程度

地盤調査のフェーズで起こりやすい勘違いは「建物が建っていた敷地にアパートを建てるから地盤調査はいらないのでは?」というものだ。しかし建物が建っていたからといって地盤が安定している根拠にはならない。たとえ過去に地盤調査をしていても地盤沈下などが進んで状態が変わっている可能性もある。こういったことを勘案するとアパート建築前に地盤の調査・改良は必須だ。

建物を建てる土地の状態をチェックし必要に応じて地盤改良工事を行うことで入居者が長く安心して暮らせるアパート経営が実現できる。

2-5.水道分担金

アパートを建築する際「水道分担金」と呼ばれる初期費用もそれなりの金額となるため、押さえておきたい。水道分担金とは、水道の新設工事(メーター設置)や増径工事(口径を増やす)などの際に負担する費用のことだ。自治体によって名称が微妙に変わり「水道加入金」や「水道利用加入金」などと呼ばれるケースもある。

ちなみに支払われた水道分担金は、水道関連施設の建設・整備などに活用されている。水道分担金の特徴は「自治体によって金額設定が違う」「水道メーターの口径が増えるごとに金額が増える」といった点だ。例えば神奈川県横浜市の水道分担金は、以下のように計11段階のメーター口径に分かれている。

口径水道利用加入金
13ミリメートル16万5,000円
20ミリメートル
25ミリメートル
40ミリメートル140万2,500円
50ミリメートル214万5,000円
75ミリメートル511万5,000円
100ミリメートル874万5,000円
150ミリメートル1,980万円
200ミリメートル4,455万円
250ミリメートル7,920万円
300ミリメートル1億3,200万円
出典:横浜市ホームページ「水道利用加入金※この先は外部サイトに遷移します」より株式会社ZUU作成

メーター口径が小さい13~25 ミリメートルまでは16万5,000円だ。(2022年3月1日現在)アパート建築の場合「水道分担金×戸数」が納める金額となる。仮に水道分担金が16万5,000円で戸数が10戸であれば納める初期費用は165万円だ。なお自治体によっては、水道分担金が不要なケースもある。例えば東京都であれば水道分担金は必要ない。

3.アパート経営の建築時・契約時にかかる初期費用の項目は?

次に、アパート経営の建築時・契約時にかかる初期費用の項目を列挙し、それぞれの概要を解説する。

3-1.設計監理費

所有地や新たに仕入れた土地に新築アパートを建てる場合、設計監理費が必要だ。この初期費用は、 建築設計と工事管理の組み合わせから成っている。国土交通省によると設計監理費(設計料)の目安は、以下の通りだ。

  • 設計監理費(設計料)= 直接人件費+特別経費+技術料+諸経費+消費税

例えばこの計算式をもとに東京都建築士事務所協会が算定した木造2階建(30坪)の一般的な住宅の設計監理費は、350万円となっている。ただし設計監理費はケースバイケースのため、同計算式はあくまでも参考程度のものだ。

3-2.建築費

所有地や新たに仕入れた土地に新築アパートを建てるなら初期費用として建築費も必要だ。土地の購入費と同様に建築費を現金で用意するなら初期費用となる。また不動産投資ローンを利用する場合は、頭金分が初期費用だ。実際に建築費がどれくらいかかるかは、構造・面積・仕様などで大きく異なる。参考までに国税庁が示す「構造別の工事費用」は次の通りだ。

構造1平方メートルあたり工事費用
木造17万2,000円
鉄骨造25万円
鉄筋コンクリート造26万円
鉄骨鉄筋コンクリート造26万8,000円
出典:国税庁ホームページ「地域別・構造物の工事費用表-全国平均(令和3年分用)※この先は外部サイトに遷移します」より株式会社ZUU作成

3-3.不動産取得税

不動産取得税とは、土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得したときに、取得者に対して課税される税金だ。有償・無償、登記の有無にかかわらず課税となる(ただし相続など一定の場合には課税されない)。税額は「取得した不動産の固定資産税評価額×税率」で計算される。税率は、土地や家屋(住宅)の場合は3%だ。なお、軽減措置で2024年3月末まで税率3%だが、本来は4%である。

不動産取得税を支払うタイミングだが、アパートを取得したタイミングではなく、半年〜1年などのタイムラグをおいて請求がやってくる。忘れていた頃に請求が届きがちなので、資金管理はしっかり行うようにしたい。

3-4.印紙税

印紙税とは、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)など特定の文書に課税される税金だ。購入する不動産が高額になればなるほど印紙税も増える。

契約金額印紙税額(軽減前)印紙税額(軽減後)
10万円を超え50万円以下400円200円
50万円を超え100万円以下1,000円500円
100万円を超え500万円以下2,000円1,000円
500万円を超え1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下2万円1万円
5,000万円を超え1億円以下6万円3万円
1億円を超え5億円以下10万円6万円
5億円を超え10億円以下20万円16万円
10億円を超え50億円以下40万円32万円
50億円超え60万円48万円

例えば、10万円超50万円以下の取引の際の印紙税は200円だが、100万円超500万円以下の取引の際は1,000円、5,000万円超1億円以下の取引の際は3万円、1億円超5億円以下の取引の際は6万円、さらに50億円超の取引の際は48万円がかかる。また、金融機関とローン契約する際の金銭消費貸借契約にも別途印紙代が発生し、その印紙代には軽減税率が適用されないことにも注意したい。

なお、今後は電子契約が増えていきそうであり、その場合は印紙税の課税対象とならないことから印紙代は不要となる。

3-5.登記費用(登録免許税)

土地や建物を建築したり購入したりしたときは、所有権保存登記や所有権移転登記、抵当権設定登記などを行う必要がある。この登記をする際にかかる税金が登録免許税だ。なお、物件が新築か中古かで課税される登録免許税率は変動するので注意が必要である。

例えば、売買に伴う土地の所有権移転登記の税率は不動産価格(原則として固定資産税評価額)の2%だ。ただし、2023年3月31日までの間に登記する場合は1.5%に軽減されることになっている。また、売買に伴う建物の所有権移転登記の税率は不動産価格(原則として固定資産税評価額)の2%だ。

また、登記は司法書士などに外注することが一般的だ。外注する際は、外注先への費用がかかるため、計算にいれておくと良いだろう。

3-6.アパートローン手数料

ローンを活用してアパートを購入する場合は、アパートローンの手数料がかかることが一般的だ。金融機関によって詳細は異なるものの、借入金額の1〜3%であることが多い。

3-7.各種保険料(火災保険、地震保険など)

一般的に、ローンを活用する際は火災保険の加入が必要だ。また、日本は災害が多い国であるため、地震保険への加入も検討したい。保険料は、どの保険会社でどのような保険内容にするかによって変動するが、5〜10年間分を一括払いする方法で30〜50万円ほどかかる場合が多い。

支払い方法は大きく分けて、一括支払いと分割支払いがある。一括支払いは保険料が安くなるケースが多い。しかし、一括支払いを選択する場合は、まとまった現金を用意する必要がある。

火災保険の契約期間は最長10年だ。ただし、自然災害が多発しているなかで契約期間を短縮して保険料の見直しを素早く反映できるようにするため、契約期間が2022年度にも現行の最長10年から5年に短縮されるという報道もある。

地震保険の契約期間は最長で5年だ。ただし、主契約である火災保険の保険期間によって、契約できる保険期間が異なる。

3-8.外注費

先に説明した司法書士のほかに、弁護士費用や税理士費用もかかる場合があり、それらへの報酬も頭に入れておきたい。

また、自主管理をする場合を除き、不動産会社(管理会社)に物件の管理を依頼することになる。管理費は各社によって異なるが、目安は賃料の5%前後だ。管理を依頼すると、定期的な清掃やメンテナンス、契約更新などの手続き、入居者からの連絡の対応などを所有者に代わって対応してくれる。

4.入居者募集の初期費用が必要なことも

新築アパートや中古アパートに空室がある場合、アパート経営をはじめた直後に入居者募集の初期費用もかかる可能性がある。ただしサブリース契約(空室でもオーナーに賃料が支払われる契約)をしているか否かで事情が変わってくるだろう。両者の違いは、次の通りだ。

4-1.サブリース契約ではない物件

アパート経営をはじめた直後にかかる入居者募集の初期費用には、次の3つがある。

・媒体掲載料
賃貸情報サイトなどに物件情報を掲載する際にかかる費用だ。

・広告料(AD)
入居者を探してくれた仲介会社に支払う成功報酬だ。金額の目安は、地域や時期などによって異なるが賃料の約1~2ヵ月分といわれている。

・仲介手数料
入居者と契約する際、仲介会社に支払う費用(上限は借主・貸主合わせて賃料の1ヵ月分)だ。

4-2.サブリース契約の物件

一般的なサブリース契約では、契約金や仲介手数料、広告料などの初期費用がかからない。ただしなかには、特約などで仲介手数料や広告料が設定されていることもある。サブリース契約は、オーナーに不利な内容になっていることも少なくない。そのため契約前の説明を注意深く聞いたり契約書を読み込んだりすることが重要だ。

5.アパート経営の初期費用を考える際に気をつけたいポイント

アパート経営の初期費用を考える際に気をつけたいポイントについて解説する。

まず重要なことは、初期費用を支払うことで、手元資金がほとんどなくなってしまう事態を避けることだ。アパート経営開始後、思ったほど速やかに空室が埋まらずに、想定していた入居率に届かない可能性も想定される。空室リスク以外にも、突発的なトラブルによって、現金が必要になることもあるだろう。

そのようなときに手元資金が枯渇していると、早々にアパート経営が頓挫しかねない。このような事態を避けるために、頭金と初期費用以外の現金も手元に準備しておくようにしよう。目安としては半年〜1年分のローン返済分の現金を手元に置いておきたいところだ。

ローン審査の観点では、オーナーの年齢や保有資産、借入状況によってはローン返済額1年分の余剰資金では足りないと判断されてローンがおりないケースがあるので、さらに多めの資金を残しておくのが無難だろう。

特に中古アパートを購入する場合は、新築アパートに比べて、設備の故障など突発的な修繕対応が発生する可能性が高い。中古アパートを購入する場合は、より手元資金の充実に目を配りたい。

初期費用は、項目によって支払いのタイミングが異なることにも注意が必要だ。

6.初期費用以外に余剰資金を手元に残しておこう

ここまで、アパート経営を始めようか検討している人に向けて、アパート経営に必要な初期費用の概要、アパート経営の初期費用の種類、そして初期費用を考える際に気をつけたいポイントなどを解説してきた。

アパート経営を検討するときは、「アパートローンでどれくらいの金額を借りるか」「そのアパートを購入したときの初期費用はいくらか」「物件購入後に手元に残しておく資金はいくらか」などを総合的に勘案して、資金を準備することが重要だ。

以上を踏まえて、物件を購入した後に資金繰りに困ることがないよう参考にしてほしい。

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