レントロールとは?各項目の内容や確認すべきチェックポイントを解説
  1. レントロールとは
  2. レントロールで一般的に書かれている項目
    1. 階数や部屋番号
    2. 属性
    3. 間取
    4. 用途
    5. 契約状況
    6. 契約面積
    7. 契約期間(開始日、終了日)
    8. 賃料
    9. 共益費
    10. 敷金や保証金
    11. その他
  3. レントロールのチェックポイント7選
    1. 新しい入居者の賃料が他の部屋と比べて低くないか
    2. 同じ法人への貸し出しに依存していないか
    3. 入居日が2年以上の人が多いかどうか
    4. 預かり敷金・保証金があるかどうか
    5. 共益費を入居者が負担しているか
    6. 賃料にばらつきがないか
    7. 入居日が集中していないか
  4. レントロールに書かれないことが多い重要な項目
    1. 支出
    2. 更新料
    3. 入居者トラブル
    4. 賃料の滞納
    5. 対象物件以外の不動産(敷地外駐車場など)
    6. 水道光熱費

一棟マンションやアパート、商業ビルなど中古の収益物件への不動産投資を検討している際に「レントロール」という単語を聞いたことがないでしょうか。「レントロール」は不動産物件の賃貸状況を一覧表形式でまとめた資料です。

そこで本コラムでは、「レントロール」で一般的に書かれる項目や書かれていない重要事項、チェックポイントを解説します。不動産投資を検討中の方はぜひ最後までご覧ください。

レントロールとは

レントロールとは?各項目の内容や確認すべきチェックポイントを解説
(画像:PIXTA)

レントロールは一棟マンションやアパート、商業ビルなどの収益物件に契約している入居者やテナントの契約状況を一覧表にまとめたものです。賃貸期間や月額賃料など契約の詳細が書かれており、不動産物件の収益状況を把握することができます。

物件の収益性を一目で把握でき、賃料の増減や賃貸条件の変更の影響や将来的なキャッシュフローも予測しやすくなるため、不動産投資や管理において重要な資料です。

レントロールで一般的に書かれている項目

レントロールは決まった形式がないため、作成する不動産業者によって項目や内容が異なります。ここでは一般的に書かれている項目を紹介します。特にこれらは収益物件の管理状況を把握するために重要な項目ですので必ず確認しましょう。

項目内容
階数や部屋番号階数、区画名、部屋番号
属性各入居者やテナントの属性(法人、個人)
間取(一棟マンションやアパートなどの場合)各部屋の間取り
用途住居、事務所、店舗 など
契約状況各部屋の賃貸契約(入居中、空室など)
契約面積各部屋やテナント区画の専有部分の面積
契約期間各入居者やテナントの契約開始日と契約終了日(更新日)
賃料各入居者やテナントの賃料
共益費徴収している共用部分の共益費
敷金や保証金各入居者やテナントから預かっている敷金や保証金
その他各テナント連絡先、フリーレント特約情報、備考欄 など

階数や部屋番号

商業ビルなどのレントロールでは階数や区画名、賃貸マンションやアパートのレントロールでは部屋番号で記載されています。なお、物件によっては各階の4号室を設けずに103号室の次が105号室のように設定され、部屋番号の末尾だけで単純に計算してしまうと総部屋数と異なってしまうことがあるので注意しましょう。

属性

各入居者やテナントの属性(法人、個人)が記載されています。詳しくは後述しますが、例えば多くの入居者が法人の場合には一斉退去のリスクがあるため、その法人名まで確認することが重要です。

間取

一棟マンションやアパートなどの住居用物件のレントロールの場合、1DKや2LDKなど部屋ごとの間取りが記載されています。

用途

各部屋や区画の用途を「住居」「事務所」「店舗」などの項目で記載されています。建築の法令により用途に制限がかけられているため、用途を確認することは重要です。

契約状況

現在の各部屋の賃貸契約の状況が「入居中」「空室」などで記載されています。

契約面積

各部屋やテナント区画の専有部分の面積が㎡(平方メートル)や坪で記載されています。なお、1坪は約3.3058㎡で換算できます。

契約期間(開始日、終了日)

各入居者やテナントの契約で決めている契約開始日と契約終了日(更新日)が記載されています。一般的には契約開始日のみの項目で記載されていることが多いです。

賃料

各入居者やテナントの現在の賃料が記載されています。現在空室となっている場合でも賃料が記載されてことがあり、以前の賃料や想定した賃料が記載されています。

共益費

エレベーターや廊下、共用洗面所など共用部分の共益費を徴収している場合に記載されます。共益費は共用部分の水道光熱費や管理費などのために徴収していることが多いです。なお、共益費が0円の場合は賃料に含まれていることがあるため、賃料が相場より高い場合は共益費が含まれていないか注意が必要です。

敷金や保証金

各入居者やテナントから預かっている敷金や保証金が記載されています。敷金と保証金はほぼ同義であり、賃料の未払いや退去時の原状回復費用に備えて預かっているお金です。そのため、入居者やテナントが退去する場合には返還しないといけません。

その他

そのほか売主によっては各テナント連絡先や備考欄が用意されていることがあります。入居後の一定期間は家賃の減額や無料になるフリーレントなどの特約が記載されていることもあります。

レントロールのチェックポイント7選

レントロールとは?各項目の内容や確認すべきチェックポイントを解説
(画像:PIXTA)

レントロールに書かれている主な項目やその詳細について紹介しました。レントロールは収益物件の投資を決める際に重要な項目が多いです。そのため、レントロールを抜け漏れなく確認するためのチェックポイントを7つ解説します。

  • 新しい入居者の賃料が他の部屋と比べて低くないか
  • 同じ法人への貸し出しに依存していないか
  • 入居日が2年以上の人が多いかどうか
  • 預かり敷金* 保証金があるかどうか
  • 共益費を入居者が負担しているか
  • 賃料にばらつきがないか
  • 入居日が集中していないか

新しい入居者の賃料が他の部屋と比べて低くないか

レントロールをチェックする際に、新しい入居者の賃料が他の部屋と比べて低くないかを確認しましょう。新しい入居者やテナントの賃料が他の契約者と比べて低い場合は、入居が決まらずに賃料を下げている可能性があります。賃料が市場価格より低い場合には新規の契約者も同じ賃料での契約を希望するようになり、物件を適正価格に維持することが難しくなったり、他の部屋と同額程度の賃料に戻しにくくなったりします。

さらに、同じ物件内で賃料のばらつきが大きい場合には既存の契約者から不満が生じる可能性もあります。特に新規入居者の賃料が低い場合は長期のテナントが不公平感を抱き、契約更新時に値下げを要求するか退去するリスクがあります。

そのため、将来的に収益性を確保するために新しい入居者の賃料が他の部屋と比べて低くないかを確認することは、収益性の確保や物件価値の向上から極めて重要です。

同じ法人への貸し出しに依存していないか

レントロールのチェックポイントとして、同じ法人への貸し出しに依存していないかを確認することも重要です。法人でマンションやアパート等の住宅用物件を契約する場合は社宅として借りています。もしその法人が経済的な問題に直面した場合、一度に多くの空室が発生したり未納が発生したりすることがあり、賃料収入が急激に減少するリスクがあります。

また、同じ法人への依存度が高いと相手に出てほしくないために強気な交渉がしにくく、その法人が賃料の値下げを要求した場合に拒否することが難しくなるでしょう。

そのため、どこの法人に貸し出しているかを確認して同じ法人への依存度を把握し、多様な入居者やテナント層を維持することが重要です。

入居日が2年以上の人が多いかどうか

レントロールにおいて入居日が2年以上の人が多いかどうかを確認することも重要です。一般的に賃貸は2年更新となっており、2年以上住んでいる場合は物件の魅力や居住環境が良好であることを示しています。

さらに、入居者が退去すると新規募集の広告宣伝や清掃など入居者の入れ替え費用が発生してしまい、メンテナンスの手間や費用に悩まされてしまいます。そのため、入居日が2年以上のテナントが多いかどうかを確認することは、物件の需要や安定性、収益性、管理効率を総合的に評価するために不可欠です。

預かり敷金・保証金があるかどうか

預かり敷金があるかどうかを確認することも重要です。敷金の返還義務は新しいオーナーに移転されるため、新オーナーは退去時に敷金を契約者に返還する必要があります。

一般的に新オーナーは物件を売買したときに敷金などの預り金を相殺した残額を売買価格として取引します。しかし、前述のようにレントロールに敷金の記載がないこともあるために見落としてしまうと大きなリスクになってしまいます。

共益費を入居者が負担しているか

レントロールにおいて共益費を入居者またはオーナーが負担しているかを確認することも重要です。共用部の費用は基本的には入居者が負担していますが、オーナーが支払っている場合があります。また、共益費が家賃に含まれている場合にはオーナーが全ての共用部分の維持費を負担することになり、経費が増加する可能性があります。

なお、入居者が共益費を負担することで共用部分の利用に対する責任感が高まり、物件全体の維持管理が促進されるというメリットがあります。共益費の負担が明確になることで入居者とのトラブルを未然に防ぐことができるため、共益費を誰が負担しているかを必ず確認しましょう。

賃料にばらつきがないか

賃料にばらつきがないかを確認することも物件の収益性を保つために重要です。同じ物件内で賃料に大きな差がある場合、前述したように既存のテナントが不公平感を抱く可能性があります。

逆に一番新しく入居した部屋とそのほかの部屋の賃料差が少ない場合は、その収益物件は良い物件とも判断できます。物件は経年劣化するため、賃料はだんだんと低く設定していきます。古くから入居している部屋の賃料が高くなり、新しく入居する部屋の賃料は比較的安くなるのが一般的です。

しかし、賃料の差がほとんどなければ経年劣化しているにも関わらず高い賃料を維持できているため、賃貸需要が安定している優れた物件であると考えられるでしょう。

入居日が集中していないか

入居日が最近に固まっていないかを確認することも重要です。もし直近数か月の入居が不自然に多い場合はキャンペーンなどで無理やり入居率を上げている可能性があります。

特に前述のフリーレント特約で埋めている場合には入居後の一定期間は家賃が減額や無料となり、数か月は家賃収入の一部が入って来ない可能性があるため注意が必要です。そのため、入居日が集中している場合は「その時期に入居者が増えた理由」を確認しましょう。

レントロールに書かれないことが多い重要な項目

レントロールとは?各項目の内容や確認すべきチェックポイントを解説
(画像:PIXTA)

前述のようにレントロールは決まった形式がないため作成する不動産業者によって項目や内容が異なります。レントロールに一般的に記載されていない事項でも収益に大きな影響を与える項目があるため確認することは重要です。ここでは、レントロールに書かれていないことが多い重要な項目について紹介します。

項目内容
支出オーナー負担の支出の内訳や金額
更新料更新料の有無
入居者トラブル各入居者トラブルの履歴
賃料の滞納各入居者やテナントの賃料の支払い状況
対象物件以外の不動産敷地外駐車場など
水道光熱費オーナー負担や立替払いの有無

支出

レントロールは賃料などの収入に関する金額は書かれていますが、オーナー負担の支出の内訳や金額は記載されていません。もし水道光熱費やインターネット代、ケーブルテレビなどを無料で提供している場合には家賃では見えない隠れた支出となります。

更新料

レントロールには更新料についても記載されていないことが多いです。更新料を徴収できる賃貸借契約書になっているかどうか、更新料の金額を確認することが重要です。

入居者トラブル

レントロールには入居者トラブルの情報についても記載がありません。書類上では見えないトラブルのある入居者がいれば想定していた空室改善ができないことがあります。

賃料の滞納

レントロールには入居者やテナントの賃料の支払い状況は記載されません。さらに、前述のように敷金で滞納を補填していた場合でも、その充当履歴も記載されていないことが多いです。キャッシュフローに大きく影響を与えるため、事前に売主に確認しましょう。

対象物件以外の不動産(敷地外駐車場など)

敷地外駐車場などの対象物件以外の不動産についての情報も記載されていません。駐車場があることが契約に関わっていることがあるため、賃貸者の契約に深く関係しそうな不動産がないかを確認しましょう。

水道光熱費

水道料金などをオーナーが負担している場合や立替払いをしている場合があります。特にテナントで水道光熱費が高い場合があり、キャッシュフローに影響しますので誰が負担や支払いをしているかを事前に確認しましょう。

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