レインズとは不動産情報のサイト|一般人が見る方法、他の方法も伝授
  1. レインズは不動産情報システムが見られるサイト
    1. 全国の不動産会社が平等に物件情報にアクセスできる
    2. レインズはエリアごとに4つの団体に分かれる
  2. レインズ(REINS)の仕組み
  3. レインズを一般人が見る方法
    1. レインズを利用するには、構成団体に加入するのが原則
    2. レインズ・マーケット・インフォメーションを利用する
  4. レインズ・マーケット・インフォメーションでわかること
  5. レインズ以外で物件情報を調べられるサイト
  6. レインズ利用の流れ
  7. レインズ利用のメリット・デメリット
  8. レインズに関するQ&A
    1. Q.レインズを閲覧するにはどうすればいいか?
    2. Q.レインズを利用するにはいくらかかる?
    3. Q.レインズに成約義務はあるか?

本コラムでは、一般人がレインズを活用する方法について解説する。

レインズは不動産情報システムが見られるサイト

レインズ(REINS)は「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の略で不動産業界に欠かせない情報インフラだ。運営母体は、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構(全国で4つ)が行っている。

全国の不動産会社が平等に物件情報にアクセスできる

レインズとは、不動産会社(仲介会社、宅建業者)が物件情報の交換・共有を行うコンピューター・ネットワーク・システムである。管轄区域ごとの団体経由で全国の不動産会社が加入していて、物件取引に欠かせないシステムとなっている。レインズの大きな特徴は、どの不動産会社でも同じ物件情報を閲覧できることだ。

上場している不動産会社でも零細の不動産会社でも平等に物件情報にアクセスできる。このレインズで得た情報をもとに各不動産会社が以下のようなサービス提供を行っている。

  • 買主や売主に合った物件情報の提供
  • 各社が連携して買主と売主をマッチング
  • 過去の取引データをもとに適正価格をリサーチ など

レインズはエリアごとに4つの団体に分かれる

レインズは以下のように管轄区域ごとに4つの団体(指定流通機構)に分かれている。

団体名(通称)対象エリア
公益財団法人 東日本不動産流通機構
(東日本レインズ)
北海道・青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・山梨県・長野県
公益社団法人 中部圏不動産流通機構
(中部レインズ)
富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県
公益社団法人 近畿圏不動産流通機構
(近畿レインズ)
滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県
公益社団法人 西日本不動産流通機構
(西日本レインズ)
鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県・高知県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県

レインズ(REINS)の仕組み

レインズの不動産会社のネットワークでは、売主側から見た場合、以下の流れで物件情報がやりとりされている。

レインズとは不動産情報のサイト|一般人が見る方法、他の方法も伝授

物件情報はレインズに登録されるのが原則だ。ただし不動産売買における3つの媒介契約のうち、「一般媒介契約」は物件情報の登録義務がなく任意となっている。「一般媒介契約」とは、売主が複数の不動産会社に依頼できる契約形態だ。

一方、レインズの登録義務がある「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」は、依頼できる不動産会社が1社のみとなっている。契約形態ごとの違いは、次の通りだ。

専属専任媒介契約専任媒介契約一般媒介契約
レインズへの登録義務※あり
5日以内に登録
あり
7日以内に登録
なし(任意)
依頼者への報告義務あり
1週間に1回以上
あり
2週間に1回以上
なし(任意)
登録証明書発行の義務ありあり登録した場合は義務
※当日および休業日は除く

レインズを一般人が見る方法

レインズを一般人が見る方法としては、関連サイト「レインズ・マーケット・インフォメーション」を利用する方法がある。詳細を見てみよう。

レインズを利用するには、構成団体に加入するのが原則

結論から述べると、レインズそのものを一般人が見ることはできない。同ネットワーク・システムを利用するには、レインズの構成団体に加入することが原則である。一部のネット記事では「不動産会社経由で一般人でもレインズを見ることができる」との解説も見られるが、規約違反にあたる可能性がある。規約については以下の通りだ。

機構は原則として会員のみにユーザID及びパスワードを発行しており、会員のみがレインズを利用できます。顧客や自社の業務委託先等の第三者へ知らせたり、貸与したりする行為は禁止されています。

引用:全日本不動産協会 福岡県本部「レインズ利用ガイドライン」※この先は外部サイトに遷移します。より(参照:2024年1月9日)

また不動産会社に売却を依頼したが「自身の物件がレインズに登録されているか心配」という人もいるだろう。この場合は、不動産会社からもらった登録証明書に記載されている確認用IDとパスワードを使えば「登録されているか否か」をチェックできる。確認できるのは自身が依頼した売却物件のみで、他の物件情報を閲覧できるわけではない。

レインズ・マーケット・インフォメーションを利用する

上記のようにレインズそのものを一般人が見る方法はない。しかし「レインズ・マーケット・インフォメーション」を閲覧すれば、一般人でもレインズの情報の一部を見ることが可能だ。どのような情報が見られるかについては、次項で詳しく解説する。

レインズ・マーケット・インフォメーションでわかること

レインズ・マーケット・インフォメーション※この先は外部サイトに遷移します。には、推奨動作環境に対応するパソコン(OSはWindowsのみ)があれば無料で365日24時間アクセス可能だ。

・成約情報や在庫状況
レインズ・マーケット・インフォメーションでは、レインズの一部の情報(全国各地の取引情報など)を一般人が見ることが可能だ。ただし個別の不動産取引が特定されないように以下のレギュレーションに沿って情報提供が行われている。

表示項目単位表示方針
価格100万円十万円単位を四捨五入して表示
面積(建物・土地)㎡から㎡実際の面積に5m²の幅を持たせて表示
※面積が200m²超の場合は「200m²超」と表示
成約時期年月〜月成約された年月を3ヶ月で区切った範囲で表示
出典:レインズ・マーケット・インフォメーション「提供するサービスについて」※この先は外部サイトへ遷移します。より株式会社ZUU作成

・流通市場の動向

レインズマーケットインフォメーションでは、トップページ経由で「マンション」と「戸建て」それぞれの成約価格を一般人が見ることができる。また地域・間取り・築年数などで情報を絞り込むことも可能だ。

レインズとレインズマーケットインフォメーションはどちらも国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営しているが、レインズは不動産仲介会社向け、レインズマーケットインフォメーションは一般人向けになる。また、各サイトはそれぞれ閲覧できる情報が異なるため、レインズマーケットインフォメーションですべての情報を閲覧できるわけではない。

レインズ以外で物件情報を調べられるサイト

レインズ・マーケット・インフォメーション以外でも、信頼性の物件情報を一般人が見る方法はある。例えば「不動産ジャパン」や「土地総合情報システム」などだ。

・不動産ジャパン概要
不動産ジャパンは、一般人の安心・安全な不動産取引のサポートを目的とした総合不動産情報サイトだ。管理・運営は、公益財団法人 不動産流通推進センターが行う。レインズとは異なり、成約情報などを閲覧することはできない。販売状況や賃貸募集の状況のみ閲覧できるサービスとなっている。しかし、以下のような参考となる情報を無料で見ることができる。

・一般人が安心して住まいを探すための情報
・一般人が安全に住み替えるのに必要な知識や情報
・国内の不動産物件に関する情報
・国内の不動産会社に関する情報

なお不動産ジャパンには、下記の不動産流通の主要4団体(国内不動産会社の大半が加盟)が参加し、情報提供を行う。

・公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会
・一般社団法人 不動産流通経営協会
・公益社団法人 全日本不動産協会
・一般社団法人 全国住宅産業協会

不動産ジャパン公式サイトはこちら ※この先は外部サイトへ遷移します。

・土地総合情報システム概要
土地総合情報システムは、不動産の取引価格・地価公示・都道府県地価調査の価格などを検索できるサイトだ。管理・運営は、国土交通省が行う。例えば不動産の取引価格であれば時期・種類・地域を選択すれば知りたい情報にアクセスできる。レインズと異なる点は、土地総合情報システムでは所在地での特定になるので物件の詳細な場所まで把握することは困難だ。

土地総合情報システム公式サイトはこちら ※この先は外部サイトへ遷移します。

レインズ利用の流れ

前述の通り、レインズを一般人が直接見ることはできない。不動産会社に売却や購入を依頼することで以下の流れで利用されている。

参照:レインズタワー「レインズ活用フロー ※この先は外部サイトへ遷移します。

【売却(売主)の流れ】

1. 売主が不動産会社に売却を相談する
2. 不動産会社がレインズの検索情報などをもとに物件を査定する
3. 上記をもとに売主に販売予定価格を提示する
4. 不動産会社が3種類ある媒介契約の違いについて売主に説明する
5. 上記に売主が納得したうえで媒介契約を交わす(不動産会社は書面交付が必須)
6. 不動産会社がレインズに物件情報を登録する
7. 売主に対して登録証明書を発行する(売主は内容に誤りがないか要確認)
8. 不動産会社から業務報告を受ける(頻度は媒介契約の種類で違う)
9. 不動産会社は情報発信・内見や買付申し込み対応などを行う
10. 価格や条件面で買主・売主双方の折り合いがつけば売買契約を締結する
11. 不動産会社がレインズに成約登録をする

【購入(買主)の流れ】

1. 買主が不動産会社に購入を相談する
2. 不動産会社が買主の希望条件でレインズを検索する
3. 上記の情報などをもとに不動産会社が買主に合った物件を提案
4. 買主が内見を行い、納得すれば購入申し込みをする
5. 価格や条件面で買主・売主双方の折り合いがつけば売買契約を締結する(買主への契約前の重要事項説明、契約書面の交付が必須)

レインズ利用のメリット・デメリット

レインズは、全国の不動産会社の情報を共有することで大きなメリットを生み出している一方、デメリットもある。売主・買主双方のメリット・デメリットは、次の通りだ。

<売主側のメリット・デメリット>

【レインズ利用のメリット】
・売却情報を数多くの不動産会社に共有してもらえる
・上記により、売却までの期間の短縮が期待できる
・過去のデータと照らし合わせることで適正な販売価格を設定しやすい

【レインズ利用のデメリット】
・物件情報の更新頻度が高いため、情報が埋もれやすい
・販売価格の設定が割高だと売れ残りやすい
・物件情報をオープンにしたくない場合は不向きである

<買主側のメリット・デメリット>

【レインズ利用のメリット】
・希望する条件の物件を効率的に探せる
・遠方エリアの物件情報も収集できる

【レインズ利用のデメリット】
・情報がオープンなため、掘り出しモノ物件を探しにくい(すぐに売れてしまう)

レインズに関するQ&A

一般人や不動産会社から寄せられるレインズに関するよくある質問と回答を以下にまとめた。

Q.レインズを閲覧するにはどうすればいいか?

一般人がレインズを直接見られる方法はない。しかしレインズの一般人向け版であるレインズ・マーケット・インフォメーションを閲覧すれば、情報の一部を見ることが可能だ。同サイトでは、パソコン(OSはWindowsのみ)があれば無料で365日24時間アクセスでき成約情報、在庫状況、流通市場の動向などをチェックできる。

ただし取引に介在した個人が特定されないように物件名や番地は確認できない仕様になっているため注意したい。

Q.レインズを利用するにはいくらかかる?

一般人がレインズを利用する場合、不動産会社を経由して情報収集や登録をすることになる。その際、一般人のレインズ利用料は一切かからない。ただし不動産会社に別途費用のかかる依頼をしたり、有料媒体に物件情報を掲載したりする場合は、お金がかかることもある。

Q.レインズに成約義務はあるか?

レインズに登録したからといって不動産会社が成約義務を負うことはない。ただし専属専任媒介契約・専任媒介契約のいずれかを締結して成約したときは、その情報を不動産会社が登録をしなければならない。

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