投資は「月いくら」がベターか?考慮するべきポイントを解説
(画像=takasu/stock.adobe.com)

「貯蓄から投資へ」というフレーズがしきりに使われるようになるなかで、「投資を始めたい」と考えている人もいるかもしれない。投資を始めるにあたって自分の資産のどれくらいを投資に振り向けるのがよいのだろうか。

本コラムでは、リスクとリターンのおさらいや投資する金額の決め方などについて解説していく。

リスクとリターンは表裏一体

投資の目的は、自らの資産を増やすことに他ならないが、投資を始める前にリスクとリターンについて今一度おさらいしておきたい。貯蓄と投資の最大の違いは、リスクとリターンにあると言っても過言ではないだろう。

貯蓄に関しては、預入先の金融機関が倒産しない限り銀行口座に預け入れた元本は減らない。この安全性の高さ(リスクの低さ)は、リターンの低さとも一体である。超低金利時代にあるなか、預金金利だけでお金を殖やしていくのは現実的には難しい。

一方で投資商品は、原則元本が保証されている貯蓄とは異なり元本割れのリスクを伴う。この元本割れのリスクを引き受ける対価として、貯蓄にはないリターンを期待できるようになる点が投資の特徴だ。

投資においてリスクとリターンは、表裏一体の関係にあるといえる。

投資額は「金額」ではなく「%」で考える

リスクとリターンを踏まえたうえで自身が保有する資産のどのぐらいの金額を投資に充てればよいのだろうか。

投資に振り向ける金額を決めるうえで重要なことは「保有資産の何%を金融商品に投じるか」だ。投資を始める前の保有資産は人によって異なるため、一概にいくらを投資に充てるべきとはいえない。

また、投資に関するリスク許容度も人それぞれだ。リスクをとることに積極的な人もいれば、リスクをとることに消極的な人もいる。自身のリスク許容度を見極めたうえで「保有資産の何%を投資に使うのか」を決めるのがよいだろう。

年代によって投資割合を変える

保有資産に対する投資の割合に関しては、年齢という要素も加味したほうがよいだろう。なぜなら定年退職後から投資を始めるのと30代の現役時から投資を始めるのでは、リスク許容度が大きく異なるからだ。

例えば、30代から投資を始めるのであれば比較的リスクが高いと考えられている金融商品への投資も十分に検討の価値がある。投資には、投資期間を長く持つほどリスクの低減が期待できる「時間分散効果」という考え方がある。リスクが比較的高い金融商品に投資して一時的に含み損を抱えても、長期間保有すれば含み益に転じたり、他の商品で挽回できたりする可能性もあるからだ。

一方で、定年退職後に退職金などを元手に投資を始める場合、一般論では30代の現役世代のようにはリスクをとりづらい。保有期間をどの程度に設定するかによっても異なるが、一般的に60代では30代と比較して平均余命から見ても時間分散効果が低くなるからだ。おのずとリスク許容度は低くなるため、投資割合を抑えたり、ボラティリティの高い投資商品の購入は控えたりするのが無難といえる。

もっとも投資期間の想定やリスク許容度は、人それぞれであり、一概に年齢と投資割合を結び付けられるものでもない。最終的に投資割合を何%とするかは、各人の投資方針と判断で決まる。

30代と60代の投資割合の目安は?

30代で投資を始める場合、例えば預貯金の40%を投資に充ててみるのもよいだろう。ある程度、長期間の金融商品を保有するのであれば、上述の時間分散効果は働きやすい。

一方で定年退職後に60代で投資を始めるのであれば、投資割合を20~30%程度に抑えておくほうが無難かもしれない。ただし上述した通り、あくまでも投資の割合は個人の判断次第だ。

投資割合だけでなく、投資する金融商品も考えるべき

リスク管理という意味では、投資割合だけでなく投資対象についても考慮するべきだ。金融商品には、株式や債券、投資信託、外貨などさまざまなものがあり、投資リスクは金融商品によってそれぞれに異なる。

「保有資産の何%を投資に充てるか」について決めたうえで、さらにどのような種類の金融商品にどれだけの資金を投じていくのか、組み合わせて考えるとよいだろう。

投資割合を日米欧で比較

最後に地域によって投資割合がどのように異なるかを比較してみたい。

日本銀行調査統計局の「資金循環の日米欧比較」(2022年8月31日)では、「家計の金融資産構成」として地域ごとの投資割合を紹介している。同資料によると「株式等」「投資信託」「債券」の3つの合計値は、日本が16.0%と低めだ。一方で米国の3つの合計値は55.0%と最も高く、次いでユーロエリアは31.5%だった。

<家計の金融資産構成>

出典:日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」(2022年8月31日)※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUUが作成
(画像=出典:日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」(2022年8月31日)※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUUが作成)

金融資産に占める現金・預金の割合を見ると、投資割合とは反対に日本が54.3%と最も高い。一方、ユーロエリアが34.5%、米国はわずか13.7%にすぎなかった。以上のことからも欧米と比べて日本人は、お金を貯畜に回しやすい傾向がうかがえる。

リスクに対する考え方や年齢を加味して自身で判断

投資を始めるにあたって「いくらを投資するべき」という一律の正解はない。自身の保有資産の何%を投資に振り向けるかは、自らのリスクに対する考え方や年齢などを加味しながら決めるとよいだろう。

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