子どもが留学する場合を考えると、留学費用のことが気になるだろう。留学費用と一口にいっても、その内訳はさまざまだが、子どもの将来の選択肢を広げるためにも、留学費用について理解を深め、早い段階からしっかり準備しておくようにしたい。
留学にかかる費用にはどんな種類がある?
「留学にはお金がかかりそう」と思っていても、具体的にどんな費用がかかるかイメージしにくい人も多いだろう。留学にかかる費用を項目別に紹介すると以下のとおりだ。
<留学準備のための費用>
・塾代
・TOEFL(トーフル)等の受験料
<留学前にかかる費用>
・航空券代
・パスポート・ビザ申請料
・海外留学保険の保険料
・健康診断等の費用
<留学中にかかる費用>
・授業料
・教材費
・家賃、光熱費
・食費、消耗品費
・交通費、通信費
・交際費、自由費
留学にかかる費用はたくさんあるが、この中でも想像がつきにくいのが授業料だろう。
まずは、アメリカの大学を事例に授業料について紹介していく。
アメリカの大学の授業料を見てみよう
大学の授業料は、当然だが大学によって異なる。参考としてピックアップした以下の大学の年間授業料を見てほしい。
大学名 | 州外授業料の年間授業料 |
---|---|
ハーバード大学:私立・総合大学 | 約51,000ドル(約554万円) |
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA):州立・総合大学 | 約43,000ドル(約447万円) |
ハワイ大学マノワ校:州立・総合大学 | 約34,000ドル(約369万円) |
※為替レートは2021年3月時点
※College Tuition Compareより引用
アメリカでは、「州内授業料(In state)」と「州外授業料(Out of state)」がそれぞれ設定されている。「州内授業料」とは、州内に住んでいる学生に適用される授業料だ。これに対して、留学生を含む州外の学生は、「州外授業料」が適用される。
一般的に、「州外授業料」は「州内授業料」より高く設定されており、中には数倍というケースもある。そのため、州立大学だからといって、必ずしも授業料が低いとは限らない。そのため、州立大学・私立大学といった区分にとらわれ過ぎず、幅広い選択肢の中から大学を選ぶといいだろう。
アイビーリーグと呼ばれる名門私立大学(ハーバード大学、イェール大学、コロンビア大学、ペンシルバニア大学、プリンストン大学、ダートマス大学、ブラウン大学、コーネル大学)でも、奨学金制度などを活用すれば、学費の負担を減らして留学できる可能性がある。
各大学の公式ホームページには、奨学金制度の概要や、奨学金支給の実績が記載されている場合もあるので、チェックしてみるといいだろう。
また、地域によって授業料は大きく異なる。そのため、もっと授業料の安い大学を探すことも可能だ。たとえば、ノースカロライナ州の州立・総合大学のウェスタンカロライナ大学の州外の年間授業料は、大学の公式ホームページによると約5,000ドル(約55万円)だ。
授業料を検討する上で参考になるデータとして、アメリカの平均年間授業料を記載しておく。「College Tuition Compare」によると、2021年のアメリカの平均年間授業料は次のとおりだ。
公立・州外授業料 | 13,098ドル(約142万円) |
私立授業料 | 25,151ドル(約273万円) |
※為替レートは2021年3月時点
とはいえ、授業料の安さばかりにこだわるのは危険だ。難易度や知名度、大学の規模、留学生の多さなど、さまざまな観点から留学先の大学を選ぼう。
授業料以外の滞在中の費用にも目を向けよう
授業料はもちろんだが、滞在中の費用も意外とかかるものだ。
海外の大学では、授業料以外にかかる生活費の目安を大学公式ホームページで公開していることも多い。具体的に目指している大学があるなら、公式ホームページを確認してみるといいだろう。
たとえば、ハーバード大学では、次のような年間費用の目安が紹介されている。
項目 | 年間費用の目安 |
---|---|
家賃、光熱費、食費 | 21,130ドル(約229万円) |
医療保険料 | 5,282ドル(約57万円) |
書籍、生活用品 | 866ドル(約9万円) |
個人的な費用(交際費、自由費など) | 4,240ドル(約46万円) |
交通費 | 1,422ドル(約15万円) |
合計約356万円 |
留学先別の留学費用相場を比較
つづいて、1年間留学すると仮定し、授業料・滞在費・食費の目安を紹介する。
国名 | 費用の目安 |
---|---|
アメリカ | 約250~500万円 |
イギリス | 約250~500万円 |
カナダ | 約200~400万円 |
オーストラリア | 約200~400万円 |
ニュージーランド | 約200~300万円 |
※上記はあくまで目安であり、金額を保証するものではありません
アメリカやイギリスの留学にかかる費用は、選ぶ大学や地域によって大きく異なる。カナダやオーストラリア、ニュージーランドは、やや費用を抑えることができ、留学先としての人気も高い。最近では、フィリピンやマレーシアなど、東南アジアを留学先に選ぶケースもある。
国内でも公立と私立では費用に大きな差がある
日本でも、進学先によって授業料は大きく変わる。参考として、公立に進学した場合と私立に進学した場合の授業料の総額を紹介する。
国公立 | 私立 | |
---|---|---|
幼稚園 | 67万941円 | 158万3,748円 |
小学校 | 192万7,686円 | 959万2,146円 |
中学校 | 146万5,191円 | 421万9,299円 |
高等学校(全日制) | 137万2,140円 | 290万9,733円 |
大学(文系) | 238万5,200円 | 352万3,665円 |
大学(理系) | 238万5,200円 | 486万1,810円 |
大学(医歯系) | 349万6,800円 | 1,916万1,404円 |
※文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」をもとに、幼稚園3年、小学校6年、中学校・高等学校3年、大学(文系・理系)4年、大学(医歯系)6年として試算。
仮に、幼稚園から大学(文系・理系)まですべて国公立に進学したとしたら、学費の総額は約782万円だ。一方、幼稚園から大学まですべて私立に進学し、大学で医歯系学部を選んだとしたら、学費の総額は約3,747万円にものぼる。
進学先を踏まえて教育費の総額を見積もり、早いうちから計画的にお金を貯めていくことが大切だ。
留学費用を堅実に貯めるため、資産運用を検討しよう
教育費のことを考え、節約に取り組んでいる家庭も多いだろう。しかし、節約だけでは十分な費用を貯められないケースも少なくない。その場合、支出を減らすことだけでなく、収入を上げることに目を向けてみよう。
本業に精一杯取り組むとともに、無理のない範囲で資産運用を行い、効率的に留学費用を貯めることが大切だ。
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