不動産投資は取得価格が重要!値引き交渉をする際のコツ7選
(画像=AndreyPopov/stock.adobe.com)

近年は、一棟アパート・区分マンションともに価格が高止まりしているようだ。そのため「なかなか希望通りの価格で物件を購入できない」という悩みを抱える投資家も多いのではないだろうか。収益不動産の購入者にとってこのような市況では、売主との交渉の中で物件をできるだけ安く購入することが収益性確保の面で重要になるだろう。

本記事では、不動産投資で取得価格が重要な理由や物件購入時における値引き交渉の7つの重要なコツについて紹介していく。

不動産投資で取得価格が重要な3つの理由

不動産投資において「物件をいくらで購入するか」、すなわち「取得価格をいかにコントロールするか」が重要な理由は以下の3つだ。

利回り・キャッシュフローの良し悪しを左右する
融資を受けるハードルが変わる
売却のしやすさに影響がある

利回り・キャッシュフローの良し悪しを左右する

利回り・キャッシュフローは、不動産投資の収益性をはかる重要な指標である。利回りは、以下の計算式のように家賃収入や物件の取得価格で変動する。家賃の値上げはなかなか現実的ではないことから、収益性を向上させるには取得価格を抑えることが重要になる。

  • 利回り(%)=年間家賃収入÷物件取得価格×100

融資を受けて物件を購入する場合、取得価格が高いと借入額も多くなりやすい。借入金額が増えれば、当然毎月の返済が増えるため、キャッシュフローが圧迫される。利回り・キャッシュフローが低いと投資効率や資金繰りが悪くなってしまい、空室率の上昇や突発的な修繕などに対応する資金的な余裕がなくなるリスクも高まる。

そのため不動産投資において盤石な資金的基盤を確保しながら効率よく物件規模を拡大していくには、取得価格が重要な要素のひとつといえるのだ。

融資を受けるハードルが変わる

融資を受けて物件を購入する場合、取得価格が高くなるほど必要な借入額が増えるため、融資のハードルが高くなる。「自己資金が潤沢にある」「自身の収入や資産状況に見合った融資額に対して大幅に低い価格の物件を購入する」といった場合は、過度に融資のハードルを気にする必要性は低いかもしれない。しかし多くの投資家にとっては、融資を受けることができるかどうかが物件購入における重要な要素であることから決して無視はできない要素だろう。

売却のしやすさに影響がある

物件を相場よりも高い価格で購入してしまうと将来的な売却が難しくなるリスクが高まる。なぜなら融資を受けて物件を取得した場合、売却時の価格が融資残高を下回ってしまうと売却できなかったり、自己資金を使ってその差額を補てんしたりしなければならないからだ。

値引き交渉をする際のコツ7選

物件取得における値引き交渉の際に重要なコツは、以下の7つだ。

・売却理由を確認する
・売り出してからの期間を確認する
・資金調達の手段を確保しておく
・周辺相場を確認しておく
・客観的な値引きの根拠を提示する
・買主目線のみで交渉をしない
・交渉の妥結点を想定しておく

相手の状況を把握したうえで客観的かつ論理的に交渉を進められるかが重要といえる。

売却理由を確認する

値引き交渉をするにあたっては、売主が「なぜその物件を売りに出しているのか」について確認することが重要だ。以下のようなケースでは、売主が売却の必要に迫られている場合があるため、値引き交渉が可能な場合がある。

  • 急遽資金が必要になったため急いで現金化したい場合
  • 毎月キャッシュフローが赤字になっているため早く売却をしたい場合
  • 相続などで物件を取得したオーナーが、賃貸経営に興味がないため売りに出している場合

不動産仲介会社経由で当該物件の売却理由を確認するようにしよう。

売り出してからの期間を確認する

売り出してから長期間にわたって売れ残っている場合、売主が「今の価格での売却は難しい」と考えて値引き交渉に応じる可能性がある。売り出してすぐのタイミングで、いきなり値引き交渉をするのは難しいが、一定期間が経過している場合は、値引き交渉の余地が出てくるだろう。「対象となる物件がいつから売りに出されているか」については、不動産仲介会社経由で確認ができる。

資金調達の手段を確保しておく

「資金調達の手段を確保する」とは、具体的に以下のような状況をいう。

  • 金融機関の融資承認(内諾)を得る
  • 一括購入できる現金を用意する

物件取得ができる資金的な準備を整えたうえで売主にアプローチすれば「この買主であれば取引が破談になる可能性が低い」という心象を抱かせやすくなるだろう。場合によっては、交渉を有利に進められる可能性が高くなる。売主にとって取引が一定程度進んだ段階で買主の融資承認が下りずに資金調達ができなくなる事態は、大きな機会損失と時間のロスだ。

そのため資金調達の手段を確保しておけば売主とスムーズな交渉が期待できる。

周辺相場を確認しておく

値引き交渉の際は、周辺相場を理解し客観的な根拠をもって希望価格を提示することが重要だ。ただ買主が「とにかく安く買いたいから」という理由のみで値引き交渉をしても、相手の納得を得られる可能性は低いだろう。周辺の類似物件が直近でどのくらいの価格で成約しており、その水準から妥当な価格を導くことで論理的で説得力のある価格提示ができるようになる。

客観的な値引きの根拠を提示する

客観的な値引きの根拠を提示することも値引き交渉する際のコツの一つだ。具体的には、以下のようなものが挙げられる。

  • 修繕が必要な箇所があるため、修繕費用がかかる
  • 空室が多いため、空室対策のための費用がかかる
  • 現行の建築基準法に適合していない

「購入後に発生が明確なコストを差し引く」「遵法性の観点から物件価値が売り出し価格よりも低い点を指摘する」などを行うことで客観的な価格提示ができるようになるだろう。なお、融資を受ける金融機関によっては建築基準法の適合が融資の前提になるケースもあるため、現行の建築基準法に適合していない物件の購入を検討する場合は事前に相談しておいたほうがよいだろう。

買主目線のみで交渉をしない

値引き交渉の際は、相手(売主側)のメリットを提示することも重要だ。売主にとって単に価格を下げるだけでは損しかない。そのため売主が「値引きをしてもいい」と感じられるようなメリットを提示しよう。例えば「現金一括で即日決済ができる」「値引き交渉が成立したらその場で買付を入れる」といった具合だ。売主側にもメリットを提供して納得を得られるような状態を作れるかが重要である。

交渉の妥結点を想定しておく

値下げ交渉は、常に思うように進むとは限らない。そのため「いくらで希望価格を提示するか」「最終的な物件価格をいくらにするか」という交渉成立までのシナリオを想定しておこう。例えば売り出し価格が1億円の物件の場合、最初に8,000万円で希望価格を提示し、交渉の結果9,000万円以下であれば購入の意思表示をするといった具合だ。

こちらの提示に対する売主側の返答ごとにパターンを分けてシナリオを設定し、値引き交渉に臨むといいだろう。

交渉次第では購入を見送るのも選択肢

不動産投資のパフォーマンスは、物件の取得価格が高いか低いかで大きな影響を受けるため、取得価格が非常に重要だ。少しでも安全でパフォーマンスの高い不動産投資をするためには、できるかぎり値引き交渉をして取得価格を抑える努力が求められる。売主側は「少しでも高く売りたい」と考えているため、値引き交渉は決して容易ではない。

一つの物件にこだわりすぎず、希望価格で買えない場合は、他の物件を検討するほうが得策な場合もある点は押さえておこう。

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