医師の給料が下がる?副業や資産運用によるリスクヘッジについて解説!
(画像=Monet/stock.adobe.com)

医師は、一般的に安定した高収入であることが多い。しかし、人口減少が叫ばれる今後の日本では、医師の数と需要の関係が崩れていく可能性がある。

厚生労働省の調査によると、国内における医師の数が2020年末時点で33万9,623人と過去最多を更新した。人口減少が進んでいる中で医師の数が増えている結果、人口10万人に対する医師の数は、1982年からの約40年間で約2倍近くにも増加しているそうだ。医師が供給過多になると売り手市場だった医師の就労環境に変化が起き、収入に影響を与えるかもしれない。勤務医・開業医を問わず、医師としての自身の給料に将来的な不安を感じる人もいるのではないだろうか。

本記事では、本業(医師業)のかたわらでできる副業を3つ解説する。

高い給料を得ている状況と医師という専門性を活かしたリスクヘッジ方法3選

医師は、高度な専門知識やスキルを持っているため、給料が高い傾向だ。その特性・優位性を活かして給料減少へのリスクヘッジをする方法には、主に以下の3つがある。

  • 医師として行う副業
  • 金融資産(株式や投資信託等)への投資
  • 不動産投資

医師として行う副業

高い専門性や経験を活かして医師として副業をすることも選択肢の一つだ。具体的な副業には、以下のような内容が挙げられる。

  • 医療記事の執筆や監修
  • 医療系ブログでのアフィリエイト
  • 医療機器や製品の監修 など

いずれの副業も医師の延長上の仕事であることが多いため、比較的取り掛かりやすい点がメリットだ。一方、時間的な拘束を受ける仕事内容という一面があるため、本業に支障が出る可能性がある点はデメリットといえる。

金融資産(株式や投資信託等)への投資

金融資産への投資とは、株式投資や投資信託の購入といったものを指す。医師は、給料水準が高く可処分所得を作りやすい傾向にある。そのため余剰資金を金融資産に投資してインカムゲイン(配当金や分配金)やキャピタルゲイン(売却益)で資金を増やす方法も有効な選択肢といえる。

金融資産への投資は、金融や経済の情勢の影響を大きく受けるため、短期間で大きく資産額が乱高下してストレスになることがあるかもしれない。また金融や経済に関する勉強をしたり日々の値動きや相場に関する最新情報をチェックしたりして、売買タイミングを見計らう必要がある。そのため投資開始時だけでなく、開始後も時間的・精神的な拘束を受けやすいだろう。

不動産投資

不動産投資とは、マンションやアパートなどを購入し入居者に貸し出すことで家賃収入を得る投資手法である。物件が値上がりした場合は、物件を売却して売却益を得ることも可能だ。不動産投資では、投資物件に入居者がいる限りは、半自動的に家賃収入を得ることができる。また株式相場ほどの激しい値動きがないため、安心して長期的に運用をしやすい点がメリットだ。

ただし、不動産投資を始めるにあたってまとまった資金が必要だ。一般的には、金融機関からの融資を受けて不動産投資を行う人が多いが、医師の場合はこれらのデメリットを比較的クリアしやすい。(理由については後述する)

医師と不動産投資の相性が良い4つの理由

医師が不動産投資と相性が良く、不動産投資を行いやすい主な理由は、以下の4つだ。

  • 本業に影響しにくい
  • 物件購入の初期費用を作りやすい
  • 金融機関からの融資を受けやすい
  • 節税対策にもなり得る

医師は、「給料が高く安定している職業」という点で不動産投資を行うのに適した属性である。

本業と両立しやすい

不動産投資は、株式投資のデイトレーディングのような短期的な売買ではなく、年単位の長期投資になる場合が多い。じっくりと長期間にわたって保有・運用を続ける投資スタイルにおいては、時間の余裕を持ちやすいため、本業との両立もしやすいだろう。

不動産投資における現場実務には、物件の清掃や入居者対応、仲介業者とのやり取りといったことが発生するが、賃貸管理会社というパートナーを活用することで上記のような現場実務の大部分をアウトソーシングすることが可能だ。

時間的な余裕を持ちつつ運用に係る手間をアウトソーシングできる点で本業と両立させながら取り組みやすいと言える。

物件購入の初期費用を作りやすい

不動産投資を行うにあたっては、初期費用として一般的に物件価格の20~30%程度の自己資金が必要になることがある。例えば1億円の物件に投資する場合は、2,000万~3,000万円程度の多額な自己資金を用意しなければいけないことになる。

しかし医師は給料水準が高いため、平均的な給料の会社員や自営業者と比較すると初期費用として拠出できる自己資金を作りやすい。その結果、融資金額を抑えて毎月の返済額を少なくしたり物件購入後の手元資金を厚くしたりすることができ、投資の安全性を高めることができる点にも寄与する。

金融機関からの融資を受けやすい

物件購入にあたって金融機関からの融資を受ける場合、社会的信用や「給料が高く安定した職業」という医師の強みの恩恵を受けられる可能性が高い。なぜなら金融機関は、融資を受けようとしている人の年収や金融資産、職業といった点を基準に融資審査をする場合が多いからだ。

医師としての強みを活かすことで数千万円~数億円規模の物件を購入できる可能性がある。そのため不動産投資をする際の選択肢やチャンスが広がるだろう。

一方、給料が下がってしまうと融資を受けにくくなる可能性がある点も押さえておきたい。

節税対策にもなり得る

日本の税制度では、累進課税という方式が採用されているため、所得が高いほど多くの税金が課される仕組みだ。そのため年収が上がるにつれて税金の額も上がっていくことに頭を悩ませる医師も少なくないだろう。

不動産投資を行い減価償却という会計処理をすることで所得を圧縮できる可能性がある。減価償却とは、建物のように経年劣化で価値が下落していく資産を取得した場合、取得に要した費用を当該資産の耐用年数に応じて毎年減価償却費として計上する会計処理のことを指す。(土地は減価償却の対象外)

減価償却費は、耐用年数に応じて数年間ないし数十年間にわたって経費を計上する会計処理のため、合理的に所得を圧縮することが期待できる。ただし減価償却ができる期間に上限があるため、永続的にできる節税対策ではない。不動産投資による節税対策は、あくまで副次的な効果と認識しておこう。

給料以外の所得を作ってリスクヘッジをしよう

医師の数の増加と人口減少とが重なり、今後医師の仕事の需要下がる可能性は否定できない。そういった漠然とした不安がある場合は、医師として病院で勤務する以外の副業について検討することも重要だ。

今回は、医師としての副業、金融資産(株式、投資信託など)への投資、不動産投資などを通じて給料以外の所得を作ることを挙げた。どの副業が適しているかは人それぞれだが、不動産投資は、本業(医師業)との両立がしやすく、医師であることの優位性を活かしやすいメリットもあるため、副収入を得る方法として検討してはどうだろうか。

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