賃貸物件での水漏れの予防・発生時の対処のために大家は何をすればいい?
(画像=unclepodger/stock.adobe.com)

賃貸物件で発生するトラブルの一つに、水漏れがある。水漏れが発生すると物件内の設備の故障につながるだけでなく、大家として入居者に対して損害賠償などの責任を負うリスクもある。

本記事では、水漏れが発生する主な原因を2つ紹介し、賃貸物件の大家として水漏れの予防および発生時の対処のためにできることを3つ紹介する。

水漏れが発生する主な原因

賃貸物件で水漏れが発生する主な原因は、以下の2つだ。

  • 設備の経年劣化
  • 入居者の過失

設備に起因する物理的要因と、入居者に起因する人的要因に大きく分けられる。

設備の経年劣化

設備の経年劣化による水漏れは、排水管や給湯器、エアコンなどが劣化することで発生する。部品の劣化や排水管の詰まりなどが原因で給排水がうまくできず、水漏れにつながることが多い。

給湯器はパッキンなどゴム製の部品の劣化や、配管の凍結・破裂などによって水漏れが発生することがある。給湯器からの水漏れを放置すると、ガスの不完全燃焼による一酸化炭素中毒や漏電などの二次被害に発展する危険があるため、早急に対処すべきだ。

エアコンは、ドレンホース(結露によって発生した水を室外に排出するホース)の詰まりや、フィルター、熱交換器の汚れなどによって水漏れが発生することがある。エアコンからの水漏れがあった場合、放置するとエアコン周辺のクロスを広範囲で張り替えなければならなくなる。エアコンの作動停止や乾拭きなどの措置を迅速に行いたい。

入居者の過失

入居者の過失による水漏れは、入居者が浴室や洗面台、キッチン、トイレなどにある排水口の清掃を怠ったり、浴室の湯水を長時間出したままにしたりすることで発生する。

このような水漏れは、住戸内の清掃などに対する入居者の意識が低いことで起こるため、大家が設備のメンテナンスを適切に行っていたとしても発生することがある。

水漏れが発生した際の修繕コストはどれくらい?

水漏れの修繕費用は浸水の程度によって異なるが、目安は以下のとおりだ。

  • 蛇口周りのパッキン交換等の簡易的な修繕:数万円
  • クロスや床材の張り替え:数万円~数十万円
  • 家財への被害に対する賠償:数十万円~数百万円

大規模な水漏れの場合は発生した住戸だけでなく、下の階の住戸まで被害が及ぶことがあるため注意してほしい。その場合は下の階の住戸のクロスや床材、家財の弁償費用だけでなく、住戸が復旧するまでのホテル代まで負担しなければならなくなるケースもある。

ただし、すべての修繕コストを大家が負担しなければならないわけではない。修繕コストの負担者は、原則として以下のようになる。

  • 設備の経年劣化による場合:大家
  • 入居者の過失による場合:入居者

水漏れが発生した場合は止水処理と原状回復を最優先に行うべきだが、水漏れの原因を調査して費用負担者を明確にしておくと、その後の手続きがスムーズになるだろう。

水漏れの予防・発生に備えて大家ができる3つのこと

水漏れの予防策・善後策として大家にできることは、以下の3つだ。

  • 設備のメンテナンスや交換を定期的に行う
  • 火災保険・特約に加入しておく
  • 入居者にも火災保険・特約に加入してもらう

大家が対策を講じるだけでなく、入居者にも必要な備えをしておいてもらうことが重要だ。

設備のメンテナンスや交換を定期的に行う

水漏れの原因になり得る排水管や給湯器、エアコンといった設備は、定期的にメンテナンス(部品交換、清掃、洗浄)を行い、必要に応じて交換しよう。

給湯器やエアコンは、入居中に不具合が発生するとクレームや早期退去に発展するリスクがあるため、空室時に動作確認を行い、原状回復工事の一環として修繕や交換を行うことをおすすめする。

国土交通省の資料「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック ※外部リンクに遷移します」によると、排水管は5~10年ごとに高圧洗浄を行い、26~30年ごとに交換するのが一般的といえる。給湯器・エアコンは不具合が起こるたびに部品交換や修繕を行うのはもちろんだが、11~15年ごとに交換するとよいだろう。

どの設備も交換を行うとなると一部屋あたり数十万円、一棟あたり数百万円規模のコストがかかることが想定される。長期的な修繕計画を立てた上で、設備交換に備えて家賃収入から毎月一定額を積み立てておきたい。

火災保険・特約に加入しておく

賃貸物件の大家が加入しておくべき火災保険の特約には、以下のようなものがある。

  • 施設賠償責任特約
  • 家賃費用特約

火災保険・特約には「免責事項」という保険金が支払われない場合があるため、自分が懸念するリスクをカバーできているかどうかを加入時に確認しておこう。

・施設賠償責任特約
賃貸物件の管理不行き届きなどによって事故が発生し、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われる特約で、「賃貸建物所有者賠償責任特約」や「建物管理賠償特約」などと呼ばれることもある。

排水管から発生した水漏れによって、入居者の家財に損害を与えた場合などに適用される。

・家賃費用特約
賃貸物件で発生した火災や水漏れなどの事故によって家賃の損失があった場合に、契約時に定めた復旧期間を限度に家賃の損失を補償する特約で、「家賃補償特約」とも呼ばれる。

賃貸物件で火災や水漏れが発生すると復旧工事を行う必要があり、工事中は当該住戸を貸せないため家賃収入が減る。

契約時にあらかじめ定めた復旧期間において、貸していれば得られた家賃収入を補償してくれるということだ。

入居者にも火災保険・特約に加入してもらう

賃貸物件で入居者に加入してもらっておくとよい火災保険・特約には、以下のようなものがある。

  • 借家人賠償責任補償保険
  • 個人賠償責任保険(個人賠償責任補償特約)

・借家人賠償責任補償保険
入居者が住戸内で火事や水漏れを発生させ、住戸内の修繕が必要になった場合に、大家に対する損害賠償責任を補償する保険。

入居者が日常的な清掃を怠っていたことが原因で、浴室やトイレなどから水漏れが発生し、その部屋のクロスや床材の張り替えが必要になった場合などに適用される。

・個人賠償責任保険(個人賠償責任補償特約)
日常生活において、他人の家財に損害を与えたり、他人にケガをさせたりした場合の損害賠償責任を補償する保険。

入居者が日常的な清掃を怠っていたことが原因で、浴室やトイレなどから水漏れが発生し、下の階の住戸の家財に損害を与えた場合などに適用される。

入居者間の損害賠償を補償するものなので大家には直接関係しないが、物件内でのトラブルを防ぐために、入居者に加入しておいてもらったほうがよいだろう。

水漏れは二次被害に発展するおそれがあるので注意しよう

賃貸物件内での水漏れは、発生した住戸内のクロスや家財の汚損につながるだけでなく、下の階や共用部への浸水、カビや結露、建物の腐食といった二次被害に発展することがあるので、十分注意したい。

水漏れによるトラブルを未然に防ぐために、設備のメンテナンス・交換は定期的に行おう。水漏れが発生した場合に備えて、大家が火災保険・特約に加入することに加えて、入居者にも加入を促すとよいだろう。

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