20代が不動産投資をはじめるとぶつかりやすい障壁とその対策
(画像=One/stock.adobe.com)

日本では、年金受給年齢の引き上げや給与所得の伸び率鈍化が起こっている。そのため若年世帯が老後を見据えて20代から不動産投資などの資産形成を考えることも増えてくるだろう。老後の備えのみならずFIRE(経済的自立による早期リタイア)を達成して自由なライフスタイルを実現するために20代から不動産投資をはじめる世帯も少なくない。

本記事では、20代で不動産投資をはじめるにあたりぶつかりやすい2つの障壁とその対策を2つ解説する。

20代がぶつかりやすい障壁とは

20代で不動産投資をはじめる場合にぶつかりやすい障壁は、主に以下の2つだ。

  • 年収や勤続年数、保有資産などから融資が受けにくい場合がある
  • 保有資産が少ないと自己資金も少なくなり、投資判断の選択肢が狭まる

融資を受けるうえでの金融機関からの評価や拠出可能な自己資金の問題に加えて、不動産投資において必要な実務上のノウハウに関する問題が挙げられる。

年収や勤続年数、保有資産などから融資が受けにくい場合がある

不動産投資は、金融機関からの融資を前提とすることが多いため、いかにして融資を受けることができるかが極めて重要だ。金融機関によって差はあるが融資審査は、年収や勤続年数、保有資産などの基準があり20代の場合は基準を満たせないこともある。もちろん20代だからといって全く融資を受けられないわけではない。

しかし大きな金額の融資が受けられない場合もあるため、投資できる物件の規模が限られるだろう。

保有資産が少ないと自己資金も少なくなり、投資判断の選択肢が狭まる

自己資金が少ない不動産投資においては、物件価格に対する借入比率が増大するため、キャッシュフローが圧迫されたり物件購入後の手元資金が手薄になったりするリスクがある。

その結果として、投資判断において取れる選択肢の幅が狭くなることも想定されるだろう。キャッシュフローや手元資金の逼迫によって、具体的に以下のような事態に陥る可能性がある。

  • 修繕や設備交換等のバリューアップ工事が十分にできない
  • 万一失敗したと判断し売却を視野に入れる場合、融資残高より低い売値しかつかなかったり、売却が難航したりする可能性がある

以下のケースにおいて自己資金の多寡がキャッシュフローに及ぼす影響をシミュレーションしてみよう。

物件条件融資条件
物件価格3,000万円借入期間25年
家賃収入300万円金利3%
空室率10%購入時諸費用8%
諸経費率15%

※購入時諸費用:ローン事務手数料、仲介手数料、損害保険料、不動産取得税等
※購入時諸費用はすべて自己資金から拠出する必要がある
※諸経費率:固定資産税・都市計画税、管理費・修繕積立金、管理委託報酬等

<保有金融資産300万円の場合>

年間支出年間収入
ローン返済約171万円家賃収入約300万円
空室控除・諸経費約75万円合計約300万円
合計約246万円キャッシュフロー約54万円

※購入時諸費用のみ自己資金から拠出しフルローンを組む場合を想定
※物件購入後の手元資金:60万円(自己資金300万円-購入時諸費用240万円)

<保有金融資産1,000万円の場合>

年間支出年間収入
ローン返済約131万円家賃収入約300万円
空室控除・諸経費約75万円合計約300万円
合計約206万円キャッシュフロー約94万円

※購入時諸費用および頭金700万円を自己資金から拠出し残額(2,300万円)分のローンを組む場合を想定
※物件購入後の手元資金:60万円(自己資金1,000万円-購入時諸費用240万円-頭金700万円)

上掲シミュレーションのように自己資金の多寡によって毎月のキャッシュフローに差が生じることが分かるだろう。資金面での余裕と安全性に影響があるため、保有資産が少ない20代の不動産投資はリスクをとらざるを得ないことも想定される。

障壁をクリアするには

20代で不動産投資をはじめる場合にぶつかりやすい障壁をクリアするための対策は、以下の2つだ。

まずは、小規模な投資からスタートを切って実績を作ることからはじめるといいだろう。投資規模が小さければ万が一失敗したとしても損失を最小限に抑えることも可能であり、将来的に資産規模を拡大していく際の知恵が得られる。

融資情勢のトレンドをフォローする

金融機関や融資情勢によって融資を受けられる基準は変動するため、各金融機関の融資姿勢や市場全体の融資情勢のトレンドをオンタイムでフォローしておくことが賢明だ。金融機関との繋がりが強い不動産会社等を経由して融資情勢に関する最新情報を入手することにより、適切なタイミングで融資申込ができる可能性を高めることにも繋がり得る。

融資情勢のトレンドフォローと併せて、物件購入を見越して自己資金を形成しておくことができればより融資を受けられるチャンスを得やすくなるだろう。

小ぶり物件からはじめ、経験値を積むことを主眼とする

将来的に物件規模の拡大を考えているのであれば、まずは小さくスタートを切ることが重要だ。実際に物件購入の各プロセスや賃貸経営の実務を経験することで不動産投資の重要なノウハウを学ぶことができるだろう。また不動産投資を成功させた実績が後の融資審査において有利に働くこともあり得る。

最初に購入する物件は、リスクを抑えられる少額な物件にしておくといいだろう。具体的な投資物件の例としては、中古の区分マンションや戸建などが挙げられる。中でも中古区分マンションは少額でも賃貸需要が見込める都心部の物件を購入できるため、有力な投資先候補の一つといえる。

20代からはじめるからこそのメリットとは

不動産投資を20代ではじめるからこそ享受できるメリットは、以下の3つだ。

  • 定年前にローン完済できる可能性がある
  • インカムゲインを得られる期間が長くなる
  • 融資期間を長期で設定できる

資産形成において精神的な余裕を持てることと時間を味方につけられることが最たるメリットといえる。

定年前にローン完済できる可能性がある

20代でローンを組めば35年の長期でローンを組んだとしても定年を迎えるまでに完済できる可能性が高い。ローン完済後は、家賃収入の大部分が手元に残るため、定年後の収入源になり得るだろう。中古物件を超長期で保有するとしても適宜リフォームやリノベーション、大規模修繕などを施して物件をリニューアルすることで、資産価値の下落スピードを緩め、収益物件として稼働させ続けることは可能だろう。ただし、リノベーションを視野に入れる場合、綿密な資金計画を立てたうえで慎重に投資判断を行う必要があるため、取り得る選択肢の一つとして考えておくのが無難といえる。

インカムゲインを得られる期間が長くなる

20代で不動産投資をはじめれば物件の保有期間を長くとることが可能だ。そのため家賃収入というインカムゲインを得られる期間が長くなる。家賃収入を得られる期間が長くなるため、得られる家賃収入の総額が大きくなることが期待できるだろう。そのため時間を味方にして純資産を増やすことができる。

融資期間を長期で設定できる

20代は、最も長期間のローンを組むことができる世代といえる。なぜなら融資期間には「完済時の年齢が◯◯歳」といった条件がついていることが多く年齢を重ねるにつれて長期のローンを組むことが難しくなるからだ。融資期間を長期に設定することで毎月の返済額を抑えることができキャッシュフローに余裕を持たせることができる。

まとめ

不動産投資は、金融機関からの融資が前提となる場合が多いため、20代は年収や勤続年数、保有資産などの要因から大きな金額の融資を受けることは難しいと考えられる。そのためまずは、少ない自己資金および融資金額の範囲内で行える規模で小さくスタートを切ることが大切だ。不動産投資の実績を積むことでその後の資産規模の拡大を見据えることが期待できる。

20代は時間を味方にした資産形成ができる点は大きなメリットだ。総合的に判断すると20代で不動産投資をはじめることは、合理的な選択肢の一つといえるだろう。

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