不動産投資を始めるとき物件探しから着手する人も多いだろう。しかしその前段階で専門家に相談するのも一案である。なぜなら相談することで自身に合った物件選びをしやすくなったり節税や融資のポイントを理解したうえで安心してスタートを切りやすくなったりするからだ。本稿では、具体的に「どの専門家にどんな相談をすればよいか」を中心に解説する。
不動産投資を始める前の相談先と相談内容
一口に「不動産投資のことを専門家に相談する」といっても相談したい内容によって相手を変えることが必要だ。分かりやすく相談先と相談内容の関係を一覧にすると以下のようになる。
相談先 | 主な相談内容 |
---|---|
税理士 | ・節税を意識した物件選びのポイント など |
ファイナンシャルプランナー | ・ライフプランに不動産投資がどう貢献するか など |
金融機関 | ・融資を受けられる可能性 など |
不動産会社 | ・自身に合った物件の選び方 など |
不動産投資の経験者 | ・不動産投資の成功のコツと失敗談 など |
各分野の専門家に相談することで具体的にどんなアドバイスが受けられるのか、さらに詳しく見ていこう。
不動産投資の相談先1「税理士」
不動産投資を始める前に税理士に相談することで主に以下の3つの内容を理解しやすくなる。
- 不動産投資による節税の基本
- 節税を意識した物件選びのポイント
- 不動産投資によってどれくらい節税が可能か
特に最後に挙げた「どれくらい節税が可能か」については重要だ。不動産投資のよくある失敗としては、節税を目的に物件を購入したものの「思ったように成果があがらないこと」が挙げられる。事前に確認することで節税での失敗リスクを低減しやすくなるだろう。相談するときの注意点は、すべての税理士が不動産投資に精通しているわけではないことだ。
不動産の知識があまりない税理士に相談してしまうと、誤った判断に導かれてしまう恐れがある。そのため不動産投資を得意にする税理士が身近にいない場合は、「不動産投資 税理士」といったキーワードで税理士事務所を検索して、不動産投資に関する税務相談の実績を問い合わせるのが賢明だ。
不動産投資の相談先2 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーの役割は、相談者のライフプラン(人生設計)に合わせてお金に関するアドバイスや提案をすることだ。税理士と同様にファイナンシャルプランナーの中にも不動産投資の分野に強い人や弱い人がいる。できるだけ不動産投資の分野に精通している専門家に相談することでライフプランに不動産投資がどのように貢献するかが明確になるだろう。
ただし不動産業者と業務提携しているファイナンシャルプランナーもいるため、注意が必要だ。特に不動産投資のメリットばかり強調して物件購入を強引に進めようとするファイナンシャルプランナーは、信頼できるとはいえないため気をつけたい。
不動産投資の相談先3 金融機関
不動産投資を検討する際は、早めに金融機関へ相談しておきたい。なぜなら他の専門家に相談したり物件探しを進めたりしても、融資が受けられなければ時間がムダになるからだ。金融機関への相談は、物件探しを進めているか否かで内容が変わってくる。物件探しを行っていない段階で金融機関に相談するなら自分の条件(年収や資産状況など)で「融資を受けられる可能性があるか」を確認しておきたい。
不動産投資に積極的な金融機関や担当者であればさらに融資を受けやすい物件タイプなどについてアドバイスしてくれるケースもある。ある程度、候補物件が決まっている段階で金融機関に相談するなら仮審査を早めに受けて「融資を受けられる可能性が高いか」を確認するのが得策だ。特に一棟物件の場合は、借入総額が大きくなりやすいため、金融機関への事前相談は必須である。
不動産投資の相談先4 不動産会社
税理士やファイナンシャルプランナー、金融機関などに相談して不動産投資による節税や融資のことを理解できた後は、不動産会社とコミュニケーションする段階となる。ただし、いきなり物件探しから入るのではなく以下の内容を相談したうえで実務を進めるのがスムーズだ。
- 自身に合う物件の選び方
- 売買契約に関する不明点の解消
- 入居者管理や物件管理のポイント
これらを理解しておくことで物件選びの基準がはっきりする。また手続きに関してもスムーズに進みやすいだろう。また相談先として信頼できる不動産業者かどうかが非常に重要なため、相談とあわせて以下の内容もチェックしておきたい。
- 社歴や実績がある不動産会社か
- ネット上に悪評やクレームが書かれていないか
- 提案してくる物件の価格は相場に近いか
- 物件購入後のフォロー(入居者や物件管理)もしてくれるか
不動産投資の相談先5 不動産投資の経験者
専門家ではないものの不動産投資の経験者が身近にいる場合は、相談することで以下の経験談を聞くことができる可能性がある。
- 不動産投資で成功するためのコツ
- 不動産投資でありがちな失敗
- 不動産会社や物件選びや融資などのポイント
特に自身と境遇が似ている不動産投資の経験者の話は役立つ。例えば同じ会社の世代の近い先輩や同僚に融資審査についての経験談を聞けば年収が近いため参考になる。また不動産投資の種類が同じ経験者の話も有益だ。一棟物件を買いたい人であればすでにアパート経営をしている経験者の運用状況や失敗例、先に知っておけばよかったことなどについて話を聞ければ役立つだろう。
ただしいくら不動産投資の経験者といっても思い込みや誤った知識で偏った意見を持っている場合もある。そのため経験者の話すことをすべて鵜呑みにしてしまうのではなく割り引いて聞くことも意識したい。
不動産投資のトラブル発生時の相談先
ここまで不動産投資を始める前の相談先を紹介してきたが契約前後や実際に経営をしてからトラブルになったときの相談先も覚えておくと安心だ。相談先には、消費者ホットラインや免許行政庁、宅地建物取引業保証協会などがある。
不動産投資のトラブル相談先1 消費者ホットライン
消費者庁の「消費者ホットライン」は、商品やサービスに関する苦情などを気軽に相談しやすい公的な相談窓口だ。相談内容に対して専門の相談員が公正な立場で対応してくれる。局番なしの「188(いやや)」で近くの消費者生活相談窓口へつながり相談することが可能だ。なお、相談は無料だが通話料は発生するので覚えておきたい。
不動産投資のトラブル相談先2 免許行政庁
不動産や賃貸の仲介など(宅地建物取引業)をしている不動産会社には、公的な免許が義務づけられている。この免許を与えている免許行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)に勧誘や契約に関するトラブルを相談することで業者に対する適切な指導が期待できるだろう。
不動産投資のトラブル相談先3 宅地建物取引業保証協会
不動産会社の大半が加盟している宅地建物取引業保証協会に相談することで問題解決のためのアドバイスやサポートを受けることが期待できる。なお保証協会は、全日保証(公益社団法人不動産保証協会)と全宅保証(公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会)の2つの団体がある。対象の不動産会社がどちらの協会に加盟しているか確認したうえで相談しよう。
不動産投資のトラブル相談先4 弁護士
「悪徳業者にだまされた」「儲かるといわれたのに損失が出ている」といったケースで契約解消などの交渉をしたい場合は、弁護士に相談するのも選択肢の一つだ。税理士やファイナンシャルプランナーと同様に不動産投資に精通した弁護士に相談するのがポイントとなる。
知りたいテーマを深掘りするなら専門家に相談するのがベター
ここでは、不動産投資を始める際に相談すべき専門家を中心に解説してきた。近年は、ネットで不動産投資に関する情報を手軽に学ぶことができる。しかし自身の知りたいテーマを深掘りするのであれば不動産投資を熟知している専門家に相談するのが効率的だ。最後に補足をすると税理士や金融機関、不動産会社など各相談先は1ヵ所とは限らない。
例えば税金について知りたいのであればいくつかの税理士事務所に相談することも方法の一つだ。複数の税理士事務所から絞り込んでいくことでたくさんの情報が得られ自分にとって相性のよいパートナーを選ぶことが期待できるだろう。
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